お薬をたくさん飲んでいる方、その家族の方はたくさんいらっしゃると思います。ご家族の中には、こんなにお薬を飲んで大丈夫かなって不安に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
もちろん、必要でかつきちんと担当医の下で通院されているのであれば問題ないことが多いと思います。
しかし、同じ病院でも複数の科に通院されていたり、複数の病院に通院されていたりして、担当医も全てを把握できていないこともあります。患者さんの中にはお薬手帳を持っていない方もいるんです。
こうなるとちょっと問題が出てきます。ご高齢の方の中には、自分でどんなお薬を飲んでいるかわかっていない方も少なくないと思います。
先日も、3つの科にまたがって20種類くらい薬剤を飲んでいる方がいました。
ある研究では70歳以上の方は平均6種類以上のお薬を飲んでいたと報告されております。高齢になればなるほど病気が増えてくるので致し方ないところもあります。
ポリファーマシー
たくさんの薬剤を飲んでいる状態を多剤併用状態とかポリファーマシー(Polypharmacy)と呼びます。
ポリファーマシーとは、「複数」を意味する「poly」と「調剤(薬局)」を意味する「pharmacy」からなる、「害のある多剤服用」を意味する言葉です。
常時使用薬剤が5ないし6剤以上の状態としていることが多いです。
日本老年医学会が「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」で示したところによると、お薬による有害事象(薬物有害事象)は処方された薬の数に比例するとされ、その数が6種類を超えると発生頻度が大きく増加するそうです。
しかし、ポリファーマシーは、ただ単に飲んでいるお薬が多いというよりは、患者本人が十分にお薬の管理できない、内服が十分正しくできない、薬剤による有害事象が出現しているなど不都合な状態があって、これらの薬剤を服用し続けることが患者にとって好ましくない状態というニュアンスの言葉です。
意外と、必要もないのに漫然とお薬を飲み続けている方も見受けられます。処方された時の症状が治ったら担当医に伝えて、定期的にお薬を継続するかどうか相談することは大切です。
継続することがとても大切なお薬もありますので自己判断は禁物です。
さいごに
お薬の副作用はお薬の数に応じて増えると言われています。しかし、お薬の副作用はお薬の数が少なくても発生する可能性があります。一番大切なことは、そのお薬は本当に継続して飲まなければならないものか、その処方内容が適正かどうかです。