
先日参加した講演で再確認しました。やる気は“湧くのを待つもの”ではなく、“起こるように設計するもの”。
がんばりだけで乗り切ろうとすると、忙しさ・疲れ・ストレス・誘惑に負けます。これは人生の中で何度も証明されてきたこと。
原因はそのひとの性格や根性、意思の弱さではなく、人間の脳の仕様です。
意志はくじけることが前提。くじけて当たり前なのです。
だからこそ意志ではなく「仕組み作り」、そしてさらにすでにある習慣に“くっつける”のが近道です。
本日は外来でも相談の多い、ダイエットを例にしてお伝えします。
なぜ“意志頼み”は無謀?
- 省エネ脳:脳は判断や努力を減らす方向へ流れやすい
- 今すぐのごほうびが強い:甘い飲み物やお菓子は圧倒的に有利。誘惑には勝てません。
- ブレーキは脆い:睡眠不足やストレスで抑制が弱くなる。ストレスのかかった仕事の後は食欲がわきませんか?
→ 結論:耐える設計は破綻前提。最初から“迷わない環境”を作ることが大切です。
今日10分でできる「初期設定」(意志ゼロ運用)
- 冷蔵庫の初期設定:一段目=水/お茶だけ。甘い飲料は家に置かない。
- 間食は「買わない」:買ってしまったら負けるに決まっています。
- 体重は“歯みがき連動”:体重計を洗面所に常設→歯みがき後に自動で乗る→アプリで簡単記録。
- 外食の“先出し宣言”:入店時に「ご飯少なめで」を一言。
ほかにもいろいろな初期設定があると思います。
自分の意思を挟まないすること、自分の意思を信じないことがとても大切です。
新しい習慣は「くっつける」で自動化
[毎日必ずする、すでに習慣化している行動(アンカー)]のあとに、[小さな行動]をする。
起床や歯磨きや食事、出勤、就寝など、すでに習慣化されている行動のあとにくっつけると新しい習慣になります。
アンカー例
- 朝:起きたら → 腹筋10回/水をコップ1杯
- 洗面所:歯みがきのあと → 体重計ピッ(自動記録)
- コンビニ入店:最初に → 水/お茶を手に取る
- 食事前:並べたら → 汁物一口 → サラダ一口(その後に主食)
- 帰宅直後:バッグを置いたら → 2分ストレッチ
- 夜:キッチン片付けが終わったら → 歯みがき(=夜食終了サイン)
「意志を強くする」のではなく、選ばなくても良い流れを先に作る――それが続くコツです。
できるところから、静かに始めましょう。私自身も同じ手順で取り組みます。
まとめ
意思決定の回数を減らし、良い行動を自動で走らせる人は、いろいろなことを成し遂げられるといえます。
「習慣の多さ=意志の強さ」ではなく「仕組みづくり」です。
ぜひ、よい習慣をたくさん作っていきましょう。