おとなの病気

有痛性筋痙攣(こむら返り)

本日は外来でよく質問を受ける有痛性筋痙攣(こむら返り)の質問をまとめました。

こむら返りは、ふくらはぎなどの筋肉が急に収縮して痛みを伴う現象で、健常な方のほとんどが一度は経験している症状です。

今回は、こむら返りの原因、症状、予防法、そして対処法や治療について、患者さんやご家族が日常生活で疑問に思いがちな点を解説します。

有痛性筋痙攣(こむら返り)って何?

定義

こむら返りとは、筋肉が急に勝手に縮んで離れなくなり、痛みが出る状態のことです。

どこで起こる?

特にふくらはぎ(腓腹筋)に多くみられ、健常な人の90%以上が一度は経験しています。

特徴

夜、寝ているときに片方のふくらはぎが急に痛くなるタイプがとてもよく見られます。

どうして筋痙攣が起こるの?

筋肉の疲れ

長い運動や激しい運動をすると、筋肉が疲れて急に収縮してしまうことがあります。

水分やミネラルの不足

汗をかいたり、嘔吐や下痢で体の水分が足りなくなると、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどのバランスが崩れ、筋痙攣が起こりやすくなります。

熱中症や脱水

暑くて汗がたくさん出ると、筋痙攣の原因になることもあります。

特定の状態にある人

妊婦やお年寄り、透析を受けている人、肝臓が悪くなっている人(肝硬変)では、特に夜にこむら返りが起こりやすいです。

筋痙攣が起こるとどんな感じ?

感覚

軽い場合は筋肉が軽くピクピク動くだけですが、強い場合は激しい痛みとともに筋肉が硬くなり、動かしにくくなります。

持続時間

数秒で治まることもあれば、数分間続くこともあります。

いつが多い?

健康な人は特に夜に起こることが多いですが、日中や運動中にも起こることがあります。

どうすれば対処できるの?

基本的な方法(誰にでもできる対処)

ストレッチや運動

痙攣が起きたら、ゆっくりとその筋肉を伸ばすと楽になることがあります。

マッサージ

痛い場所を優しく揉むと、筋肉がほぐれて痛みが和らぎます。

温める

お風呂に入ったり、温かいタオルやヒートパッドを使うと、血液の流れがよくなりリラックスします。

冷やす

痙攣が治まったあと、冷たいタオルや保冷剤で冷やすと、再発を防げる場合もあります。ただし、直接肌に当てないように注意しましょう。

市販の痛み止め

強い痛みが続く場合は、家族や医師に相談して痛み止めを使うこともあります。

薬を使った治療(症状がひどい場合や頻繁に起こる場合)

健常者の場合

運動やストレッチが基本ですが、頻度が多いときは「芍薬甘草湯」という漢方薬、ビタミンB群、またはマグネシウム製剤(酸化マグネシウムでも代用可能)が使われることがあります。

高齢者の場合

就寝前に芍薬甘草湯を試すことがあります。ただし、マグネシウム製剤を使うときは、血中のマグネシウムが高くなりすぎて心臓に影響がないか注意が必要です。

妊婦の場合

妊娠中は、下腿(つま先からふくらはぎ)の血の流れが悪くなりがちで、痙攣が起こりやすくなります。

腎臓や肝臓に病気がある場合

慢性腎不全や透析を受けている人、または肝硬変の患者さんでは、痙攣が特に夜に多くなります。まずは芍薬甘草湯を試み、改善しないときは筋弛緩薬や抗けいれん薬を試すことがあります。

原因となる薬がある場合

もし薬が原因で筋痙攣が起こっていると疑われたら、その薬を減らしたりやめたりすることも考えます。スタチン、利尿薬やβ遮断薬、抗精神病薬などが原因となることがあります。

どうすれば予防できる?

十分な水分補給

運動中や暑い日は、こまめに水やスポーツドリンクを飲んで、体の水分とミネラルを補いましょう。

適度な運動とストレッチ

運動の前後には、ウォームアップやクールダウンのストレッチをすることで、筋肉の疲れを減らし、痙攣を防ぐことができます。

環境に注意

とても暑かったり湿度が高かったりする日は、無理な運動を控えるようにしましょう。

いつお医者さんに相談すればいいの?

  • 家や学校での対処(ストレッチやマッサージなど)をしても、痛みが取れないとき。
  • 筋痙攣がとても頻繁に起こり、日常生活に支障が出ていると感じたとき。
  • 持っている病気(糖尿病、腎臓病、肝臓病など)がある場合は、定期的に医師にチェックしてもらいましょう。

こむら返り(筋痙攣)は多くの人が経験するもので、基本的にはストレッチや水分補給で対処できますが、状態がひどい場合や特定の病気がある場合は、適切な治療や薬が使われます。

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