予防接種

インフルエンザワクチンガイド2025|効果と副作用を解説

はじめに

秋になると「今年もインフルエンザワクチン、打った方がいいのかな?」と迷う方も多いのではないでしょうか。

「本当に効くの?」「副作用が怖い」「毎年打つ必要ってあるの?」

そんな疑問をお持ちの方のために、この記事ではインフルエンザワクチンについて、医学的な根拠に基づいてわかりやすく解説します。

参考情報

インフルエンザワクチンって何?基本を知ろう

ワクチンの仕組みをシンプルに説明

インフルエンザワクチンは、簡単に言えば「体の防衛隊に敵の顔を覚えさせる訓練」のようなものです。

ワクチンには、力を失ったインフルエンザウイルスの一部が入っています。これを体に入れることで、体の免疫システム(防衛隊)が「こんな敵がいるんだな」と学習します。

そうすると、本物のインフルエンザウイルスが体に侵入してきたとき、免疫システムがすぐに「あ、こいつ知ってる!」と反応して、素早く撃退できるようになるのです。

日本で使われているワクチンの種類

現在、日本で主に使われているのは「不活化ワクチン」というタイプです。

不活化って何?

ウイルスを完全に殺して、感染する力をなくした状態のことです。だから、ワクチンを打ってインフルエンザになることはありません。

このワクチンは、毎年流行しそうなウイルスに対応しています。世界保健機関(WHO)が「今年はこれが流行しそう」と予測した型を参考に、日本でも使うワクチンを決めています。

いつ打てばいい?効果が出るタイミング

ベストな接種時期:10月〜12月上旬

日本では12月から3月にインフルエンザが流行するので、それに備えて10月から打ち始めるのが理想的です。

効果が出るまで:約2週間

ワクチンを打ってから、体が免疫を作るまでに約2週間かかります。だから、流行が始まる前に余裕を持って接種するのがおすすめです。

効果の持続期間:約5ヶ月

一度打てば、その年のインフルエンザシーズンをカバーできます。ただし、毎年ウイルスの型が変わるので、毎年の接種が必要です。

本当に効くの?ワクチンの効果を数字で見る

発症予防効果は50〜60%

「ワクチンって本当に効くの?」これが一番気になるポイントですよね。

研究データによると、インフルエンザワクチンの予防効果は平均50〜60%です。

これってどういうこと?

100人中10人がインフルエンザにかかる状況で、ワクチンを打った人は5〜6人程度に減らせる、ということです。

「100%じゃないなら意味ないじゃん」と思うかもしれません。でも、風邪予防でマスクや手洗いをするのと同じで、リスクを半分に減らせるなら十分価値があると言えるでしょう。

もっと大事な「重症化予防効果」

実は、ワクチンの本当の価値は「重症化を防ぐこと」にあります。

ワクチンを打っていても感染することはありますが、打っていた人は以下のような違いがあります。

  • 症状が軽く済む
  • 入院するリスクが大幅に下がる
  • 特に高齢者では、死亡リスクが約80%減少

つまり、「かからなくなる」より「重症化しなくなる」効果の方が重要なのです。

あなたが打つことで、周りの人も守れる

ワクチンには「集団免疫効果」という考え方があります。

どういうこと?

たくさんの人がワクチンを打つと、ウイルスが広がりにくくなります。すると、ワクチンを打てない赤ちゃんや、病気で免疫が弱っている人も守られるのです。

あなたがワクチンを打つことは、自分だけでなく家族や友人、職場の人たちを守ることにもつながります。

最新の研究動向

2023〜2024年シーズンの海外研究では、新しい製造技術により、従来より高い予防効果が報告されています。また、注射ではなく鼻から吸うタイプのワクチン(点鼻ワクチン)の研究も進んでおり、将来的により良い選択肢が増える可能性があります。

副作用は怖くない?安全性について知ろう

よくある軽い症状(ほとんどの人はこれだけ)

ワクチンの副作用を心配する方は多いですが、ほとんどの場合は軽い症状で済みます。

よくある症状

  • 打った場所の痛み・赤み・腫れ(最も多い)
  • 1〜2日以内に出て、2〜3日で治ります
  • これは体が免疫を作っている証拠なので、正常な反応です
  • 軽い発熱・だるさ・頭痛
  • 人によっては少し熱が出たり、体がだるくなることがあります
  • これも1〜2日程度で回復します

重い副作用はどのくらい起こる?

重い副作用は非常にまれですが、知っておくことは大切です。

アナフィラキシー(急激なアレルギー反応)

  • 発生頻度:100万回に1〜2回程度
  • 通常、接種後30分以内に起こります

ギラン・バレー症候群(神経の病気)

  • 発生頻度:100万回に1〜2回程度
  • 極めてまれですが、報告されています

数字で見ると、交通事故に遭う確率より低いと言えるでしょう。

新しい鼻スプレー式ワクチン「フルミスト」

2024年から日本でも承認された、鼻から吸うタイプのワクチンがあります。

メリット

  • 注射じゃないので痛くない
  • 12歳未満は1回で済む(従来型は2回必要)

デメリット・注意点

  • 生ワクチンなので、使えない人がいる
  • 免疫が弱っている人
  • 重い喘息がある人
  • 妊娠中の人
  • 接種後に軽い鼻水や鼻づまりが出ることがある
  • 費用は注射2回分とほぼ同じ

興味がある方は、かかりつけ医に相談してみてください。

ワクチンを打てない人・注意が必要な人

以下の方は、ワクチンを避けるか、医師に相談してください。

  • 卵に重いアレルギーがある人(卵アレルギーがあっても、ほとんどの場合インフルエンザワクチンの接種は可能です)
  • 過去にインフルエンザワクチンで重い副作用が出た人
  • 当日に熱がある人
  • 重い急性の病気にかかっている人

妊娠中の方へ

以前は心配されていましたが、現在は安全性が確認されており、むしろ接種が推奨されています。妊娠中にインフルエンザにかかると重症化しやすいためです。

日本のワクチンは安全?

日本では、ワクチンの安全性を常にチェックする仕組みがあります。

  • 副作用が疑われるケースは全て報告・分析される
  • 製造から配送まで厳しい品質管理がされている
  • 国際基準をクリアした安全なワクチンのみが使われている

ネットの「ワクチン反対」情報について

ネットで検索すると、「ワクチンは危険」という情報も見かけますよね。

注意してほしいこと

  • そういう情報を見れば見るほど、さらに似た情報がおすすめされる仕組みになっています
  • 「寿命が縮む」「不妊になる」「子どもが発達障害になる」といった主張は、信頼できる統計データでは確認されていません

情報を見る時のコツ

  • 誰が発信しているか?(個人? 医療機関? 公的機関?)
  • どこの機関の情報か?
  • データの出どころは明記されているか?

厚生労働省や各自治体のホームページなど、公的機関の情報を参考にすることをおすすめします。

まとめ:あなたに合った選択を

インフルエンザワクチンは完璧な予防法ではありませんが、科学的に効果が認められた対策です。

この記事のポイント

  • 発症リスクを50〜60%減らせる
  • 重症化リスクを大幅に減らせる(特に高齢者で効果大)
  • 副作用はほとんど軽いもので、重い副作用は極めてまれ
  • あなたが打つことで、周りの人も守れる

特におすすめしたい人

  • 高齢者(65歳以上)
  • 持病がある方
  • 妊娠中の方
  • 医療・介護職の方
  • 学校の先生や保育士さん
  • 受験生とそのご家族

ワクチン接種は、自分と大切な人を守るための選択肢の一つです。この記事が、あなたの判断の参考になれば幸いです。

迷ったら、かかりつけ医に相談してみてくださいね。

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