
はじめに:私の子育て経験から
小児科医としての知識だけでなく、3人の子どもがいる一人の親としての経験もお伝えしたいと思います。私の長男は保育園に通い始めてから、本当によく感染症をもらってきて、頻繁に休まなければならない状況でした。毎週のように発熱や咳、鼻水に悩まされ、その対応は家族にとって大変な時期でした。私自身は仕事が忙しく、家族に負担をかけていたことも事実です。
興味深いことに、長男が家庭内で感染症をうつしてくれたおかげか、次男と三男は保育園デビュー後もそれほど頻繁に体調を崩すことはありませんでした。おそらく兄から様々な病原体に接する機会があり、ある程度の免疫がついていたのかもしれません。このように、家庭環境や兄弟の有無によっても、状況は変わってくるものです。
現在の感染症流行状況
最近は特に大きな感染症の流行は見られません。新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染症も現在は流行していない状況です。
腸炎が散発的に見られたり、ノロウイルスや溶連菌の患者さんが1日に数人程度来院される程度で、目立った流行はありません。
保育園・幼稚園デビューと感染症
現在多く見られるのは、保育園や幼稚園といった集団保育施設に通い始めたお子さんたちの発熱や風邪症状の繰り返しです。いわゆる「保育園症候群」や「保育園の洗礼」と呼ばれる現象です。特に2歳以下の低年齢のお子さんが保育施設に通い始めた際に、様々な感染症にかかりやすくなるという現象が毎年この時期に多く見られます。
保護者の皆様へ
お子さんの体調不良により、お仕事中に保育園から呼び出しを受け、仕事に支障が出てしまうことも多いかと思います。このような状況に戸惑われる保護者の方々も多いと思いますが、ご安心ください。この時期はどのお子さんも通る道です。
今後の見通し
この状況は永続的に続くものではありません。
通常、保育施設に入園して3ヶ月から半年程度経過すると、様々な感染症を経験することで免疫力が高まり、お子さんの成長とともに風邪などをひきにくくなっていきます。
まとめ
お子さんの体調不良と仕事の両立は本当に大変です。特に第一子の場合はその傾向が強いかもしれません。私の家庭でも長男の時期が最も大変でした。仕事と育児の両立は簡単ではなく、家族の協力が重要だと実感しています。
一人目のお子さんの経験を通して、親自身も「これは深刻な状態なのか、様子を見ても大丈夫なのか」という判断力が養われていきます。どのご家庭も、それぞれのやり方でこの時期を乗り越えています。
この時期を乗り越えることで、お子さんの免疫力が高まり、家族全体の抵抗力も向上していきます。医師として、そして3人の子どもの親としての経験から言えることは、この時期は必ず終わりが来るということです。ご家族で支え合いながら、この時期を乗り越えていきましょう。