子ども

春のお祝い料理に潜む罠?銀杏中毒は「加熱しても」防げません

3月は卒業・入学・ひな祭りと、家族で食卓を囲む機会が多い季節です。茶碗蒸しやおこわに欠かせない銀杏(ぎんなん)は、翡翠色が食卓を華やかに彩ってくれますよね。

この時期、スーパーの水煮パックや真空パックを使う方も多いと思いますが、一つ気になることがあります。「市販品だから安心」「しっかり加熱したから大丈夫」と、小さなお子さんにたくさん食べさせてはいませんか?

銀杏には、火を通しても消えない毒が含まれています。


加熱しても毒性は変わらない

「生の銀杏は危ないけど、火を通せば大丈夫」と思っている方は多いのですが、これは誤解です。

銀杏中毒の原因物質であるギンコトキシンは熱に非常に強く、茹でても焼いても揚げても、毒性はほとんど失われません。市販の水煮缶詰や揚げ銀杏のおつまみでも、食べすぎれば中毒を引き起こす可能性があります。


何粒までなら大丈夫? 年齢別の目安

銀杏中毒の患者の約7割は10歳未満の子どもです。大人は解毒能力が高いため数十粒食べなければ症状が出にくいのですが、子どもはわずか数粒で重篤な症状が現れることがあります。

年齢目安ポイント
5歳未満食べさせない解毒能力が未熟で、1〜2粒でも発症例あり
子ども(10歳ごろまで)1〜3粒程度多くても5粒以内が安心
大人10粒以内40〜50粒以上でリスクが高まる

※体質や体調によっては、1粒でも症状が出ることがあります。あくまで目安としてご参考ください。


なぜけいれんが起きるのか

私たちの脳は、24時間休まずに電気信号をやり取りしています。でも、信号が出っぱなしだと脳がパニックを起こすので、常に「ブレーキ(落ち着かせる物質)」を作ってバランスを取っています。

① ブレーキ工場と「職人さん」

脳の中には、ブレーキ役の物質(GABA)を作る工場があります。 そこには「職人さん(酵素)」がいて、仕事をするための「専用の道具(ビタミンB6)」を使いながら、せっせとブレーキを作っています。

② 銀杏に含まれる「ニセモノの道具」

銀杏をたくさん食べると、銀杏の成分が脳に流れてきます。この成分、実は本物の道具(B6)と形がそっくりなんです!

  • 職人さんの勘違い: 職人さんは「お、道具が来たな」と、間違えて銀杏の成分(ニセモノ)を手に取ってしまいます。
  • 仕事がストップ: ところが、それはニセモノなので、いくら動かしてもブレーキを作ることができません。
  • 本物が使えない: 職人さんがニセモノを握りしめたままフリーズしてしまうので、横に本物の道具(B6)があっても、使うことができなくなります。

③ 脳が「アクセル全開」で大暴走!

ブレーキが作られなくなると、脳の中は「ブレーキの壊れた車」ばかりの状態になります。 電気信号がめちゃくちゃに飛び交い、脳がコントロールを失って、体が勝手にガクガク動いてしまう……。これが「けいれん」や「ひきつけ」の正体です。


こんな症状が出たらすぐ受診を

銀杏を食べてから1〜12時間以内に、以下の症状が現れることがあります。

  • 激しい吐き気・嘔吐
  • ふらつき・めまい
  • 顔色が悪い
  • けいれん・ひきつけ

「食べてから様子がおかしい」と感じたら、すぐに小児科や夜間救急へ。その際、「いつ・何粒食べたか」を伝えることが適切な処置につながります。


知識があれば、安心して楽しめる

銀杏は「食べてはいけない食材」ではありません。大切なのは、「加熱しても毒は消えない」「子どもには数粒まで、幼児には控える」という二つのことを頭に入れておくことです。

春のお祝いの食卓が、家族みんなにとって安全で楽しい時間になりますように。ぜひ周りの方にもシェアしてみてください。

 

-子ども

がんばりすぎない健康のはなしをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む