子どもの病気

「ただの風邪」だと思ったら全身に発疹が…?溶連菌の特別なタイプ「猩紅熱」とは

お子さんが急に熱を出し、喉が痛いと訴え始めたとき、多くの保護者の方は「また風邪かな」と思うかもしれません。しかし、その翌日、体に奇妙な発疹が現れたら要注意です。

触るとザラザラして、まるで紙やすりのような細かい赤いブツブツ。それは、ただの風邪ではなく、「猩紅熱(しょうこうねつ)」という病気かもしれません。

名前は少し聞き慣れないかもしれませんが、実は子どもの間でよく流行し、現在流行しつつある「溶連菌(ようれんきん)感染症」の仲間です。この記事では、見落としがちなサインや、知っておかないと怖い合併症のリスクについて解説します。

1. 猩紅熱の正体は、ウイルスではなく「細菌」

多くの人が「喉の痛みと発熱」と聞くと、風邪やインフルエンザのようなウイルス性の病気を思い浮かべるでしょう。しかし、猩紅熱の原因は異なります。

猩紅熱はウイルスではなく、「A群β溶血性連鎖球菌(A群溶連菌)」という細菌によって引き起こされます。

最大のポイントは、「ウイルスには効かない抗菌薬(抗生物質)」が治療に不可欠であるという点です。放置したり、市販の風邪薬だけで済ませたりしてはいけない病気なのです。

2. なぜ「普通の溶連菌」と呼び方が違うの?

病院で「溶連菌ですね」と言われることと、「猩紅熱ですね」と言われることに、戸惑う方もいるかもしれません。

実は、喉に感染した溶連菌が、ある特定の「毒素」を出すことがあります。この毒素に対して免疫を持っていない子が、全身に真っ赤な発疹を起こした状態を、特別に「猩紅熱」と呼びます。

つまり、「溶連菌感染症の中でも、発疹が強く出るタイプ」と考えると分かりやすいでしょう。

3. 見分けるカギは「3つの特徴的なサイン」

猩紅熱は、風邪と見分けるためのサインを持っています。以下の3つがお子さんに現れていないかチェックしてください。

サンドペーパー状の発疹

細かく赤い点状の発疹が全身に広がります。触るとザラザラとした感触があり、首や脇の下、足の付け根など、皮膚のしわになる部分で色が濃くなるのが特徴です。

いちご舌

発症して数日経つと、舌に表面に白い舌状のものが生じます。その後に表面が赤くブツブツと腫れ上がり、まるで熟した苺のように見えます。

口囲蒼白(こういそうはく

顔全体が赤くほてっているのに、なぜか口の周りだけが白く抜けたように見える状態です。

【重要】
これらの症状は、熱が出てから1日ほど遅れて現れることがよくあります。「最初はただの喉風邪だと思った」というケースが多いのはこのためです。

4. 本当に怖いのは、治った後の「合併症」

猩紅熱そのものは、現代では抗菌薬でしっかり治せる病気です。しかし、本当に怖いのは「中途半端に治すこと」で起こる合併症です。

治療が不十分だと、数週間後に以下の病気を引き起こす可能性があります。

  • リウマチ熱: 心臓や関節に炎症が起こる
  • 急性糸球体腎炎: 腎臓の機能が低下し、血尿やむくみが出る

これらは一生に関わるダメージになることもありますが、適切な服薬で防ぐことができます。

【保護者の方へのお願い】
抗菌薬を飲み始めると、2〜3日で驚くほど熱が下がり、元気になります。しかし、そこで自己判断で薬をやめるのは絶対にNGです。体内に残った細菌が牙を剥かないよう、処方された分(通常10日間前後)は必ず最後まで飲み切ってください。

保護者が今すぐ知っておきたいQ&A

Q. いつから登園・登校していいの?

一般的には、抗菌薬の服用を開始してから24時間以上が経過し、熱が下がって本人の元気が戻れば登校可能とされています。ただし、自治体や学校園によってルールが異なるため、必ず主治医の許可を得るようにしましょう。

Q. 家族への感染を防ぐポイントは?

溶連菌は「しぶき」や「接触」でうつります。

  • タオルや食器の共有は避ける
  • 大人が看病した後は、こまめに手洗い・アルコール消毒をする
  • 兄弟がいる場合は、後から熱が出ないか数日間注意する

【この記事を書いた医師】
南22条おとなとこどものクリニック 院長
小林 俊幸
小児科・総合内科
この記事は、札幌市で日常診療を行っている医師が、
診察室でよく受ける質問をもとに執筆しています。
▶ 院長プロフィールはこちら

  • この記事を書いた人

小林 俊幸

【この記事を書いた医師】 南22条おとなとこどものクリニック 院長 小児科・総合内科 この記事は、札幌市で日常診療を行っている医師が、 診察室でよく受ける質問をもとに執筆しています。

-子どもの病気

がんばりすぎない健康のはなしをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む