
「お兄ちゃんはA型なのに、数日後に発熱した下の子はB型だった…」
「型が違うと、症状の重さやケアの仕方も変わるの?」
家族の中でA型とB型がバラバラに出ると、親御さんは「どう対応すればいいの?」と戸惑ってしまいますよね。実は、インフルエンザの流行期には、それぞれが別の場所から違う型をもらってくることは珍しくありません。
今回は、最新の研究データに基づいた「A型とB型の本当の違い」についてお話しします。
1. なぜ兄弟で「違う型」になるの?
それは、「それぞれが別の場所で、別のウイルスをもらってきたから」です。
- お兄ちゃん: 学校で流行っていた「A型」をもらってきた
- 弟くん: 習い事や公園で流行っていた「B型」をもらってきた
同じ家の中にいても、感染源が別々であれば型が分かれることがあります。これは「うつし合った」のではなく、たまたま別々のウイルスが家庭内に持ち込まれた状態です。
2. A型とB型、症状に違いはあるの?
結論から言うと、「A型とB型で、症状に大きな違いはありません」。
以下の表のように、どちらの型も同じくらい「しっかりしんどい」のが現実です。
| 症状 | A型 | B型 |
|---|---|---|
| 急な発熱 | ◎ | ◎ |
| 頭痛・筋肉痛 | ◎ | ◎ |
| 全身のだるさ | ◎ | ◎ |
| 咳・のどの痛み | ◎ | ◎ |
以前は「B型は熱が出にくい」「B型はお腹に来る」と言われることもありましたが、近年の多くの研究では、重症度やしんどさに明確な差はないことが分かっています。症状だけで「これはA型だ」「これはB型だ」と判断することは、医師であっても困難です。
3. 看病で最も注意すべき「リレー感染」
親御さんに一番知っておいていただきたいのが、「型違いのうつし合い」です。
一度かかればその型に対する免疫(バリア)ができますが、ここで注意が必要なのは、「A型のバリアは、B型には全く効かない」ということです。
- A型バリア: A型のウイルスは防げるが、B型には無効
- B型バリア: B型のウイルスは防げるが、A型には無効
そのため、「A型が治りかけのお兄ちゃんに、弟くんのB型がうつって再発熱する」という、最悪のリレー感染が起こるリスクがあります。「一回かかったからもう安心」と思わず、家族全員が完治するまでは、家庭内での手洗いやタオルの使い分けを徹底しましょう。
まとめ:型が違っても、やるべきことは同じです!
「兄弟で型が違うから、特別なケアが必要?」と身構える必要はありません。
A型でもB型でも、治療の基本は「安静・水分補給・十分な睡眠」です。どちらの型であっても、お子さんが辛そうな時は早めに受診し、処方されたお薬を正しく服用しましょう。
「もう一人が発熱したけれど、最初の子と少し様子が違う気がする…」と不安になった時も、遠慮なくご相談くださいね。
【この記事を書いた医師】
南22条おとなとこどものクリニック 院長
小林 俊幸
小児科・総合内科
この記事は、札幌市で日常診療を行っている医師が、
診察室でよく受ける質問をもとに執筆しています。
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