
高齢者の肺炎を防ぐために、頼れる選択肢がもうひとつ増えました
肺炎は、日本人の死因の第5位。
しかも肺炎で亡くなる方の 約98%が65歳以上 という現実があります。
「歳を取ると肺炎が怖い」と言われるのは、決して大げさな話ではありません。
そして、その肺炎の原因で最も多いのが 肺炎球菌。
むしろ「高齢者の肺炎=肺炎球菌との闘い」と言っても過言ではないほどです。
そんな中で、成人の肺炎球菌感染症予防に特化した新しいワクチン
『キャップバックス®』
が国内で承認されました。
目次
キャップバックス®ってどんなワクチン?
キャップバックス®は 21種類の肺炎球菌血清型 に対応したワクチンで、
日本人成人の市中肺炎で原因となっている肺炎球菌の血清型のうち約71.9%、
侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)で原因となっている肺炎球菌の血清型のうち約80.3%をカバーします。
これは従来ワクチン(プレベナー13やニューモバックス)よりも
さらに広い範囲を守ってくれる ということ。
「より広く、より現実的なリスクに合わせた設計」
というイメージのワクチンです。
侵襲性肺炎球菌感染症はとても怖い
肺炎球菌が血液や髄液に入り込むと侵襲性肺炎球菌感染症と呼ばれる重症感染症になります。
・死亡率:22.1%
・後遺症が残る割合:8.7%
特に高齢の方ではリスクが跳ね上がります。
入院、臓器障害、場合によっては命に関わることも。
肺炎球菌は「ただの風邪の延長」とはまったく別物なのです。
海外でも高く評価されているワクチン
キャップバックス®は米国FDAで優先審査品目として承認され、
CDC(米国予防接種諮問委員会)でも 満場一致で推奨 されました。
欧州でもすでに承認済み。
世界各国が“必要なワクチン”として認めているという流れがあります。
これまでの肺炎球菌ワクチンとの違い
MSDは35年以上にわたり日本の肺炎球菌ワクチンを支えてきました。
ニューモバックス(23価)、バクニュバンス(15価)と続き、
今回のキャップバックス®(21価)が新たに加わり、
大人の肺炎予防の選択肢がさらに強化されたという形です。
接種回数と「どのくらいもつの?」について
キャップバックス®は「結合型ワクチン」と呼ばれるタイプで、免疫の記憶がつきやすい ことが特徴です。成人では 原則1回の接種で完了 とされており、これまでのニューモバックス®(PPSV23)のように、5年ごとに繰り返し再接種するスケジュールは基本的に必要ない と考えられています。
また、過去にニューモバックス®や他の肺炎球菌ワクチンを接種している方でも、前回接種から1年以上あいていれば、追加でキャップバックス®を接種する選択肢があります。
こうすることで、より広い血清型をカバーでき、肺炎球菌感染症に対する長期的な予防が期待できます。
誰が対象になるの?
● 65歳以上の高齢者
● 肺炎球菌感染症のリスクが高い成人
(慢性疾患のある方、免疫が弱い方など)
この2つの層は、特に恩恵を受けやすいと考えられています。
まとめ
肺炎は“年齢を重ねた人ほど避けて通れないリスク”。
そしてその中心にいるのが肺炎球菌。
キャップバックス®は、
「より現実的なリスクに合わせて作られた21価ワクチン」。
高齢者の肺炎を減らし、重症化を防ぐための心強い武器がひとつ増えました。
クリニックとしても、
地域の高齢者の健康を守るうえで大きな意味を持つワクチンになると考えています。
当院での接種料金は13,000円となっております。