雑談

窓を開けて寝ると風邪をひく?寒さと風邪の意外な関係

📅 2026年7月15日 (1日前に公開)

札幌も次第に蒸し暑くなり、夜は窓を開けたまま眠るという方も増えてきたのではないでしょうか。

今日は外来でもよく聞かれる「窓を開けて寝ると風邪をひくのかどうか」というテーマで書いてみました。

結論からお伝えすると、寒さそのものが風邪を起こすわけではありません。

ただし、冷たい空気や乾燥は、鼻や喉の守りを弱める可能性があります。

窓を開けたまま寝た翌朝、鼻がグズグズして、喉もイガイガする。

そんな経験があると、「冷えて風邪をひいた」と思いますよね。

風邪の直接の原因はウイルスです。

ただ、冷たい空気や乾燥によって鼻や喉の防御機能が弱まり、感染しやすい条件が重なる可能性はあります。

窓を開けて寝たから、風邪になった。

というよりは、「風邪のウイルスに接触したタイミングで、冷気や乾燥によって鼻や喉の防御力が落ちていた」と考えるほうが適切です。

この記事では、窓を開けて寝ると体に何が起こるのかをお伝えします。

窓を開けて寝ると風邪をひくのは本当?

風邪の原因は寒さではなくウイルスです

一般的な風邪は、鼻や喉などの上気道に起こるウイルス感染症です。

ライノウイルスをはじめ、さまざまな呼吸器ウイルスが風邪の原因になります。

そのため、窓を開けていただけで、体の中に風邪のウイルスが生まれることはありません。

ウイルスに接触していなければ、寒さだけで風邪になるわけではないのです。

冷たい空気は鼻の防御反応を弱める可能性があります

鼻は、吸い込んだ空気を温めたり、湿らせたりしながら、ウイルスや異物が体内へ入り込むのを防いでいます。

鼻の粘膜には、ウイルスから身体を守るための秘策がたくさんあります。

研究によると、鼻の中の温度が下がると、鼻粘膜が持つ抗ウイルス反応の一部が弱まる可能性が示されています[1][2]

冷気は、感染を起こす原因ではなく、鼻の守りを弱める条件のひとつと考えてください。

乾燥も鼻や喉の守りを弱めます

寒い季節では、外の空気が乾燥しています。

さらに暖房を使うと、室内の湿度も下がりやすくなります。

空気が乾燥すると気道粘膜の防御機能が低下し、急性呼吸器感染症にかかりやすくなるといわれております[3][4]

窓を開けた翌朝の鼻水は、風邪とは限りません

朝起きたときに鼻水が出ていると、すぐに風邪を疑いたくなります。

ただ、冷たい空気への一時的な反応として、鼻水や鼻づまりが起こることもあります。

冷気によって起こる一時的な鼻炎は、慢性的な鼻炎がない人にも起こることがあります。

窓を開けた翌朝だけ鼻水が出て、暖かい場所へ移動すると治まる場合は、冷気による反応かもしれません。

一方で、喉の痛み、咳、発熱、だるさなどが加わり、症状が続く場合は、感染症も考える必要があります。

風邪の症状は、一般的に感染してからすぐではなく、数日かけて強くなります。

そのため、「昨夜窓を開けたことだけ」が原因とは限りません。

すでに感染しており、そのタイミングで症状が現れたという可能性もあります。

窓を開けて寝るときに覚えておきたい3つのこと

1.換気は続けながら、寝室を冷やしすぎない

室内の空気を入れ替えることは、呼吸器感染症を予防する基本的な対策のひとつです。

ただし、窓を大きく開けたまま寝室を冷やしすぎることは避けた方がよいでしょう。

24時間換気システムや換気扇がある場合は、まず既存の換気設備を利用した方が室内の環境を守るためには良いでしょう。

窓を使う場合は、寝る前にしっかり空気を入れ替え、就寝中は窓を少しだけ開ける方がよいかもしれません。

窓を少し開けて換気を続けるほうが室温の変化を抑えやすいです。

2.室温と湿度を温湿度計で確認する

寝室の環境は、感覚だけでは分かりにくいものです。

温湿度計を置き、実際の数字で確認しましょう。

日々計測することで室内の傾向がつかめるようになると思います。

冬は室温18℃以上を目安に

寒い季節の室温は、18℃以上がひとつの目安です。

18℃は、風邪を防げる境界線ではありません。ただし、健康を守るための冬季の室温として、WHOや厚生労働省の資料でも示されています[5][4]

特に、子どもや高齢者、持病のある人がいる家庭では、部屋が冷えすぎないように注意しましょう。

湿度は、50〜60%程度が目安です[4]

空気が乾燥すると、鼻やのどの粘膜も乾きやすくなります。乾燥が気になる場合は、加湿器を使ったり、室内に洗濯物を干したりして調整してください。

ただし、窓がびっしょりと結露するほど加湿する必要はありません。

結露が増える場合は、加湿を弱めたり、短時間の換気を行ったりして、湿度を調整しましょう。

夏は室温28℃以下を目安に

暑い季節の室温は、28℃以下がひとつの目安です。

ただし、28℃は熱中症を防げる境界線ではありません。湿度が高い日や、日差しが強く入る部屋では、室温が28℃でも体に熱がこもることがあります。

特に、子どもや高齢者、体調がすぐれない人がいる場合は、28℃にこだわりすぎず、過ごしやすい温度まで冷房を調整してください。

湿度は、40〜60%程度が目安です。

湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、同じ室温でも蒸し暑く感じます。湿度が高い日は、冷房とあわせて除湿機能も利用しましょう。

また、エアコンの設定温度と、実際の室温は同じとは限りません。

温度計や湿度計を置き、実際の室温と湿度を確認しながら調整することが大切です。

数字だけにこだわらないことも大切です

室温や湿度の目安は、すべての人に当てはまる絶対的な基準ではありません。

季節や住環境、年齢、体調、服装によって、快適に感じる温度は変わります。

冬は冷やしすぎず、夏は暑さを我慢しすぎず、その人が無理なく過ごせる室内環境を整えましょう。

3.冷たい風を顔や鼻に直接当てない

部屋が暖かくても、冷たい風が鼻や顔に当たり続けると、強く寒さを感じます。

また、冷たく乾いた空気を吸い続けると、鼻の粘膜が冷えたり乾燥したりします。鼻の粘膜が乾燥すると、ウイルスやほこりなどを外へ運ぶ働きが低下する可能性があります。

寝るときは、ベッドや枕の向きを変え、窓から入る風が鼻や顔に直接当たらないようにしましょう。

窓を開ける幅を狭くする、別の部屋や廊下を通して外気を取り入れる、といった方法もあります。

換気は必要ですが、冷たい外気を体に直接当てないことがポイントです。

風邪を防ぐには、窓よりも生活全体を見ることが大切です

窓を閉めるだけで、風邪を完全に防げるわけではありません。

風邪のウイルスは、咳やくしゃみの飛沫、近い距離での接触、ウイルスが付いた手で目や鼻や口を触ることなどによって広がります。

手洗い、換気、十分な睡眠、バランスのよい食事も一緒に意識しましょう。

家族に咳や鼻水の症状がある場合は、タオルの共用を避け、こまめに手を洗うことも大切です。

窓を開けるか閉めるかだけに集中せず、感染しにくい生活環境を整えてください。

子どもや高齢者は、冷えすぎに注意してください

同じ室温でも、寒さの感じ方には個人差があります。

乳幼児、高齢者、基礎疾患がある方は、室温の変化による影響を受けやすいことがあります。

本人が「寒い」とうまく伝えられない場合は、首元や背中を触り、冷えすぎていないか確認しましょう。

汗をかくほど厚着をさせる必要はありません。

室温、寝具、衣服を少しずつ調整し、心地よく眠れる環境を作ってください。

このような症状があるときは医療機関へ相談してください

鼻水や軽い喉の違和感だけで、すぐに受診が必要とは限りません。

ただし、息苦しさがある、水分がとれない、ぐったりしている、強い喉の痛みがある場合は、早めに医療機関へ相談してください。

発熱や咳が続く場合や、一度よくなったあとに症状が悪化した場合も受診を検討しましょう。

乳幼児、高齢者、妊娠中の方、基礎疾患がある方は、症状が軽くても早めの相談が必要になることがあります。

インフルエンザや新型コロナウイルス感染症でも、風邪に似た症状が出ることがあります。

感染症が流行している時期は、必要に応じて検査も検討してください。

本日のまとめ:窓を開けて寝るときのポイント

窓を開けて寝たからといって、寒さだけで風邪をひくわけではありません。

風邪の直接の原因はウイルスです。

ただし、冷たい空気や乾燥によって鼻や喉の粘膜が冷えたり乾いたりすると、体を守る働きが弱まる可能性があります。

窓を開けて寝るときは、次の3つを意識してください。

  • 寝室を冷やしすぎない
  • 温湿度計で室温と湿度を確認する
  • 冷たい風を鼻や顔に直接当てない

夏は暑さを我慢せず、必要に応じて冷房や除湿を使いましょう。

冬は室温18℃以上をひとつの目安とし、乾燥しすぎないように調整してください。

窓を開けるか閉めるかだけでなく、換気、手洗い、睡眠、食事などを含めて、感染しにくく快適に眠れる環境を整えることが大切です。

参考文献

  1. Foxman EF, et al. Temperature-dependent innate defense against the common cold virus limits viral replication at warm temperature in mouse airway cells. Proc Natl Acad Sci U S A. 2015;112(3):827-832. PubMed
  2. Huang D, et al. Cold exposure impairs extracellular vesicle swarm-mediated nasal antiviral immunity. J Allergy Clin Immunol. 2023;151(2):509-525. PubMed
  3. Kudo E, et al. Low ambient humidity impairs barrier function and innate resistance against influenza infection. Proc Natl Acad Sci U S A. 2019;116(22):10905-10910. PubMed
  4. 厚生労働省.令和6年度インフルエンザQ&A.厚生労働省ウェブサイト
  5. World Health Organization. WHO Housing and Health Guidelines. 2018. WHO

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南22条おとなとこどものクリニック

  • この記事を書いた人

小林 俊幸

小林俊幸(こばやし としゆき)|南22条おとなとこどものクリニック院長。小児科・総合内科。子どもからおとなまで、家族をまるごと診られる町の医師でありたい。診察室で「聞いてよかった」と言ってもらえた話を、ここに書き残しています。 お問い合わせはこちら

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