
目次
0. はじめに ― 外来で よく聞かれる質問
「先生、風邪をひいているときってお風呂に入ってもいいんですか?」
小児科外来だけでなく一般内科でも、本当によく頂くご相談です。
昔の常識では「風邪=入浴禁止」でしたが、現在はエビデンスが変わりつつあります。そこで今回は、最近の医学記事と調査データをもとに「入浴してよいか迷ったときの判断基準」をまとめます。
1. 結論:元気があれば基本的に入浴OK!
「本人が元気で水分も摂れていれば入浴を控える必要はない」が結論です。
むしろ入浴した方が、湯気で鼻や喉の粘膜が潤い、症状が楽になることもあります。
また、おむつかぶれや軽い下痢時は、短時間浴やシャワーで皮膚を清潔に保つと悪化を防げます。
2. 「入浴を控えるべき」サイン
NGの目安 | 理由・補足 |
---|---|
38 °C以上の高熱 | 入浴の分かれ目は38 °C前後です。高熱時は体力消耗・湯冷めリスクが大。 |
ぐったり/食欲ゼロ | 体力低下のサイン。シャワーや蒸しタオルで代用を。 |
脱水が疑われる | 発汗・下痢・嘔吐が続くときは水分補給を優先。 |
3. 入浴のメリット
- 寒気・倦怠感の緩和 ~効果的な入浴によって症状改善を実感できます。
- 鼻づまりの軽減~湯気で粘膜がうるおう。
- リラックス&睡眠導入~ぬるめの湯は筋緊張をほぐし、寝つきを良くする効果があります。
4. 安全に入浴する5つのコツ
- お湯は 39 °C 前後のぬるま湯(熱すぎると体力消耗)。
- 長湯しない(5〜10分程度) – 疲労・脱水を防ぐ。
- 入浴前後の水分補給を必ず。
- 浴室と脱衣所を暖め湯冷め予防。
- 上がったらすぐ体を拭き、薄手のパジャマへ – 厚着のしすぎは熱こもりの原因。
6. まとめ ― 医師からのワンポイント
「風邪=お風呂禁止」は過去の話。
元気で水分が取れていれば、短時間のぬるま湯入浴はむしろ味方になります。
38 °C以上の高熱やぐったり感があるときは無理せず、シャワーや清拭で代用しましょう。
入浴は全身観察のチャンスでもあります。お子さんの様子を見ながら、上手に取り入れてくださいね。
参考文献
- 森戸やすみ「風邪をひいたときの入浴の判断」講談社コクリコ (2025)(講談社コクリコ|講談社)
- バスリエ株式会社「風邪とお風呂に関するアンケート調査結果」 (2023)(プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES)