
「血圧は140くらいあっても大丈夫でしょ?」
そんな考えは、もう過去のものになりました。
2025年に運用されている最新のガイドライン(JSH2025)では、脳卒中や心臓病、腎不全を防ぐための「目標数値」がこれまで以上に明確に示されています。今回は、私たちが目指すべき数字と、今日からできる対策を解説します。
目次
1. ズバリ、目指すべきは「130と125」
最新ガイドラインが定める、一般的な大人の降圧目標は以下の通りです。
| 測定する場所 | 目標数値 |
| 病院・クリニック(診察室血圧) | 130/80 mmHg 未満 |
| 自分の家(家庭血圧) | 125/75 mmHg 未満 |
病院では緊張して血圧が上がりやすいため、リラックスしている自宅での目標は「病院より5低い数字」に設定されています。実は、この「家庭での125」こそが、血管への負担を減らすための最も重要な鍵です。
2. 健康を守る「8つの重要な指標」とは?
世界的に重視されている、心血管の健康を維持するための8項目(Life's Essential 8)です。すべてを整えることが血圧管理の土台になります。
- 食事:塩分を控え、バランスの良い食事を。
- 身体活動:1日プラス10分の歩行から。
- ニコチンへの曝露:禁煙。受動喫煙も避ける。
- 睡眠:最新の重要項目! 質の良い睡眠をとる。
- BMI(体重):適正な体重を維持する。
- 血中脂質:コレステロール値を適切に保つ。
- 血糖:糖尿病を予防・管理する。
- 血圧:これら7つの習慣の結果として管理される。
3. 要注意!腎臓を襲う「トリプルワーミー」
「トリプルワーミー(3つの衝撃)」とは、以下の3種類の薬を併用することで、急激に腎機能が悪化するリスクを指します。
- RAS阻害薬(特定の降圧薬):※「〜サルタン」や「〜プリル」という名前の薬。
- 利尿薬:※血圧を下げるために水分を出す薬。
- NSAIDs(一般的な痛み止め):※ロキソニン、イブプロフェンなどの解熱鎮痛剤。
すべての降圧薬が危険なわけではありませんが、もし血圧の薬(特にRAS阻害薬)を飲んでいる方が、自己判断で市販の痛み止めを常用すると、腎臓に大きな負担がかかることがあります。複数の病院にかかっている方は、必ずお薬手帳を見せましょう。
4. 今日から実践!「ハカロー(測ろう)」キャンペーン
ガイドラインが一番強調しているのは、医療機関での数値よりも「家庭での血圧」です。
- タイミング:朝、起きてトイレを済ませ、数分座って落ち着いた後。
- 個別対応の時代:75歳以上の高齢者や持病がある方は、主治医と相談して「自分に合った目標(無理に下げすぎない等)」を決めましょう。
まとめ:血圧管理は「未来への投資」
血圧を10下げることができれば、脳血管や心臓病のリスクを約2割減らせますといわれています。125/75という数字は、健康な未来を手に入れるための「安心のチケット」です。
まずは明日、朝の血圧を測ることからスタートしましょう!
【この記事を書いた医師】
南22条おとなとこどものクリニック 院長
小林 俊幸
小児科・総合内科
この記事は、札幌市で日常診療を行っている医師が、
診察室でよく受ける質問をもとに執筆しています。
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