内科&小児科

夏に流行する手足口病←大人も注意

今日は手足口病のお話です。手足口病は子育て世代のご両親であれば聞いたことはあるかもしれません。

手足口病は、ヘルパンギーナとともに、夏に多いウイルス感染症です。

僕自身が成人になってから手足口病にかかったことがあります。2013年のことでした。子どもが食事をとれなくなってしまい受診した近所の小児科で偶然テレビの取材を受けて、「ひるおび!」に出演しました!

画像はその当時の家族構成になります。後にも先にもテレビ出演はこれが最後でした。

お子さんに比べると成人の方が症状が重い傾向があるといわれておりますが、まさにその通りになりました。

子どもたちは数日で症状が改善しましたが、僕は口の中に口内炎が多数できてしまい固形物がなかなか食べることができない状況となってしまい、冷たいものであればなんとか摂取できたのでアイスなどでなんとかしのぐことができました。1~2週くらいしてやっと食べられるようになりました。

手足口病の概要

手足口病のピークは夏

手足口病は、6~8月にかけて流行のピークがみられますが、秋から冬にかけてもみられることがあります。数年おきに大きな流行がみられ、過去にも90年、95年と大流行があり、2000年にも比較的大きな流行が起こりました。

5歳未満の子どもがかかりやすい

感染者のほとんどが小児で、5歳未満が80%以上を占めています。しかし、学童期にもみられ、大人の間で流行することがあります。 

手足口病の原因

手足口病はウイルスに感染することが原因で発症します。原因となるウイルスはさまざまですが、エンテロウイルスやコクサッキーウイルスが多いです。これらのウイルスはノンエンベロープウイルスともいわれており、アルコール消毒剤や熱に強いウイルスです。

エンテロウイルスはエンテロ(エンテロというのは腸管という意味です)というだけあって、腸の中で増えるウイルスです。糞便感染で2~4週間ほどウイルスが排出され続きます。

手足口病の原因となるウイルスは複数ですので、一度手足口病にかかっても、別の種類のウイルスが原因となって、再び手足口病になることがあります。

一度感染したウイルスに対しては、免疫を獲得するため、同じ種類のウイルスが原因で手足口病になることはないと言われております。

感染経路

主な感染経路は3つです。

咳やくしゃみなどに含まれるウイルスを吸いこむ飛沫感染や、手指やもの、食品などについたウイルスが主に口から体内に入る接触感染、便の中に排泄されたウイルスが手指などを介して口から体内に入る糞口感染です。

手足口病は、特に便の中にウイルスが排泄される期間が長く、症状がなくなったあとでさえも、2~4週間程は感染源となる可能性があります。オムツ・排泄物の処理には十分注意をし、処理やトイレの後はよく手を洗いましょう。

手足口病の症状

3~6日間の潜伏期の後に、口の中や手のひら、足の裏に赤い発疹ができます。水膨れのような発疹で、大きさは数ミリ程度です。

手足口に限らず、手の甲や足の甲、指の間、膝、肘やお尻にできることもあります。また、発熱が出ることも珍しくありません。

水ぼうそうとは違って、発疹はかさぶたにはならずに1週間程度でなくなります。口の中にできた口内炎がひどく、痛みを伴うため、食事や水分を取りたがらなくなります。

症状が出た最初の週の感染力が最も強く、回復後も飛沫や鼻汁からは1~2週間、便からは数週~数か月間、ウイルスが排出されます。

治癒一ヶ月後に爪が剥がれてくることがあるといわれ、私の妻がこの症状がありました。

重症化

少数ながら重症化し、無菌性髄膜炎、脳炎、心筋炎など重篤な合併症が起こることがあります。意識障害やぐったりしている場合には注意が必要です。 

大人がかかると症状は重め

子どもよりも大人のほうが症状が重く出やすいです。

まず、発疹の痛みは大人のほうが強く出ます。足裏などにひどく出ると歩けないほどになります。全身倦怠感、悪寒、関節痛、筋肉痛などの症状が出ることもあります。

検査・診断

基本的には、症状の目で見て診断を行います。診断に検査は必須ではなく、症状と流行状況から考えて実施します。インフルエンザウイルスのような迅速検査はありません。

治療法

手足口病に対する特別な治療方法はありません。たいていの場合は症状は軽いため、経過観察と症状に合わせた対症療法をおこないます。

口の中に発疹がある場合は、痛くて飲食がしづらい場合もあるため、刺激にならない柔らかい食事にしたり、水分補給もしっかりとするようにしましょう。

予防方法はこまめな手洗いと排泄物の処理

ワクチンはありません。身の回りの感染経路を考えた対策を考えましょう。こまめな手洗い、症状のある方はマスクをつける、感染者とタオルを共用しない、食器やテーブル、おもちゃを消毒します。エンテロウイルスはアルコール消毒に耐性ですので、次亜塩素酸の方が有効といわれております。

症状がなくなってからも2~4週間は便の中にウイルスが存在します。おむつの取り扱いに気を付けてください。

保育園・幼稚園・学校への登園・登校の目安

外来ではよく聞かれる質問ですが、手足口病には「何日間休まなければならない!」といった出席停止期間の基準はありません。厚生労働省の「保育所における感染症対策ガイドライン」では、以下のように記載されています。

発熱や口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれること

厚生労働省 : 保育所における感染症対策ガイドライン

文部科学省の「学校において予防すべき感染症の解説」では以下のように記載されています。

本人の全身状態が安定している場合は登校(園)可能。流行の阻止を狙っての登校(園)停止は有効性が低く、またウイルス排出期間が長いことからも現実的ではない。手洗い(特に排便後、排泄物の後始末後)の励行が重要。

文部科学省 : 学校において予防すべき感染症の解説

発熱やのどの痛み、下痢がみられる場合や食べ物が食べられない場合には登園を控えて、本人の全身状態が安定してから登園を再開しましょう。

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