最近の外来でみなさんが心配されることの一つに風邪の症状が長く続いているので新型コロナウイルス感染が心配ということがあります。
「新型コロナに特徴的なのは、症状の続く期間の長さです。新型コロナウイルス感染症は風邪やインフルエンザの症状とよく似ていますが、症状が続く期間がそれらと比べて長いという特徴があります。」というフレーズは皆さんもどこかで聞いてことがあると思います。
このフレーズが耳に残っていれば、風邪の症状が長く続いたら新型コロナウイルス感染が心配になるのももっともです。
個人的には風邪にひいたら2-3日で体調が良くなることはむしろ少なく、数日、あるいは数週間はなんか調子が悪いということを経験したことがあります。年齢のせいかもしれませんが・・・。
しかし、本当に風邪の症状は新型コロナウイルスの症状より短いのでしょうか?
新型コロナウイルスの経過
下の図は新型コロナウイルスの経過をお知らせする際によく引用される新型コロナウイルス感染診療の手引きから引用しました。
もちろん、この中にも後遺症がしばらく続く方もいらっしゃると思います。約80%の軽症とされる方であっても一週間ではすっきりと改善しない方もいらっしゃると思います。ただ、大多数の患者さんは一週間程度で軽症のまま治癒します。
症状の持続期間は、その患者さんの持っている体力や栄養状態、基礎疾患、生活環境、精神状態などに大きく左右されるのではないかと思います。
感冒の症状は本当に短いか?
ある報告によると感冒の症状は健康な方ではたいていは3~10日続きます。
Kirkpatrick GL. Prim Care. 1996;23(4):657.
Terho Heikkinen, et al. Lancet. 2003; 361(9351): 51–59
また、特に喫煙者ですが、2週間も症状が続く方が25%います。
Turner RB. Ann Allergy Asthma Immunol. 1997;78(6):531.
10%の方は3週間以上も症状が続くことがあると言われております。
咳については他の症状が改善したとしても何週間もの間続く可能性があります。
Ebell MH et al. Ann Fam Med. 2013;11(1):5.
子どもの感冒は3週間くらい続く可能性があります。
Hay AD et al. Ann Fam Med. 2019;17(1):14–22.
さいごに
感冒の症状のピークは発症して2-3日のことが多いかと思いますが、風邪の症状は何週間にもわたって長引くことがあります。
風邪の症状がたとえ長引いたとしても、全ての方が新型コロナウイルス感染とは違うのです。