
1.はじめに
当院周辺の保育園から RS ウイルスに感染した園児さんの受診が増えています。発熱、せきや鼻水がありRSウイルス感染ではないかとのご相談が相次いでおります。。
札幌市の感染動向ページでも、第21週(5 月19–25 日)のデータがすでに公開されており、「例年は冬ピークだが近年は夏場にも流行が伸びる」と注意喚起がなされています。(city.sapporo.jp)
2.“ハイリスク” ベビー
とくに注意したい赤ちゃん | なぜ? |
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生後6か月未満 | 気管支が細く、炎症で呼吸が苦しくなりやすい |
早産児・低出生体重児 | 肺の成熟が遅れ、酸素交換が弱い |
心疾患・慢性肺疾患のある子 | 呼吸に余裕がなく悪化しやすい |
免疫が弱い子 | ウイルス排除に時間がかかり、重症化しやすい |
すぐ受診したいサイン
- 肋骨や鎖骨の下がペコペコへこむ呼吸
- ゼーゼー・ヒューヒューと聞こえる喘鳴
- 38 ℃以上の発熱が続く、または哺乳量がいつもの半分以下

3.おうちでできる3つの予防ステップ
きょうだいケア
兄姉に鼻水や咳があればマスクを着け、帰宅後ただちに手洗い・うがいを。共有おもちゃは 1 日 1 回アルコールなどで拭き取ります。
混雑を避けた外出
乳児連れの買い物は人の少ない午前中や閉店前を選び、滞在は短時間に。ベビーカーのレインカバーで咳飛沫をブロックするのも一手です。
換気+適度な湿度
1~2時間に1回の換気と、室内湿度 50–60 % の維持でウイルスの空中滞留を抑えます。加湿器は週1回のタンク洗浄を忘れずに。
4.“プラス α” アドバイス
授乳姿勢を工夫
軽く上体を起こして授乳すると、気道が開き呼吸が楽になります。
受診メモの準備
症状が始まった日時・最高体温・授乳量・排尿回数を記録しておくと赤ちゃんの状態を客観的に把握できます。受診の時にも便利です。
生活環境の見直し
室内喫煙をゼロにし、ペットの毛やハウスダストをこまめに掃除機で除去することで咳を減らせる可能性があります。
5.まとめ
RS ウイルスは「ゼロ歳の壁」と呼ばれるほど乳児にとって負担が大きいウイルスですが、
- 地域の流行データを早めに把握し(保育園に問い合わせ)、
- ハイリスク児を丁寧に観察し、
- 家庭での小さな対策を積み重ねる
ことで重症化を減らすことができます。ママ・パパが落ち着いて対応すれば、赤ちゃんも安心して呼吸できます。