🔄 最終更新日: 2026年6月10日
📅 2026年2月19日 (5ヶ月前に公開)

この記事でわかること
- 保険で禁煙外来を受けられる条件
- 使う薬の種類とそれぞれの特徴
- 初回〜5回の通院の進め方と費用の目安
目次
「そろそろやめないと」と思ったことはありませんか
健康診断の帰り道。
子どもに『くさい』と言われた夜。
テレビで受動喫煙について知ったとき。
一度は、頭をよぎったことがあるかもしれません。
責めたいわけではありません。
ただ、その気持ちをもう少しだけ大切にしてほしいのです。
家族に影響が出ないよう、気をつけている方も多いと思います
ベランダで吸っている。
家に帰る前に一本吸っている。
子どものそばでは絶対に吸わない。
家族への影響を減らそうとしている、その気遣いは大切です。
でもひとつだけ。
タバコの成分は、煙が消えたあとも服や髪や息に残ることがあります。
これは「三次喫煙」と呼ばれています。
子どもを抱っこしたとき、顔はちょうど胸元の近くにあります。
ただ、子どもは自分で過ごす環境を選べません。
そのため、煙が消えたあとの影響についても知っておいてほしいのです。
自分の体への影響を、後回しにしていませんか
子どもへの影響は分かっている。
でも、自分のことは後回しになっていませんか?
タバコは、肺だけでなく、心臓、血管、口の中、胃、いろんなところに少しずつ影響が出てきます。
「まだ大丈夫」と思っていても、体の中では、気づかないうちに影響が積み重なっていることがあります。
それに、禁煙後、比較的早い段階で体の変化を感じる方もいます。
階段で息が切れにくくなった、朝の目覚めが少しよくなった、そんな変化が数週間で出てくることも。
子どものためだけではなく、自分のためでもある。
そう思えると、少し気持ちが変わるかもしれないです。
やめられないのは、意志が弱いからではありません
「わかってる。でもやめられない」
そうですよね。それ、意志だけの問題ではありません。
ニコチンは、脳に「気持ちいい」と感じさせる仕組みに直接働きかけます。
吸うたびにその感覚を学習して、吸わないと「イライラする」「落ち着かない」という状態になる。
これは、ニコチン依存によって起こる反応です。
根性だけで解決するのは難しいため、薬の力を借りることは特別なことではありません。
禁煙外来では、ニコチンパッチや飲み薬などを使い、吸いたい気持ちを和らげながら治療を進めます。
どの薬が適しているかは、体調や生活状況を確認し、診察で相談しながら決めます。
「やめたい」と思ったときは、ご相談ください。
治療の進め方は、受診後に一緒に考えます。
「いつから」「どのように進めるか」を、一人で決める必要はありません。
必要なのは、「やめたい」という気持ちだけです。
子どものために。
そして、これからの自分のために。
一人で難しいときは、ご相談ください。
ここからは、禁煙外来についてもう少し具体的にまとめています。
「受診を考えてみようかな」という方は、ぜひ続けて読んでみてください。
保険で禁煙外来を受けられる方
次の条件を満たす方は、健康保険で禁煙治療が受けられます。
◯ 今すぐ禁煙する意思がある
◯ ニコチン依存症テスト(TDS)が5点以上
◯ 35歳以上の方は 「1日の本数 × 喫煙年数」が200以上
◯ 禁煙治療の説明を受け、文書で同意している
※再度保険診療を受ける場合は、前回の初回算定日から1年を超えている必要があります。
標準的な治療は12週間・計5回です。効果を高めるため、最後まで通院することをおすすめします。
次の方は、当院では禁煙治療をお受けしていません。
当院では、安全な治療体制を確保するため、精神疾患で治療中の方の禁煙外来をお受けしていません。
禁煙を希望される場合は、現在の主治医にご相談ください。
また、妊娠中・授乳中の方も当院では対応しておりません。
どうやって進めるの?
禁煙は、思いつきではなく「計画」で進めます。
基本は 12週間・計5回の通院 です。
まず、今の喫煙状況とニコチン依存の程度を確認します。
そのうえで、無理のない禁煙プランを一緒に決めます。
① 初回(スタート)
- これまでの喫煙歴や体調を確認
- 呼気中一酸化炭素(CO)を測定(体への影響の目安)
- 禁煙を始める日を決める
ここで「いつやめるか」を明確にします。
②~⑤ フォロー外来
- 薬の調整
- 困っていることの整理
- 「吸いたい気持ち」への対処
禁煙は波があります。うまくいかない日があっても、それは失敗ではありません。
修正しながら進める。
それが医療でやる禁煙です。
どんな薬を使うの?
禁煙は「我慢大会」ではありません。
薬を使うと、吸いたい気持ち(離脱症状)をやわらげることができます。
主に使うのは、次の2つです。
禁煙補助薬と医療者の支援を利用することで、自力で禁煙するよりも続けやすくなります。
ニコチンパッチ(貼り薬)
ニコチンパッチは、皮膚からニコチンをゆっくり補う貼り薬です。
タバコを吸ったときのように、ニコチン濃度が急激に上下しにくいため、イライラや強い喫煙欲求を和らげます。
治療の経過に合わせて、少しずつ使用量を減らしていきます。
バレニクリン/チャンピックス(脳に働く飲み薬)
この薬は、脳内でニコチンが作用する部分に働きかけます。
タバコを吸っても、「いつもの満足感」が出にくくなります。
同時に、吸いたい衝動そのものも弱くなります。
我慢で抑えるのではなく、仕組みから弱めるイメージです。
※バレニクリン服用中は、眠気やめまい、意識障害が起こる可能性があるため、自動車の運転など危険を伴う作業はできません。仕事で運転が必要な方は、必ず診察時にお伝えください。
禁煙で起きる変化(体の反応)
禁煙は「いつか良くなる」話ではありません。
すぐに変化が始まります。
禁煙後20分ほどで、血圧や脈拍の改善が始まります。
2〜3週間ほどで、心臓や肺の機能の改善が期待できます。
1〜9か月ほどで、咳や息切れが軽くなる方もいます。
1年後には、冠動脈疾患のリスクが喫煙を続けた場合と比べて低下します。
変化の現れ方には個人差がありますが、禁煙を始めるのに遅すぎることはありません。
何歳でも、やめた日から回復は始まります。
費用について(保険適用・3割負担の目安)
禁煙外来は、条件を満たせば健康保険が使えます。
12週間(計5回)の自己負担の目安は次の通りです。
- ニコチンパッチの場合:約13,000円
- バレニクリンの場合:約20,000円
※使用する薬によって金額は変わります。
※2026年6月時点の目安です。
1日あたりにすると、これまでのタバコ代より少なくなる方も多いです。
禁煙したいけれど、一人では難しい。
何度か挑戦したものの、続かなかった。
そのような方も、気兼ねなくご相談ください。
使用する薬や治療の進め方は、体調や生活に合わせて一緒に考えます。


