子どもの病気

こどもの包茎の話【無理にはがさない!】

この子のおちんちんは正常なのかしら?包茎だから治療が必要かしら?

健診や外来で男の子のおちんちんや包茎について質問を受けることがあります。

お母さんはおむつを交換するたびに気になるかもしれません。正常なおちんちんの状態がよくわかりませんよね。

本日は子どもの包茎についてのお話です。

包茎とは

おちんちん(陰茎)を包む皮のことを包皮といいます。陰茎の先端を亀頭といいます。包皮の口が狭いために包皮をむいて亀頭を出せないものを真正包茎といい、むくことは出来るが通常は亀頭を被っているものを仮性包茎といいます。

こどもが真性包茎であると心配で治療をしなきゃって思うかもしれませんが、真性包茎は普通に見られるものです。

思春期になると性ホルモンの働きで、亀頭や陰茎が急速に発達・成長し、包皮も柔らかく伸びやすくなって、自然に亀頭包皮が露出しやすくなります。

生まれてきた男の赤ちゃんは包茎の状態が正常でほぼ100%のお子さんが包茎です。この時期は包皮と亀頭表面とが完全には分離しないでくっついています。

その後に徐々に真性包茎の割合は減っていき、1歳までの乳児では約80%、1歳から5歳の幼児では約60%、小学生では約30%です。

思春期(14才から15才頃)になると性ホルモンの働きで、亀頭や陰茎が急速に発達・成長して、包皮も柔らかく伸びやすくなって、自然に亀頭包皮が露出しやすくなります。

従って、思春期までは包皮を完全にむいて下げることが出来ない男の子は少なくありません。包皮がむけないと言う理由だけでこどものときに手術や特別な治療は不要といえます。

包茎の問題点

恥垢(ちこう)

思春期までは放置を 「自然に亀頭が見える」 自治医大病院・中井教授に聞く、より引用

おちんちんと包皮のあいだに「白いかたまり」があり、それが悪いものではないかと心配で相談を受けることがあります。

これは皮膚の表面の新陳代謝によりできた垢(あか)であり恥垢(ちこう)と呼びます。これは決して悪いものではありません。恥垢があることによって自然と包皮と亀頭表面の分離が進みむけやすくなります。意外に重大な役割を果たしています。

通常この垢には細菌はついていません。成長とともに包皮がむけてくると自然に排出されるので特別な治療は不要です。

排尿時の包皮のふくらみ

【医師監修】むきむき体操(包皮翻転)は必要? 子供のおちんちんトラブルについて、より引用

包皮口が狭いと排尿したときにおちんちんの先端が風船状にふくらむことがあります。そうするとおしっこが飛び散りトイレを汚して困るということはあります。しかし、そのために尿の出が悪くなったり、体の状態が悪くなるといったことはおこりません。

亀頭包皮炎

おちんちんの先端が赤く腫れて痛がる、ということを男の子は経験することが少なくありません。

これは包皮先端の炎症で、亀頭包皮炎と呼びます。外来でよくみられる病気の一つです。短期間の抗菌薬の内服や塗り薬でよくなります。

何度も何度も繰り返す場合を除けば包茎の治療は必要ありません。

治療

基本的に何もしないで経過をみていくことがおすすめです。治療が必要な包茎は、包皮の嵌頓既往や繰り返す感染症、排尿障害を伴っているもの等です。軟膏を塗る方法や手術による治療があります。

軟膏を塗る方法

包皮をずり下げてむけなくなる狭い部分に少量のステロイドの入った軟膏を薄く塗ります。一定期間以上(少なくとも2週間以上)継続する必要があります。

無理をすると嵌頓してしまうので注意が必要です。

まとめ

男の赤ちゃんはみんな生まれつき包茎ですのでご安心ください。お子さんの成長とともに亀頭と包皮は自然とはがれていき、多くは思春期くらいまでには剥けるようになります。

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