子どもの病気

思春期のスマホ・ゲームとの付き合い方:親の“やり方”でここまで変わる

ざっくり結論(先に知りたい人向け)

  • 親が食卓で画面/寝室に端末/子の前でよく画面を見るほど、子の総スクリーン時間と“やめにくさ”が増える関連がありました。
  • 見守り(モニタリング)と時間の上限設定は、総時間と問題性の低下と関連。
  • ごほうび・罰としてスクリーンを使うほど、総時間増や“ゲームのやめにくさ”増と関連。

Nagata JM, et al. Associations between media parenting practices and early adolescent screen use. Pediatric Research (2025).

はじめに:問題は「時間の長さ」だけじゃない

いまの思春期では、勉強・友だち付き合い・趣味の多くがスマホ画面の中にあります。

だから単純に「減らせば良い」では続きません。

ポイントは①睡眠を守る ②衝動を整える ③家族の合意を作る

この3つができると、結果的に“だらだら視聴”が減り、メリハリが戻ります。

今回紹介する研究は、親の見せ方・使わせ方が子どもの総スクリーン時間と“やめにくさ”(SNS・ゲーム・スマホの問題性)と関連していた、というものです。

なぜ親の“やり方”が効くの?

モデリング(手本効果)

子どもは“親の視線の向き”をまねします。食卓でのスマホや、寝室へ端末を持ち込む習慣は、「ここは画面OKの場所だ」という合図になります。

環境デザイン

寝室に端末があると、つい見てしまい入眠が遅れます。結果、朝はだるく、日中は刺激(通知・ゲーム)を追いがち。

寝室は端末なし——それだけでこの悪循環を断てます。

予測可能性(ルールと見守り)

見守りと上限は“いつ終わるかがわかる”状態を作り、切り上げの葛藤を減らします。

条件づけの落とし穴

「テスト頑張れたらゲーム1時間」「怒ったから今日は禁止」など報酬・罰にすると、画面の価値が過大になり、逆効果になりやすいがわかりました。

具体策(家庭での“設計図”)

A. 場所のルール(まずはここから)

  • 食卓は全員ノースクリーン
  • 寝室は充電のみOK、使用はNG(充電ステーションを廊下・リビングに)

B. 時間のルール(“親子で合意”がコツ)

  • 平日:娯楽スクリーンは**◯分まで**、就寝90分前はオフ
  • 週末:平日の1.5倍まで緩和(映画・友だちとのオンライン含む)
  • 終わり方を決める:タイマー→終了アナウンス→スクリーン以外の行動(風呂・散歩・歯磨き等)へ橋渡し

研究では「見守り」「上限設定」が減方向。“合意形成”が守りやすさのカギです。

C. “見守り”のやり方(監視ではなく対話)

  • 週1回、「一番楽しかったコンテンツ3つ」を子どもが親に紹介
  • 親は中身を知る→価値を認める→心配点を話すの順で会話
  • 必要なら端末のスクリーンタイム機能で週報を一緒に確認(親だけで数字を詰めないように!)

D. やってしまいがちなこと

  • ごほうび・罰としてのスクリーン(価値を上げてしまう)←報酬・罰にすると、画面の価値が過大になり、逆効果になりやすい。
  • 親だけ例外(“特権”は反発の種。食卓・寝室は大人も同じルールで)

よくある反論と短い答え

「勉強にも使うから減らせない」

勉強用途は別枠。まずは寝室ノー端末就寝前90分オフから。研究は娯楽寄りの“総時間”と問題性の関連を見ています。

「見守りは干渉じゃない?」

“説明する・理由を共有する”権威的スタイルが現実的。命令ではなく合意。議論部分でもその方向性が語られています。41390_2024_Article_3243

「もう長時間になっていて手遅れ」

いきなり全面規制は反発が大きい。

場所のルール→寝室→食卓→時間上限の順で、小さく成功体験を積み上げるのが近道。

うまくいくコツ

「寝室ノー端末」「食卓ノースクリーン」「親も行動で示す」「上限は合意」「スクリーンを報酬化しない」——ここから始めれば十分です。

関連データは12–13歳約1万人で示されています。

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