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健康診断で血圧が高いと言われた…それって本当?白衣高血圧の基礎知識と対策

こんにちは。内科医として日々診療を行う中で、「健康診断や病院で血圧を測ったら高めと言われてしまったけど、自宅では普通なんです」という声をよく聞きます。

そうした場合、実は「白衣高血圧」という現象が関係しているかもしれません。

ここでは、白衣高血圧とは何か、なぜ起こるのか、そしてどのように対処すればいいのかを解説します。

白衣高血圧とは

白衣高血圧とは、病院やクリニック、健診会場などで測ると血圧が高い値を示すのに、自宅や職場など普段の生活環境で測定すると正常範囲におさまる状態をいいます。

診察室という慣れない場所や医療スタッフを前にしたときの緊張・不安感などによって、交感神経が刺激され血圧が一時的に上昇するのが主な原因です。

「自分だけおかしいのでは?」と思う必要はなく、多くの方が経験する可能性があります。

治療は必要なのか

白衣高血圧と判明した場合、普段の生活環境での血圧が安定して正常範囲なら、すぐに降圧薬を始める必要は基本的にありません。

血圧が高く測定されるのはあくまで病院など特定の状況のみであり、日常生活で常に高血圧状態になっているわけではないからです。

また、むやみに薬を使うと、血圧が下がりすぎてめまいや転倒などリスクが高まる可能性があります。

放置は危険?将来へのリスク

ただし、白衣高血圧だからといって「何もしなくてよい」というわけではありません。

白衣高血圧がある方は、将来的に本物の高血圧へ移行しやすいと報告されています。

普段は正常血圧であっても、塩分過多の食事や運動不足、喫煙などの生活習慣が重なると、いつの間にか血圧が上昇しやすくなるのです。

大切なのは、定期的に自宅でも血圧を測るなど、こまめに変化をチェックしておくことです。

家庭血圧を測ってみよう

自宅や職場など落ち着いた環境で定期的に血圧を測る「家庭血圧」は、あなたの日常的な血圧の状態を正確に知るうえで役立ちます。以下のポイントをおさえてみてください。

測定のタイミング

朝起床後すぐや夜の就寝前など、1日2回以上測ると変化が把握しやすくなります。

測定前の安静

少なくとも5分間は座ったまま安静を保ち、呼吸を整えてから血圧計を使いましょう。

姿勢の確認

足を組まず、背筋を伸ばし、腕は机などに置いて安定させます。腕や背中が支えられると、より正確な値が得られやすいです。

記録して医師に相談

毎回の結果をメモやアプリに記録しておき、次の受診時に医師に見せることで、より適切なアドバイスを受けられます。

生活習慣の見直しが大切

白衣高血圧でも日常生活の中で次のような点を意識すると、将来的な血圧上昇を防ぎやすくなります。

塩分を控える

「塩分を減らすと血圧に本当に影響があるの?」と疑問をもたれる方もいるかもしれません。事実、塩分(ナトリウム)を多く摂りすぎると体内に水分がたまりやすくなり、血圧が上がりやすくなると考えられています。日本人の食生活では、味の濃い料理や加工食品から知らず知らずのうちに塩分をとっていることが多いのです。

加工食品やインスタント食品を減らす

ラーメンやカップ麺、スナック菓子などは手軽ですが、塩分量が高い傾向があります。味噌汁やスープ類もできるだけ汁を全部飲まないようにすると塩分を抑えやすいです。

味付けを薄味に工夫

徐々に薄味に慣れていくと、自然と「今までちょっと塩分を取りすぎていたかも」と気づくきっかけになるでしょう。家庭での料理では、だしやスパイス、薬味などを上手に使って、塩分を減らしても物足りなさを補えます。

適度な運動

「運動しなきゃいけないのはわかるけど、きつい運動は続かなそう…」と思っていませんか?

大丈夫、無理のない範囲でウォーキングや軽い筋トレを継続するだけでも効果があります。

ウォーキングの目安

1日30分程度を目標にし、できるだけ毎日取り入れると血圧だけでなく体重のコントロールにも役立ちます。忙しいときは10分ずつ小分けにするのもOKです。

筋トレで代謝アップ

スクワットや軽いダンベル運動など、負荷の軽いものからスタートすると挫折しにくいです。少しずつ筋力をつけると体の代謝が上がり、血圧管理にもプラスになります。

禁煙・節酒

「少しなら大丈夫?」と気になる方も多いかもしれません。たばこは血管を収縮させ、血圧を上昇させる一因となり、長期的には血管を傷つけるリスクがあります。アルコールに関しても、飲みすぎると血圧が上昇しやすくなることがわかっています。

禁煙

たばこをやめるとすぐに血管や肺が回復しはじめ、1年後には心血管リスクが大幅に低下するという報告もあります。「やめたくてもやめられない」ときは医療機関で禁煙外来を受診するなど、プロのサポートを利用してみましょう。

節酒

全く飲まないのがベストですが、「付き合いで飲む」という方はできる限り量を減らし、ゆっくり飲む工夫を。厚生労働省は「男性20g・女性10g程度のアルコールまで」を1日の目安としています(※ビール中瓶1本約500mlで20g相当)。

体重管理

「太っていると高血圧になりやすいって聞くけど、どのくらいが理想?」と悩む方も多いですよね。一般的には、BMI(体格指数)が25以上だと肥満気味とされ、高血圧リスクが上がります。

少しずつの減量が大事

急激に体重を落とすのではなく、1か月に体重の1〜2%ほどのゆるやかな減量を続けることが理想的です。これなら極端な食事制限になりにくく、リバウンドも防ぎやすいです。

食事と運動をバランス良く

過度な食事制限だけでは栄養が偏り、かえって体力が落ちやすくなります。運動で消費カロリーを増やしつつ、食事はバランスよく取り、総カロリーを適度に抑えるのがポイントです。

ストレスケア

「ストレスで血圧が上がるって本当?」と感じる人も多いかもしれません。実際、強いストレスを受けていると交感神経が高ぶり、血圧が上昇しやすいと考えられています。長期間その状態が続けば、高血圧のリスクは高まりやすくなるでしょう。

睡眠を十分にとる

ストレスを溜めにくくするためには、1日6~8時間程度の質の良い睡眠がカギとなります。就寝前にスマホやパソコンを長時間見ないようにするなど、リラックスできる環境を整えましょう。

自分に合ったリラックス法を見つける

アロマや音楽、読書、瞑想など、やってみて心が落ち着く方法を習慣化できると、ストレス対策になります。ヨガや呼吸法も、気分をリフレッシュさせるのに効果的です。


いずれの対策も、焦らず続けることが大切です。塩分制限や適度な運動、禁煙・節酒、そして体重管理――これらを意識的に取り入れるだけでも、血圧を安定させ、将来的なリスクをぐっと減らすことができるでしょう。

まとめ

白衣高血圧は、診察室や健診など特定の場面でだけ血圧が上がる状態をいいます。

自宅などでの血圧が通常範囲にあれば、ただちに薬の必要はない場合が多いですが、将来のリスクを考えて定期的な家庭血圧の測定生活習慣の改善に取り組むことが大切です。

「健診で血圧が引っかかった…」と焦る気持ちもわかりますが、まずは日常生活の中での血圧を正しく把握し、気になることがあれば医師に相談してください。

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