
目次
― じつは血圧とも関係している話 ―
歯みがき。
正直、軽く見られがちです。
「虫歯にならなければOK」
「忙しい朝は省略」
「夜だけやっとけば十分」
でも最近、その認識を変えなければならない研究結果が積み上がってきました。
歯みがき、血圧とも関係している可能性があります。
高血圧は、気づいた時にはもう遅い
高血圧の厄介なところは、
ほぼ無症状で進むことです。
それでも放置すると、
- 脳卒中
- 心筋梗塞
- 心不全
- 腎臓病
と、いつの間にか進行し、容赦なく発症します。
だから高血圧は、
「治療」よりも「予防」が重要視です。
歯みがきをサボる人ほど、血圧が高い?
ちょっと意外かもしれませんが、
世界中の研究で、かなり一貫した結果が出ています。
ポイントはシンプル
歯みがきの頻度が高い人ほど、高血圧が少ない。
- 1日3回以上磨く人
- 1日1回以下の人
この2つを比べると、
前者のほうが高血圧リスクが有意に低い。
しかもこれは、
1つや2つの研究ではなく、
複数の大規模研究+メタ解析で確認されています。
「回数」より「タイミング」が効く話
さらに面白いのがここ。
歯みがきは、
「何回磨くか」よりも
「いつ磨くか」が効いている可能性があります。
研究で名前が挙がるのは、
- 朝食後
- 就寝前
この2つ。
特に朝食後に歯を磨く人は、
高血圧が少ない傾向がはっきり出ています。
電動歯ブラシ、結構いいです。
さらに踏み込んだ研究では、
- 歯みがき頻度が多い
- 電動歯ブラシを使っている
こうした人たちで、
👉 高血圧リスクが19〜28%低下
というデータも出ています。
ここ、重要です。
この差、
歯周病があっても、なくても出ております。
つまり、
「口の中の炎症」そのものが
血圧に影響している可能性
があります。
小さい頃の歯みがき習慣が、将来を左右する
歯みがきは、大人になってから急に身につく習慣ではありません。
多くの場合、その土台は「子どもの頃」に作られます。
小さい頃から
「食べたら歯を磨く」
「朝と寝る前に磨く」
という習慣がある人ほど、
大人になっても歯みがきを続けやすいことが分かっています。
歯みがきは、
子どもの頃に仕込む“一生モノの健康習慣”です。
黒幕は「歯周病」と「炎症」
歯周病って、正直なところ軽視されがちです。
でもじつは、
- 歯ぐきが腫れる
- 出血する
- 骨が溶ける
という慢性炎症。
この炎症が、
- 血管を傷つけ
- 血管を硬くし
- 血圧を上げる
可能性がある。
つまり流れはこう。
歯みがき
→ 歯周病を防ぐ
→ 炎症が減る
→ 血管が守られる
→ 血圧にプラス
となります。
ぼくも歯科には通っています。
ただ、歯周病がひどく、治療に難渋してます。
みなさんには、こうなるまえに歯科に通って定期的メンテナンスをして欲しいです。
もちろん「歯みがき=万能」ではない
年齢、肥満、糖尿病、喫煙。
これらを全部そろえると、
歯みがきの影響は弱まるという報告もあります。
なので、そういう場合には
「歯を磨けば血圧は下がる!」
というわけではありません。
それでも、やらない理由が見当たらない
それでも歯みがきを勧める理由はシンプル。
- 安い
- 今日からできる
- 副作用ゼロ
しかも、
- 口の健康
- 血管の健康
- 将来の医療費
全部にプラスの可能性がある。
やらない選択肢が、あまりに弱い。
結論|歯ブラシは、最強の低コスト健康ツール
歯みがきは、
- 虫歯予防ツール
の役割だけではなく - 血管メンテナンスツール
にもなりつつあります。
歯ブラシ1本、1日2回。
それだけで、
- 口
- 血管
- 未来の自分
を同時に守れるかもしれない。
まだ「歯みがき=虫歯予防」だと思っているなら、
その認識、そろそろアップデートしてもいい頃です。
参考文献・出典
本記事は、以下の疫学研究・メタ解析・観察研究の知見をもとに作成しています。
- Zou L, Zhang M, Fu W, et al.
Meta-Analysis on the Association Between the Frequency of Tooth Brushing and Hypertension Risk.
Journal of Clinical Hypertension. 2022;24(6):689–697.
doi:10.1111/jch.14498 - Hwang SY, Oh H, Rhee MY, Kang S, Kim HY.
Association of Periodontitis, Missing Teeth, and Oral Hygiene Behaviors With the Incidence of Hypertension in Middle-Aged and Older Adults in Korea: A 10-Year Follow-Up Study.
Journal of Periodontology. 2022;93(9):1283–1293.
doi:10.1002/JPER.21-0706 - Choi HM, Han K, Park YG, Park JB.
Associations Among Oral Hygiene Behavior and Hypertension Prevalence and Control: The Korea National Health and Nutrition Examination Survey.
Journal of Periodontology. 2015;86(7):866–873.
doi:10.1902/jop.2015.150025 - Fujita M, Ueno K, Hata A.
Lower Frequency of Daily Teeth Brushing Is Related to High Prevalence of Cardiovascular Risk Factors.
Experimental Biology and Medicine. 2009;234(4):387–394.
doi:10.3181/0809-RM-265 - Tezuka A, Kubozono T, Kawabata T, et al.
Association Between Toothbrushing Habits and Hypertension in the General Population.
Scientific Reports. 2025;15:35333.
doi:10.1038/s41598-025-19217-x - Del Pinto R, Pietropaoli D, Grassi G, et al.
Home Oral Hygiene Is Associated With Blood Pressure Profiles: Results of a Nationwide Survey in Italian Pharmacies.
Journal of Clinical Periodontology. 2022;49(12):1234–1243.
doi:10.1111/jcpe.13720 - Li Y, Yuan X, Zheng Q, et al.
The Association of Periodontal Disease and Oral Health With Hypertension: NHANES 2009–2018.
BMC Public Health. 2023;23:1122.
doi:10.1186/s12889-023-16012-z - Almoznino G, Zini A, Kedem R, et al.
Hypertension and Its Associations With Dental Status: Data From the DOME Nationwide Study.
Journal of Clinical Medicine. 2021;10(2):176.
doi:10.3390/jcm10020176
※本記事は、疫学研究に基づく一般的な健康情報を提供するものであり、特定の治療効果を保証するものではありません。高血圧の治療や管理については、必ず主治医にご相談ください。