アデノウイルスは一年中活動し、常に感染は起こっているのですが、最もその感染が広がるのが夏です。おこさんをお持ちのママであれば知っているかもしれません。非常に感染力の強いウイルスです!
本日はアデノウイルスの紹介をします。外来での診断例が増えてきています。
アデノウイルス
現在確認されているのは80を超える種類があります。咽頭結膜熱(プール熱)になるものもあれば、眼が赤くなって目やにが出るだけのもの、さらには胃腸症状として現れるものもあります。何型がどんな症状を引き起こすのか(一部については分かっていますが)、それほどよく分かっているわけではありません。
一つのアデノウイルスに感染して抵抗ができたとしても、別の型に感染し症状が出てしまう可能性があるため、1シーズンに何回もアデノ由来の夏風邪にかかるということも珍しくありません。
1歳前後にかかることが多い感染症です。
感染経路が多彩
唾液などの飛沫、あるいは涙・鼻水などの分泌物との接触、糞便による経口感染によって感染します。
アデノウイルスは非常に感染力が強く、家族間での感染防止のためには、タオルや食器の共用を避けることが推奨されます。消毒には次亜塩素酸ナトリウムを使用してください。
症状が長い!
潜伏期は5-7日程度です。
多くの型に共通するのは「発熱」で、その経過が比較的長く、4~7日間程度の発熱が上がったり下がったりを繰り返します。長い方では一週間以上も発熱が続くことがあります!長いですよね。
他には、喉の炎症を起こして、喉の痛みや喉や扁桃腺が真っ赤に腫れたり、結膜炎を起こしたりもします。腹痛や下痢、リンパ節の腫れ、膀胱炎などを認めることもあります。
アデノウイルスの検査
アデノウイルスの検査は、咽頭ぬぐい液や便などの検体を使用して行われます。咽頭ぬぐい液は、鼻の奥の粘膜に付着した液体を採取するもので、綿棒などを使用して行います。この方法は、インフルエンザの検査と同様です。
一般的には、検査キットを使用して10分程度でアデノウイルスの判定が可能です。
アデノウイルスの治療方法
アデノウイルス感染症の治療には、以下のような対症療法が一般的に行われます:
解熱剤の使用
高熱が出る場合には解熱剤を使用して体温を下げます。
水分補給
アデノウイルス感染による発熱や嘔吐などの症状によって脱水症状が起こることがあります。水分補給を十分に行い、脱水状態を予防しましょう。水や飲み物、経口補水液を摂取することが重要です。
症状の緩和
喉の痛みやせきなどの症状を和らげるため、お薬を服用することがあります。
休息と充分な睡眠
充分な休息と質の高い睡眠をとることは、免疫力の回復や症状の軽減に役立ちます。体力を温存するために、十分な休息をとるように心がけましょう。
アデノウイルス感染症の症状は通常、1〜2週間で自然に回復します。しかし、症状が長引く場合や合併症が疑われる場合には、受診することをおすすめします。
出席停止
アデノウイルスによる咽頭結膜熱(プール熱)および流行性角結膜炎は、学校などでの伝染病として出席停止の措置が取られます。これらの病気の主要な症状が消退した後でも、出席停止期間は症状の消失後2日間となっています。
ただし、咽頭結膜熱や流行性角結膜炎では、ウイルスは喉から約2週間、糞便からは約4週間にわたって排泄される可能性があります。そのため、感染対策は引き続き必要です。