内科&小児科

経口補水療法の3つのコツ【ご家庭でできる脱水治療】

胃腸炎の季節になりました。

例年11月ごろからノロウイルスによる感染性胃腸炎の患者さんが増えだし、12月〜翌1月にピークとなります。

子どもがゲーゲーと吐いていたり、何度も何度も下痢をしていると、脱水にならないかと心配になりますよね。

本日はご家庭でできる脱水治療である経口補水療法のお話です。

特に初めてのお子さん、初めての胃腸炎の時は戸惑いますよね。

コツをつかんでしっかりと脱水を防ぎましょうね。

開始のタイミング

嘔気・嘔吐が落ち着いてから経口補水液を開始しましょう

脱水のなりそうな時から開始したいところですが、嘔気・嘔吐が目立つ場合には落ちついてからで大丈夫です。

口から入ったウイルスは、体は嘔吐という形で必死に外に追い出そうとします。

特に最初の6〜12時間くらいは、嘔吐や嘔気がなかなか止まりません。その後に下痢が出だすと、吐き気はだいぶ楽になります。

本格的に水分をとれるようになるのは下痢が始まったころが一つの目安です。それまでは水分をあげるとしても少量ずつがあげた方がよいでしょう。

嘔気や嘔吐が目立つ時間帯に無理に水分をとらせると嘔吐を引き起こし、かえって体力を奪われ脱水が悪くなってしまいます。

吐くのが落ち着き、眠りにつけそうならそのままいったん寝かせて回復を待つのも一つの手です。

どんなものをあげたらよいか?

「胃腸炎の時はどんなものをあげたらよいですか」とよく質問をうけます。

脱水を防ぐために効果的なのは経口補水液です。

経口補水液は、体内で失われた水分や塩分などを速やかに補給できるように成分を調整した飲み物です。

腸内で水分や塩分が効率よく速やかに吸収されるように、ぶどう糖などの炭水化物とナトリウムなどの電解質の濃度が調整されています。

市販で売られているオーエスワンでもよいですし、病院ではソリタT顆粒が処方されます。

「都合よくそんなものは用意できません」っておっしゃられる方がいそうですが、その場合には味噌汁の上澄みやそれを2倍くらいに薄めたもの、リンゴジュースを2倍くらいに薄めたものでも代用可能ですのでご安心ください。

母乳をあげてよいか質問を受けることがありますが、自由にあげて大丈夫です。

人工乳を薄めるかどうかについても質問をうけますが、薄める必要はありません。

スプーン1杯から始める

「水分をあげたら吐いてしまいました」とおっしゃられる方がいます。

一度にたくさんの量をあげると嘔吐してしまう可能性が高くなります。

スプーン1杯、ペットボトルのキャップ1杯の量からはじめてください。

50ml/kg(10㎏で500ml)の量を4時間くらいかけてあげるのが一つの目安です。

「そんなにうまくいきませんよ」っていう声が聞こえてきそうです。

お子さんは、その時の気分や調子で、飲んだり飲まなかったりしますので、うまくいかなくて問題はありません。

疲れたら休んで、少し間をおいてまた始めましょう。

まとめ

冬は胃腸炎の季節です。ご家庭でできる脱水対策・経口補水療法を紹介しました。胃腸炎かなって思ったときにはお役立てくださいね。

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