内科

妊娠と喘息

外来でも受診されることの多い喘息ですが、子どもから大人まで患者さんの数は増えており、それに伴って妊娠・出産する女性の喘息患者さんも増えております。

もちろん、喘息の治療中でも妊娠・出産することはできます!

「妊娠すると喘息の症状がひどくならないの?」、「妊娠したけど薬を使い続けていいの?」、「お腹の中の赤ちゃんに影響があるの?」

この記事では、喘息をもつ妊婦さんの不安や疑問にお答えし、気をつけてほしいポイントを紹介いたします。妊娠中であっても安全に使える薬はありますので、上手に症状をコントロールしながら体調を管理していきましょう。

喘息の患者さんの数は増えている

平成16年度厚生労働省国民生活基礎調査より

日本では、喘息の患者さんが増えてます。1960年代では子どもも大人も1%前後でしたが、最近の調査では子どもで約6倍、大人で約3倍になり、全体では400万人を超えました。

屋内のアレルゲンの増加、大気汚染、食品や住宅建材などの化学物質、長時間勤務による過労やストレスが増えたこと、清潔すぎる環境などが喘息を発症させる要因のひとつと考えられます。

妊娠すると喘息の症状がひどくなるのか?

妊娠すると、約3分の1の人が喘息の症状が悪化します。逆に症状が改善する人も3分の1、変わらない人も3分の1います。

「どんな人が悪化するのか」は、いろいろな原因によるため、妊娠前に予測するのは困難です。今まで治療をして安定していても、治療が終了したヒトも妊娠をきっかけに喘息の症状が再発することもあるので油断はなりません!

また、妊娠24~36週では症状が悪化しやすく37~40週では軽くなるという報告もあります。

薬を使っても大丈夫なのか

大人の喘息に使用される主な薬は吸入ステロイド薬ですが、妊娠中もこの薬を使用することができます。

「ステロイド」と聞くと、効果はあっても副作用が強い薬というイメージがあるかもしれませんが、喘息の治療で使う吸入ステロイドは、肺や気管支の粘膜にとどまって炎症を抑えるように作られているので、全身への影響はほぼありません。量は内服薬と比べると1/1000程度です。医師・薬剤師の指示通りに正しく使用していれば問題となることはありません。

ほかにも妊婦さんに使うことのできる薬剤があるのでそれらを組み合わせて治療をしていきます。

喘息が妊娠・出産に及ぼす影響

喘息発作は、妊婦さんの血液中の酸素を減らすだけでなく、胎児に充分な酸素を送ることができないため低酸素血症をもたらしやすく、流産や胎児発育不全などのリスクを高めてしまいます。喘息患者では正常妊娠に比べて、早産や低体重児出産などの頻度が高いことも報告されています。

喘息の原因を避けよう

喘息の原因がある場合にはそれを避けることを考えてましょう。タバコを吸っている方であれば禁煙することが大切です。同居人が喫煙する場合にも禁煙を勧めてください。

アレルゲン(アレルギーの原因となるもの)をできるだけ避けることが大切です。最近はペットを飼う方が増え、イヌやネコによって喘息が起こる方もしばしば見かけます。妊娠から出産の間だけでも実家に預けたり、それが難しい場合にはペットの毛やフケが飛び散るのを減らすため、体をケアしたり、空気清浄機を購入したりすることで対策をしましょう。ペットが喘息の原因になっている場合どうしても喘息は重症化しやすくなります。

参考文献】環境再生保全機構 悪化因子の対策

妊娠中の喘息のまとめ

  • 日本では喘息をもつ患者さんは増えてきており、それに伴って妊娠・出産に直面する妊婦さんの数も増えてます。
  • 喘息の治療を受けていた妊婦さん、治療を終えて安定していた妊婦さんが妊娠することをきっかけに喘息の症状が悪化してしまう場合があります。
  • 妊娠中も喘息の治療を受けることが可能ですし、妊婦さんとおなかの中の赤ちゃんのためにも治療を継続することが重要です。自己判断で薬や治療をやめてしまうと大変危険です。

きちんと治療を続け、お腹の中の赤ちゃんに十分な栄養と酸素を与え、喘息がコントロールされた状態を維持することが大切です。

-内科