
1. 百日咳は「子どもの病気」ではなくなった
- 2025年に入り、日本全国の百日咳報告数はすでに4,100例を超え、前年1年間の合計を上回りました。患者の約3割が成人で、感染源となった大人から乳児へうつるケースが目立っています。(minamigaoka-hp.or.jp)
- 東京都でも3月以降に流行注意報が出され、「免疫は5〜10年で低下するので追加接種を」と注意喚起が行われました。(idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp)
2. なぜ大人が感染源になりやすいのか?
年齢 | 乳幼児期の定期接種 | 百日咳成分の有無 |
---|---|---|
0〜1歳 | 五種混合(DPT-IPV-Hib)×4回 ※2024年度以降の乳児 四種混合(DPT-IPV)×4回 ※2023年度以前に出生した乳児 | 〇 |
11歳 | 二種混合(DT)(破傷風+ジフテリアのみ) | ✕ |
以降(成人) | 定期接種なし | ✕ |
ポイント
- 四種混合も五種混合も百日咳成分を含むため、乳児期にはしっかり免疫がつきます。
- しかし免疫は4〜12年で低下し、11歳で接種するDTには百日咳成分が入っていないため、
思春期〜成人期は“空白期間”になります。 - この免疫ギャップにより、大人が再感染 → 乳児へうつすケースが増えているのです。
3. 追加接種を特に勧めたい人
乳児(1歳未満)と同居する家族・保育者
百日咳は乳児ほど重症化しやすく、入院や合併症のリスクが高い。周囲の大人が免疫を維持することで家庭内感染を防げます。
妊婦
妊娠中期(27〜36週)に接種すると、母体で産生された抗体が胎盤を通じて赤ちゃんへ移行し、生後早期の重症化を予防できます。
医療従事者
外来・入院病棟・救急外来などで乳幼児や免疫不全患者と接触する機会が多く、知らないうちに感染源となり得るため、定期的な追加接種が推奨されます。
保育・教育関係者
保育園・幼稚園・学校で集団生活を送る子どもと長時間関わる職種。指導者側の免疫保持により、施設内での拡散を防げます。
前回の百日咳ワクチンが10年以上前
そろそろ受けるタイミングです。
大人向け追加接種の選択肢
ワクチン | 百日咳成分 | 接種回数 | 主な特徴・適応 |
---|---|---|---|
三種混合ワクチン(DPT:トリビック® など) | ○ | 1回 | 国内承認品。従来は小児用だが、成人にも使用可。百日咳抗原量が十分でブースター効果が高い。 |
Tdapワクチン(Boostrix® など) | ○ | 1回 | 百日咳抗原量を抑え、副反応を軽減した成人向け製剤。輸入品。 |
ポイント
- 百日咳成分を含むのは DPT と Tdap。成人の追加接種ではいずれかを選択してください。
- 接種間隔の目安は「前回の百日咳ワクチンから 5〜10 年以上経過」したタイミング。
- 妊婦は 妊娠中期(27〜36週) に Tdap 1回接種が推奨(母子感染予防)。
- 医療・保育従事者や乳児と同居する家族は、職場/地域の方針に従い早めの追加接種を検討しましょう。
まとめ
- 百日咳は2025年、成人患者が増え流行中。(healthnews.com.tw)
- 乳児の重症化を防ぐカギは、周囲の大人の追加接種。
- 日本では任意接種(自費)ですが、トリビック® は負担は比較的少なく、1回で免疫をブーストできます。(karada-naika.com)