現在は一年中、インフルエンザや新型コロナ、溶連菌感染症など、さまざまな感染症が私たちの健康を脅かしています。
特に基礎疾患を持つ方や高齢者は、これらの病気にかかると重症化しやすく、心配される方も多いことでしょう。そんな中、高齢者にとって特に危険な「RSウイルス」について、みなさんはご存じでしょうか？
RSウイルスは、乳幼児にとってはよく知られた呼吸器感染症の原因ですが、実は高齢者にとっても大きな脅威です。このウイルスは、特に基礎疾患を持つ高齢者にとって、インフルエンザよりも重症化しやすいと言われています。そこで注目されるのが、GSK社から発売された高齢者向けのRSウイルスワクチン「アレックスビー」です。このワクチンによって、RSウイルス感染症の重症化を防ぐことが期待されています。
RSウイルスワクチンとは？
「アレックスビー」は、RSウイルス感染症の発症や重症化を防ぐ目的で開発された、高齢者向けのワクチンです。
アメリカCDCの発表によると、アメリカだけで年間6万人～16万人の高齢者がRSウイルス感染により入院し、6,000人～10,000人が亡くなっていると推定されています。
日本でも、60歳以上の成人で年間63,000人の入院と4,500人の院内死亡が推定されており、RSウイルスは高齢者にとって無視できない存在です。
ワクチンの効果と対象者
アレックスビーは、60歳以上の高齢者に推奨されています。
特に、肺気腫や喘息、心不全、脳疾患、糖尿病、慢性腎臓病、血液疾患や免疫不全などの基礎疾患がある方、高齢者施設や長期介護施設にお住まいの方には、特に接種を検討していただきたいです。
費用と接種回数
このワクチンは一回の接種で済み、費用は27,000円（税込、当クリニック）です。筋肉注射で行われ、不活化ワクチンなので、他のワクチンとの接種間隔をあける必要はありません。
安全性・副作用
アレックスビーの副作用には、疼痛、頭痛、筋肉痛、関節痛、疲労などがありますが、これらは通常数日間で自然に治まります。
安全性についても、臨床試験でプラセボ群との間に有意差が見られなかったため、安心して接種できると言えるでしょう。
まとめ
RSウイルスは、特に高齢者にとって重大な脅威です。しかし、「アレックスビー」ワクチンにより、RSウイルスによる感染や重症化のリスクを大きく減らすことができます。
60歳以上で、特に呼吸器や心臓にリスクがある方は、接種を検討してみてはいかがでしょうか。医療機関で取り扱っているかどうか確認し、もしなければ、ぜひ接種を受けてください。
この記事が、みなさんの健康維持に少しでも役立てば幸いです。感染症から身を守るために、私たちにできることはまだまだあります。
