
「咳き込んで眠れない」「ゴロゴロ音が気になる」――痰(たん)がからむ夜は、親子ともに体力勝負になりますよね。親としては痰が切れない子どもをみていると辛い。
今日は、家にあるもので今夜からできる、基本ケアをまとめました。道具いらずですぐに実践できます。しかも、医療機関で処方された去痰剤を飲んでいても本日の行動しなければその効果は半減してしまいます。
外来診療中もとても多い質問のうちの一つです。
ぜひ、本日からやってみてください。
目次
まず結論:5つの柱
- ちょこちょこ水分:一口ずつ+回数でのどを潤す
- 姿勢(体位)調整:上半身を少し高く、横向きも活用
- 温めてゆるめる:入浴・蒸気・温かい飲み物で気道をしっとり
- 呼吸“あそび”で出しやすく:息を長く、やさしく、楽しく
- 部屋づくり:乾燥とホコリを避け、眠れる環境に
この5つで“痰が上に上がる道”をつくります。薬が必要な場合もありますが、まずは身体が痰を動かしやすい条件づくりから始めましょう。
今夜の“実践の順番”ガイド
すべてを完璧に実行するのではなく、一つでもよいので取り入れてみてください。
部屋づくり
・寝室の換気を軽くして、室温20〜23℃、湿度40〜60%を目安に調整。
・枕やタオルで上半身を10〜15度ほど高くできるように準備。
温める
・入浴はぬるめで短時間(就寝1時間前までに)。難しければ、蒸しタオルを頬や首元に当てて温める。
・温かい飲み物(月齢に合ったもの:母乳/ミルク、ぬるい白湯、スープ等)を少しずつ。
呼吸あそび
・長く息を吐く遊びは効果的です:ふーっと窓に息で絵を描く、ティッシュをふわっと揺らす、ストローでコップの水面にブクブク(誤嚥に注意・年齢に応じて)。
・ポイントはやさしく、苦しくない範囲で。
姿勢調整
・寝る前は上半身を少し高く。咳き込みが強い時は横向き→反対側と時々向きを変えると抜けやすくなります。
ちょこちょこ水分(就寝前〜夜間)
・一口を回数で。むせるなら量をさらに減らす。夜間咳き込んだら一口だけ追加でOKです。
ちょこちょこ水分摂取について

目的
気道(鼻・喉・気管)の粘液をやわらかくして動かしやすくする。
やり方
- 乳児:母乳/ミルクをいつもより少量を回数で。
- 幼児〜学童:ぬるい白湯・麦茶・スープなどをひと口ずつ。冷たすぎ・甘すぎは咳を誘発しやすいことがあります。
姿勢(体位)調整

目的
痰を上に運ぶ”ために気道の通り道を確保。
やり方
- 頭と胸を少し高く(枕や畳んだバスタオルで角度をつける)。
- 横向き→反対側へ時々変更。背中をやさしくさするだけでもOK。
- NG:お腹や胸を強く圧迫する抱え方、うつぶせ寝で放置は×(乳幼児は特に避ける)。
温めてゆるめる:しっとりが正義
- 入浴:短時間でしっとり温める。長風呂は疲れて逆効果。
- 蒸気:湯気の立つ浴室に数分。
- 温かい飲み物:のどの違和感を和らげ、咳反射を落ち着かせる助けに。
- 注意:やけどリスクのある熱すぎる飲み物・蒸気器具は避ける。
呼吸あそび
ねらい
長い呼気(息を吐く時間)で気道が広がり、痰が動きやすい。
具体例
- ティッシュふわふわ、シャボン玉ごっこ(誤飲に注意)、ハミング(鼻歌)で鼻腔の振動を活用。
- 絵本の読み聞かせでゆっくり呼吸を誘導するのも一手。
- やりすぎ注意:ゼエゼエが出る、顔色が悪い、辛そうなら中止。
部屋づくり:乾燥とホコリ対策
- 湿度40〜60%を目安に。加湿器がなければ、濡れタオルを干すだけでも違います。
- 床のほこりを軽く拭き取り、寝具を整える。
- タバコ・お香・強いアロマは痰と咳を悪化させがち。今夜はお休み。
まとめ
子どもの“痰がからむ”を今夜ラクにする5本柱は
①ちょこちょこ水分
②上体を少し高く(横向きも活用)
③ぬるめ入浴/蒸気/温かい飲み物で温める
④“長く吐く”呼吸あそび
⑤部屋を整える(湿度40〜60%・ほこり少なめ)
完璧じゃなくて大丈夫です。少しずつ整える”の積み重ねが、痰を動かすいちばんの近道です。