結論:子どもの発熱に際して、独自の判断で以前の処方薬、とくに抗菌薬を使用するのは避けるべき。
子どもが夕方や夜に突然熱を出したとき、親としての不安や焦りは計り知れません。そんな状況で、手元に以前医師から処方された抗生剤が余っていると気づき、これを使えば熱が下がるのではないかと考えることは想像に難くありません。
「以前処方された抗生剤を今使っても良いのか?」
このような質問は、我々がよく受けるものです。しかし、この行動は本当に適切なのでしょうか。しっかりと背景を検討する必要があります。
子どもの発熱の大部分はウイルス感染が原因であり、抗生剤はウイルスに対して効果はありません。ウイルスが原因の場合、抗生剤を飲んでも症状の改善は期待できません。さらに重要なことは、抗生剤を適切でない時期や方法で使用すると、実際の病原体の診断や治療が遅れるリスクがあるという点です。
具体的な例を挙げると、溶連菌感染症や尿路感染は抗生剤の治療が必要となる疾患です。特に、溶連菌感染の場合、治療開始後は10日間、中断することなく継続して投与することが求められます。これらの感染症の初期症状に対し、計画的でない方法で以前の抗生剤を使用すると、感染症の発見が遅れ、適切な治療開始が遅れる可能性があるのです。
したがって、子どもが発熱した際には焦ることなく、医療機関に受診しアドバイスを求めることが重要です。
診察時には子どもの状態が詳しく診断され、必要に応じて適切な治療方針が提案されます。もし抗生剤が必要である場合には、医師の指示に従って正しく服用することが必要です。
結論として、子どもの発熱に際して、独自の判断で以前の処方薬、とくに抗菌薬を使用するのは避けるべきです。適切な診察と治療により、子どもの健康と安全を最優先にしましょう。