昭和生まれのおじいちゃん、おばあちゃんと来院される平成生まれのお母さんを想像してください。
育ってきた環境や子育てに関する情報量が違うので子育てにも違いがでてきます。
外来で観察させていただくと、受診中に意見が食い違っていたり、お子さんの受診のタイミングをおばちゃんが決めて「そんなに高い熱が出ているなら、すぐに診てもらいなさい」なんてことも珍しくないと思います。
様々な昭和と平成の子育ての違い
お母さん世代とおじいちゃんおばあちゃん世代にある子育ての情報量や情報の質の違いによって子育て方法が異なってきます。
以前に信じられていた方法が科学的に正しくなかったと証明されていることがたくさんあります。
熱が出たら布団にくるまって汗をかいて熱を下げる
これはぼくも経験したことがあります。
汗をびっしょりとかいた後で着替えて熱をさげる方法です。
外来でもよく質問されます。
現在では無理に汗をかかせて熱をさげても風邪自体が早く治ることはないことがわかっています。
熱の出始めで寒気が強いなら布団で寝て、熱が出きって暑がるようであれば薄着にさせます。
汗を無理にかかせることでの脱水になることを心配になります。
抱き癖
昭和の時代では、抱き過ぎない方がよいという風潮がありました。
おじいちゃんやおばちゃんから「抱き癖がつくからあまり抱っこするのはやめなさい」って言われたことはありませんか?
以前には、「甘やかすと子供が自立できなくなる」、「しっかりと泣いた方が肺が強くなる」と信じられていました。
はじめて子育てをするお母さんは「そうなんだろうか?」と不安になると思います。
けれども心配はいりません。赤ちゃんの「抱っこ」と「自立できないこと」や「肺が強くなること」は何の根拠もありません。
むしろ泣いたときに抱いてあげると自己肯定感や他人への信頼が育つともいわれており、今は泣いていたら抱っこをしてあげる方が当たり前です。
予防接種後の入浴
「夫の母と同居しています。予防接種をした夜の入浴をどうするかでもめました」「患部をこすらなければ入っても大丈夫だと看護師から言われた」と話しても、「入ったらいけない」と止められます。入浴しようとするととても嫌な顔をされるなんてやり取りがあるんじゃないでしょうか?
現在では入浴をしても特に差し支えないことがわかっています。
なぜ「子育ての世代間の考え方のずれ」が生まれたのか?
医学の進歩とか赤ちゃんの発達に関する科学的な進歩によって、以前よりもさらによい方法が提案されていることと自分たちの生きているそのときどきの時代の価値観が一番いいと思いこんでしまうことが原因だと思います。
「子育ての世代間の考え方のずれ」をなおす方法
ぼくもいまだに新たに発見したり、気が付かされることがあります。
今までそうだと信じていたことが否定されるとかなり戸惑いますし、にわかには信じたくないし、否定すらしたくなります。
現在、情報量がすごく多くて、以前に比べると海外の情報も気軽に吸収することができます。
今まで信じていたことが間違いだったなんてことは日常茶飯事の時代です。
今、自分たちが信じている情報は次の時代には否定されるかもしれないという謙虚さと科学的に根拠がわかったことはそれを受け入れる柔軟性や寛容さが大切だと思います。