子どもの病気

冬になると「便秘が悪くなった」「急に出なくなった」が増えます

冬に入ると、外来でこんな声が増えます。

「今まで落ち着いていたのに、また出なくなりました」
「便秘じゃなかったのに、この冬から急に…」

実はこれ、珍しいことではありません。
便秘で通院中の方の“増悪”や、新しく便秘になる人が、冬に目立つんです。

でも多くの場合、
病気が進んだわけでも、治療が失敗したわけでもありません。

原因は、冬という環境そのもの。

結論:冬は「便秘になりやすい条件」が一気にそろう

先に結論です。

冬に便秘が増える理由は、ひとつではありません。

・水分をあまり飲まなくなる
・乾燥で体から水分が失われる
・寒さで腸の動きが鈍る
・学校や外出先でトイレを我慢しがち
・食物繊維が知らないうちに減る
などなど

この“小さな要因”が重なって、便が硬くなる。
それが、冬の便秘の正体です。

冬は「気づかない水分不足」に陥りやすい

冬は、喉が渇きにくい季節です。
子どもはぜんぜん水を飲みたがらない。

でも実際には、

・暖房で空気は乾燥
・呼吸や皮膚から水分は失われる
・汗をかかない分、飲む量が減る

結果、
軽い脱水状態になりやすい。

便は水分で性質が決まります。
水分が足りないと、腸は便から水を回収します。

つまり、
硬くて出にくい便になりやすい。

ただし注意点。

「水をたくさん飲めば治る」
これは半分だけ正解です。

足りない分を補うことが大事で、
すでに飲めている人に
水だけを増やしても改善しないこともあります。

寒さは、腸と体を“出にくいモード”にする

寒くなると体は、

・血流を守る
・緊張モード(交感神経)が優位になる

腸は後回しにされやすい臓器です。

その結果、

・腸の動きが弱くなる
・排便のスイッチが入りにくくなる

体が自然と「出さない設定」になる。
これも、冬に便秘が悪化しやすい理由です。

トイレを我慢する習慣が、便秘を固定化する

冬は特に、

・トイレが寒い
・落ち着かない
・音や周囲が気になる

こうした理由で、
学校や外出先でトイレを我慢する人が増えます。

我慢が続くと、

・便意に鈍くなる
・直腸に便がたまりやすくなる
・さらに出にくくなる

この流れが、
便秘の慢性化につながります。

冬は食物繊維も、静かに減っている

もうひとつ、見落とされがちなのが食事です。

冬は、

・生野菜や果物が減る
・炭水化物中心の食事になりやすい

エネルギーは足りている。
でも、食物繊維は足りていない

水分が少ない冬に、
繊維まで減ると、
小さくて硬い便ができやすくなります。

ただし、
水分不足や我慢が強い状態で
繊維だけを増やすと、逆に出にくくなる
こともあります。

今日からできる、現実的な対策

全部やる必要はありません。

・朝起きたらコップ1杯の水
・トイレに2〜3分、座る時間をつくる
・「我慢しなくていい」と言葉で確認する
・味噌汁に、きのこやわかめを足す
・おやつを、みかんや干し芋にする

温かく、少しずつ、毎日コツコツ。
これで十分です。

まとめ:冬の便秘悪化は、よくあること

冬に、

・便秘が悪くなる
・新しく便秘になる

これは、珍しいことではありません。

多くの場合、
冬という環境がそうさせているだけ。

生活を少し冬仕様に整えるだけで、
便はちゃんと変わります。

焦らず、責めず、
できるところからで大丈夫です。

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