子どもの病気

ワクチンは自然免疫を邪魔する?

はじめに 〜 最近のワクチンニュース、追いつけてる?

ここ数か月だけでも「15価小児肺炎球菌ワクチン(PCV15)が定期接種候補に」「生後6か月までに1回で済む RS ウイルス長期抗体製剤(ニルセビマブ)が承認」「百日咳ワクチンの追加接種が議論に」など、子ども向けワクチンのニュースが目まぐるしく更新されています。タイムラインを眺めるたびに「結局うちの子は何をいつ打てばいいの?」と戸惑う瞬間、ありませんか?

そこへ追い打ちをかけるように SNS では「ワクチンで自然免疫が壊れる」「HPVワクチンはいらない」といった真逆の情報も拡散。小さな不安が雪だるま式に大きくなるのも無理はありません。

そんな見出しを見かけても、ひとまず深呼吸。

ワクチンは、試験管レベルの基礎研究から数万人規模の治験(第Ⅰ〜Ⅲ相)まで 何年もかけて有効性・安全性・副作用の有無を徹底検証 し、厚生労働省の厳しい審査を経てようやく承認・販売されます。その豊富なデータを根拠に、国立感染症研究所や厚生労働省 も『ワクチンで免疫力が落ちることはありません』と明確に示しています。

本記事では、『ワクチンって自然免疫と獲得免疫にどう関わるのか?』について解説。読み終える頃には「わが家は次にどう動く?」がスッとイメージできるはずです。ソファでくつろいで肩の力を抜きながら、気楽に読み進めてくださいね。

1. 体の防御部隊は 2 チーム制

イメージは「自宅を守るセキュリティシステム+警備会社」。

チーム例えるなら役割反応スピード
自然免疫玄関チャイム&番犬見知らぬ侵入者を見つけた瞬間ワン!と吠えて撃退。数分〜数時間
獲得免疫プロの警備員一度登録した「顔写真データベース」を活用し、再侵入を即座に取り押さえ。数日後から一生

自然免疫が「不審者発見!」とベルを鳴らすと、獲得免疫が情報を受け取り「前に来た泥棒だ!」とピンポイント攻撃。2 チームの連携プレーで、大きなケガ(重症化)を防いでいるのです。

そしてワクチンは、泥棒の顔写真をプリントした“訓練用ポスター”。本物が押し寄せる前に、警備員に顔を覚えてもらうからこそ、次の来襲で素早く対応できる——これが「予防接種で守る」の仕組みです。

2. ワクチンをめぐる 3 つの勘違い ワクチンをめぐる 3 つの勘違い

勘違い ①「自然感染の方が強く守れる」

確かに“本番”で得た経験はリアルですが、代償が大きすぎます。高熱・入院・後遺症 — これらは避けたい。ワクチンなら、安全な模擬試合で同じレベルの守りをゲットできます。

勘違い ②「同時接種は赤ちゃんに負担」

私たちの免疫は毎日ほこりや花粉、何万という“異物”と付き合っています。数本の注射は、そのスケールから見れば小さな追加ゲスト。世界中で安全性が確認されています。

勘違い ③「打ちすぎると免疫疲れ」

“免疫がへとへとに…”という表現を耳にしますが、研究では確認されていません。逆に、接種で得た記憶免疫がサッと立ち上がるおかげで、自然免疫の負担が軽くなる面も。

3. 情報の波に溺れない 3 つのコツ

① 発信者をラベルチェック

「医師監修」「厚労省資料」など肩書きやリンクが付いているかをまず確認。匿名や肩書き不明の記事は一歩引いて読みましょう。

② 数字と根拠を探す

「〇%減る」「○人中×人が~」など具体的なデータ・グラフ・論文リンクがあるか? 数字ゼロの記事は要注意です。

③ 強い言葉は一旦スルー

「絶対危険!」「今すぐやめて!」など極端な表現は感情を揺さぶるサイン。一次ソース(厚労省・WHO など)の Q\&A を開き、“本当にそう書いてあるか”を確かめてみてください。

3 ステップを踏むだけで、ネットの“大波”も小さなさざ波に。

まとめ 〜 ワクチンは味方

ワクチンは自然免疫のじゃまをするどころか、心強い相棒。正しい情報でスッキリ納得し、子どもたちを守る選択を。

接種の順番やスケジュール、そもそも予防接種を打つべきかどうか?迷ったらご相談ください。

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