子ども

コップを捨て、スプーンを握り締めろ

冬になると胃腸炎が激増します。理由はウイルスが活発になり、家族間で一瞬で広がるから。

ある日突然、子どもが吐く。その瞬間、親はパニックになります。 「脱水になったら大変!今すぐ水分を飲ませなきゃ!」

……実はこれ、診察室で一番よく聞く「やってはいけないNG行動」です。

先日も、「吐いた直後にコップ1杯(150mL)飲ませたら、また盛大に吐いた」と後悔される親御さんがいらっしゃいました。

焦って飲ませるほど、また激しく吐いてしまいます。 落ち着いてください。やるべきことは、この2つだけです。


1. 【最重要】最初の30〜60分は「何もしない」

嘔吐直後の胃は、いわば「シャッターが閉まった状態」で機能停止しています。 ここに良かれと思って飲み物を流し込むと、胃にとっては重すぎる刺激になり、ほぼ確実にまた吐き戻します。

  • 対応: 最初の30〜60分は、何も飲ませない。
  • 理由: 胃を完全に休ませるため。

喉が渇いて泣いている子に、いきなり150mL(コップ1杯)飲ませたくなる気持ちは痛いほどわかります。でも、その1杯が次の嘔吐を呼び、さらに脱水を加速させてしまうのです。まずは「0mL」が正解です。


2. 落ち着いたら「ちびちび」作戦(スプーン1杯ずつ)

30〜60分経って、お子さんの顔色が少し落ち着いてきたら、水分補給を開始します。

  • やり方: ティースプーン1杯(約5mL)を、10分おきに。
    • 計量スプーンがなければ、ペットボトルのキャップ1杯(約7mL)でもOKです。
  • 飲み物: OS-1などの経口補水液がベスト。
  • NG行為: コップでゴクゴク飲ませるのは絶対に避けてください。

もし途中でまた吐いてしまったら、タイマーをリセット。また30分〜1時間休ませてから、スプーン1杯から再開してください。


⚠️ やってしまいがちな「3つの失敗」

  1. 「とりあえずコップ1杯」飲ませる 先述の通り、150mLは今の胃には「爆弾」と同じ。スプーン1杯から始める勇気を持ってください。
  2. スポーツドリンクを選ぶ 糖分が多くナトリウムが少ないため、腸で吸収しきれず「下痢」を悪化させることがあります。脱水対策にはOS-1などの「経口補水液」が黄金比です。
  3. 吐いた直後に薬を飲ませる 薬も胃にとっては刺激物。水分が安定して摂れるようになるまでは、無理に飲ませる必要はありません。

🍴 水分が摂れたら、次は「食事」のステップ

水分を2〜3時間、吐かずに「ちびちび」飲めたら、次のステップです。

  • いつから?: 本人が「お腹すいた」と自分から言い出してからで十分。
  • どれくらい?:「いつもの食事の1/3〜半分くらい」の量から。
    • うどんなら、いつもの半分以下の小皿1杯。
    • お粥なら、赤ちゃん茶碗に軽く1杯。
  • ポイント: 「もっと食べたい」と言われても、そこで一度ストップして1時間様子を見ましょう。一気に食べさせると、また胃がびっくりして吐いてしまいます。

💡 ここでチェック!「すぐ病院に行くべき」サイン

迷ったら以下をチェックしてください。当てはまる場合は、夜間でも受診を検討しましょう。

【レッドフラッグ:迷わず受診を!】

  • 意識がぼーっとしている、視線が合わない
  • 激しい腹痛を伴う、お腹を触るとひどく痛がる
  • 吐いた物に血や緑色の液体(胆汁)が混じっている
  • 半日以上おしっこが出ていない(脱水のサイン)
  • 頭を強く打った後の嘔吐

🩺 よくある質問(FAQ)

Q. OS-1を嫌がって飲んでくれません… A. リンゴジュースを水で2倍に薄めたものや、経口補水液のゼリーを凍らせて「氷」として少しずつ舐めさせるのも有効です。

Q. 吐き気止めの坐薬はいつ使えばいい? A. 吐いた直後ではなく、少し落ち着いてから(水分補給を始める30分前くらい)に使うと、その後の水分摂取がスムーズになります。


まとめ:平時の準備が「家事の崩壊」を防ぐ

嘔吐は「1回」で終わるとは限りません。夜中に布団が戦場になる前に、これだけは揃えておきましょう。

  1. OS-1(経口補水液): いざという時、買いに行けません。
  2. ペットシート: 枕元や布団に敷いておくと、汚物の処理が劇的にラクになります。
  3. 使い捨て手袋・ビニール袋: 親への感染(一家全滅)を防ぐ必須アイテム。

「吐いたら、まず1時間休ませる」。 飲ませたい気持ちをグッとこらえて「時計を見る」こと。それが、今あなたができる最高の看護です。

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