子どもの病気

アデノウイルスによるウイルス性胃腸炎が流行中!

保育園でアデノウイルスが流行っているって連絡が来たけどどんな症状がでるの?かかってしまったらどうしたらいいいの?

アデノウイルスは風邪や結膜炎をおこしますが、子どもの嘔吐や下痢といったおなかのかぜ(ウイルス性胃腸炎)を起こすことも多いのです。

本日はアデノウイルスの症状や治療方法、予防方法を解説します。

アデノウイルスはこんなウイルス

ウイルス性腸炎でよく耳にするノロウイルスやロタウイルスとともにアデノウイルスはお子さんの感染性胃腸炎を起こすこと多いウイルスです。

アデノウイルスによる感染性胃腸炎は6歳以下の子どもが多いことや他のウイルス性胃腸炎と比べると下痢の期間が長いといった特徴があります。

下痢便の中にアデノウイルスが入っているので、下痢便を捨てる際には注意が必要です。

アデノウイルスは接触してから症状がでるまで(潜伏期間)に約3~10日かかります。

症状は発熱や嘔吐、下痢といったお腹の症状が多いです。

おなかのかぜとウイルス性腸炎って同じ病気のこと?

同じ病気と考えてもらって大丈夫です。いずれもウイルスが胃腸の中に入りこんで、胃腸の働きを悪くするために、急に吐き出したり、しだいに下痢をしたりします。ウイルス性胃腸炎は「おなかのかぜ」「嘔吐下痢症」などといろいろな呼び方で呼ばれています。アデノウイルスやロタウイルス、ノロウイルスが有名です。

アデノウイルスの診断方法

保育園や幼稚園での流行状況はとても大切な情報です。ぜひ来院前に聞いてみてください。

診断は便の迅速検査で約15分で結果がわかります。当クリニックで行うことができます。お子さんの肛門に綿棒を入れて検体をとり検査をしますので便を持参していただく必要はありません。

ただし便の検査は必ずしも必要はありません。どうしてかというと胃腸炎の原因がどんなウイルスであっても特別な治療はないからです。

待合室で待っている間や検体をとる時に下痢をしてしまうことがありますのでオムツ持参をお願いします。当クリニックにもオムツの用意がありますので必要な時にはお近くのスタッフまでお声かけください。

アデノウイルスの治療法

繰り返しになってしまいますが、アデノウイルス胃腸炎に対して特別な治療方法はありません吐き気止めや下痢止めなどで対症療法をし、自然治癒を待ちます。脱水がひどい時には点滴をすることもあります。

自宅で安静に過ごし、症状が落ち着くまでは水分だけはしっかりととって胃腸を休めましょう。症状が回復してきたら最初はおかゆなど胃腸に負担をかけないものから少しずつ始めていきましょう。

小さな子どもは、とくに下痢や嘔吐による脱水症状を引き起こしやすいので注意が必要です。

OS-1などの経口補水液でこまめな水分補給をしてください。一度にたくさん飲ませると吐き出してしまうこともあるので、何回にもわけて少量ずつ飲ませてあげてください。

母乳や粉ミルクのあげかた

母乳は飲ませてもらって大丈夫です。母乳は胃腸には良いといわれております。一度にたくさん飲ませると吐いてしまう可能性があるので1回の授乳時間を短めにしたり、搾乳して少しずつあたえましょう。

粉ミルクの濃さはいつも通りで大丈夫です。1回のミルク量は少なめにしておきましょう。

アデノウイルス胃腸炎の予防方法

残念ながらアデノウイルス胃腸炎には有効なワクチンはありません。

アデノウイルスによる胃腸炎では1〜2週間以上も下痢が続き、ウイルスの排出期間も長いです。そのため、患者に接触した後の手洗いが大切です。

アデノウイルスはアルコールや石けんが効きにくく、次亜塩素ナトリウムによる消毒が有効です。

2020年以降、新型コロナウイルスの流行後はアデノウイルス感染症の患者さんは減ってきてます。おそらくは、新型コロナウイルス感染症対策としてみなさんがやっている手洗い、環境消毒および飛沫感染防止の徹底が有効だと考えられております。

嘔吐物や下痢便の扱い方は重要

嘔吐物や下痢便から感染が広がることを防ぎましょう。

準備するもの

  1. 使い捨てマスク、使い捨て手袋
  2. 消毒剤:次亜塩素酸ナトリウムなどの塩素系消毒剤や家庭用塩素系漂白剤
  3. ペーパータオル、雑巾などの使い捨てのできるもの
  4. ビニール製ゴミ袋

ご家庭にふだんから常備しておいた方がよいでしょう。おこさんはいつ吐き出すかはわかりません。

手順

  1. 便や嘔吐物に、ペーパータオルや雑巾をかぶせ、汚染場所を広げないよう、中心に向かって拭きとる
  2. 拭きとったあとに、50倍(水500m塩素系漂白剤ハイター10ml)に薄めた塩素系漂白剤で浸すように床を拭き取り、その後、水拭きする。
  3. すべてをビニール袋に入れ、口をしばって捨てる。

便や嘔吐物を乾燥させないことがとても大切です。乾燥すると粉末が飛んで感染源になるからです。できるだけ早く処理をし、窓を開けるなど換気を十分にし、しっかり手洗いしてください。

まとめ

アデノウイルス胃腸炎が流行っているので紹介しました。

  1. アデノウイルスはお子さんの感染性腸炎をよく引き起こすウイルスです。下痢の期間が比較的長く1〜2週間以上も引き起こす可能性があります。
  2. 診断には流行状況の確認が必要ですので来院前に保育園や幼稚園に聞いてみてください。当クリニックで迅速検査が可能です。
  3. 特別な治療方法はありません。吐き気止めや下痢止めなどで対症療法をし、自然治癒を待ちます。
  4. 有効なワクチンはありません。感染予防のために、患者さんに接触した後の手洗いが重要です。また、環境消毒には次亜塩素ナトリウムによる消毒が有効です。

というわけで下痢が長引くアデノウイルス胃腸炎の説明は以上になります。

気になる症状があれば、お気軽にご来院ください。

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