「伝染性単核球症」は馴染みの薄い病気かもしれませんが、10代~20代の方でよく見かける病気なのです。
もしかしたら「伝染性単核球症」と診断され不安に思っている方もいるかもしれませんので、是非ご覧ください。
伝染性単核球症の原因
伝染性単核球症はウイルスが原因で発症します。
たいていの場合にはEB(Epstein Barr)ウイルスの初感染によって引き起こされる感染症です。
EBウイルス以外にも、サイトメガロウイルス(CMV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)なども原因となり、同様の症状を起こします。
名前の由来
患者さんの血液の中に多数の異型リンパ球の出現を伴う単核細胞(リンパ球)の増加が見られる感染症であることが、「伝染性単核症」の名前の由来です。
感染経路
EBウイルスは主に唾液を介してうつるといわれていますので、Kissing diseaseとも呼ばれています。キスや性交渉などの密接な接触によって人から人へと感染します。
年齢によって変わる症状
感染する年齢によって症状の程度が異なります。乳幼児期では、感染しても明確な症状がみられないことが多いといわれています。
成人以降に初めて感染した場合には、発熱とともに、のどの痛み、首や脇の下のリンパ節の腫れ、皮膚の発疹などの症状がみられます。
主な症状は以下のようになります。
- 発熱
- 喉の痛み
- 倦怠感・疲労感
- 食欲不振
- 寝汗
- 首や脇の下などのリンパ節が腫れる
- 目尻が腫れる(Hoagland徴候と呼ばれます。30%くらいのヒトに見られます)
- 肝臓や脾臓が腫れる
伝染性単核球症では、脾臓が腫れることがあり、脾臓に強い力が伝わると、脾臓が破裂することがあります。4週間程度は、激しい運動やスポーツを避けてください。
診断方法
インフルエンザや溶連菌で使われるような迅速診断キットはありません。
伝染性単核球症を初診で発見することはなかなか難しいです。血液検査で肝臓機能障害や白血球のリンパ球の異常があることをきっかけにこの病気が疑われます。
確定診断には、血液中の抗体価を調べる必要があり、結果が出るまでに1週間くらい時間がかかります。
治療と予後
伝染性単核球症に特別な治療薬はありません。
抗生物質は、伝染性単核球症の原因となるウイルスには無効です。抗生物質は必要ありません。むしろ、薬疹などの副作用を認めることがあります。
発熱や咽頭痛を和らげるように治療を行います。具体的には解熱鎮痛剤などを使用します。
通常、4週間程度で自然に治ります。結構、微熱が長く長く続いたりします。
ごくまれに、重症となることもあります。