内科&小児科

正しいコロナ抗原検査【陰性となった3つの原因】

「コロナ感染のヒトと接触はありません」「自宅で検査したときは陰性でした」とおっしゃって来院され、コロナ抗原検査を実施したところばっちり陽性ってことが少なくありません。

患者さんはとても驚かれますが、日常的に見かける光景です。

当院でよく経験した陰性になってしまった原因が3つほどありましたので解説します。

お役に立てるところがあるのではないかと思いますので参考にしてください。

研究用キットだった 

ドラッグストアで買ったキットで検査をした方はよくいますが、ここに罠もあります。

抗原定性検査キットには、国の承認が得られていない「研究用」と称する製品が出回っています。

ドラッグストアやインターネット等を通じて広告・販売され、比較的簡単に買えるのですが、国の承認を得られておらず、検査性能も保証されていないのです。

中には、あたかも国が承認したものであるかのような文言がパッケージに書いてあるキットもあるようですので騙されないでください。

検査キットは「体外診断用医薬品」または「第1類医薬品」を選ぶ

困っている方は下の厚生労働省のサイトを確認してから購入してください。

新型コロナの検査キットは「研究用」ではなく国が承認した「体外診断用医薬品」又は「第1類医薬品」を選びましょう!

検査のタイミングが早い

コロナ抗原検査は実施するタイミング次第では実際は感染しているのに陰性と出ることがあります。

抗原検査は発症から2〜9日目の検査に適しています。

2〜9日目はウイルス量が多く、抗原検査とPCR検査の一致率が高いのです。

「子どもが熱が出たのでその日に抗原検査したら陰性でした」では、コロナ感染の可能性が否定できません。

この場合は2日目に検査をやり直しましょう。

実は陽性

薄い線は慣れていないと見落とします。

上の画像をみてください。Tのところにうっすらと線が出ており、これは陽性の方のキットです。

患者さんが「陰性であって欲しい」って強く思っていると見落としやすいのかもしれません。

検査結果を確認をするときには目を凝らして確認してください。

採取部位【鼻咽腔の方がよいです】

鼻咽腔からの採取(図の左)の方が鼻腔からの採取(右)よりも感度がよい

一般のご家庭では採取が難しいかもしれませんが、検査の検体は鼻咽腔の方が陽性と出やすいです。

感度が10%程度あがります。

あまり奥に入れると鼻血を出してしまう危険もあります。特にお子さんから採取する時には当院でも複数名のスタッフで抑えながら実施しています。

お子さんの体を抑えるには意外に熟練の技が必要ですのであまり無理をしない方がよいと思います。

コロナ自己検査のメリットデメリット

札幌市のデータでは、1日あたり1200〜1500人前後が、自己検査で対応してくれています(2022年11月23日)。

自己検査が増えることで医療機関の負担はかなり軽減しております!

しかし、上記のような理由で検査がうまくいかない方もいらっしゃるのも事実です。

検査しないと風邪との区別が困難なコロナ感染ですが、病歴や感染者との接触、身体所見から疑わしいと考えられることがあります。

また、病歴や診察をしてみるとコロナよりは他の感染症の方が怪しいということもあります。実際に、溶連菌だったり、RSウイルスだったり、尿路感染症であることもあります。

確かに検査キットは感染症の診断をするための大切な補助手段ですが、陰性だった場合にはいろいろと考えなくてはならない場合もあるので困った際には相談してください。

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