
イントロダクション:一度かかったら安心?ノロウイルスの真実
「ノロウイルスに一度感染したら、もう二度とかからないの?」そんな疑問を持ったことはありませんか?
毎年のように流行するノロウイルス。強烈な下痢や嘔吐を引き起こし、感染力も非常に高いことで知られています。
当院でも最近、ノロウイルスの患者さんが増えており、「一度かかれば免疫がついて、もう感染しないのでは?」といった質問をよく受けます。
「一度かかれば安心!」と思いたいところですが、実際はどうなのでしょうか?
今回は、最新の研究をもとに 「ノロウイルスに感染したら本当に免疫がつくのか?」 を解説します!
ノロウイルスの免疫はどれくらい続くのか?
ノロウイルスに対する免疫については、以前から「短期間しか持続しない」と考えられてきました。
1970年代に行われた研究では、「ノロウイルスの免疫は2か月から2年程度しか続かない」とされていました。
しかし、最近の研究によると、この免疫の持続期間は平均4〜8年である可能性が示されています!
なぜ免疫の持続期間が変わったのか?
以前の研究では、ノロウイルスの人工的な大量接種 を行い、再感染するかどうかを調べていました。
しかし、現実世界での感染はもっと少ないウイルス量で起こるため、より長い免疫が得られる可能性があるのです。
また、感染しても 症状が出ない「不顕性感染」 によって免疫が強化されることも考えられます。
つまり、一度ノロウイルスにかかって回復した人は、 数年間は症状が出にくくなる可能性がある ということです。
一度かかるとノロウイルスにかからないの?
「4〜8年も免疫が続くなら、もう安心じゃない?」と思うかもしれませんが、話はそう簡単ではありません。
ノロウイルスには複数の種類がある
ノロウイルスにはさまざまな型(株)があり、すべてに対して免疫ができるわけではありません。
例えば、 GII.4型 は世界中で最も多く流行するタイプですが、 年々変異を繰り返して新たな型が出現します。
このため、「以前かかったノロウイルスと違う型」に感染すると、再び発症することがあります。
免疫があっても感染はする
ノロウイルスに一度感染すると、次に同じ型に感染しても 症状が出ないことが多いことが分かっています。
しかし、ウイルス自体は体内に入るため、無症状のままウイルスを広げる可能性があります。
特に、子どもは 感染力が非常に強い ため、大人が知らないうちにウイルスをもらい、他の人に広げてしまうことも。
どうすればノロウイルスを防げる?

ノロウイルスの再感染を完全に防ぐのは難しいですが、 適切な対策 をすることで感染リスクを大きく減らせます。
手洗いを徹底する
石けんと流水で 30秒以上 しっかり手を洗いましょう。特に、 トイレの後、調理前、食事前 は必ず手洗いを!
アルコールより「次亜塩素酸ナトリウム」
ノロウイルスは アルコール消毒 では十分に死滅しません。塩素系消毒液(次亜塩素酸ナトリウム) を使うと、ウイルスを効果的に除去できます。
食べ物の取り扱いに注意
ノロウイルスは 加熱が不十分な二枚貝(カキなど) から感染することがあります。85℃以上で1分以上 加熱するとウイルスは死滅するので、しっかり加熱しましょう。
感染者の嘔吐物や便の処理は慎重に
ノロウイルスは 少量のウイルスでも感染する ため、嘔吐物や便の処理には注意が必要です。処理するときは 手袋とマスクを着用し、塩素系消毒液でしっかり除菌 しましょう。
まとめ:免疫はあるけど油断は禁物!
ノロウイルスの免疫は4〜8年続く可能性がある
ただし、異なる型に感染すると再び発症することがある
免疫があってもウイルスを広げる可能性があるため、手洗いや消毒を徹底することが大切!
「一度かかったからもう安心!」と思わず、 日々の予防対策 をしっかり行いましょう!