季節の健康情報

8月の札幌で、インフルエンザが出ています 〜ニュースの数字、どう読む?〜

📅 2026年8月25日 (0日前に公開)

夏の太陽の下に立つ、マフラーを巻いた雪だるまのクレヨン画

今月、当院でインフルエンザA型の患者さんを、続けて診断しています。

ひとりではありません。真夏の、札幌でです。

これは当院だけの話ではありません。神奈川県は8月20日、「インフルエンザの流行が始まりました」と正式に発表しました。去年より1か月半も早い流行入りです。では、札幌はどうなのか。実際の数字を見てみます。

感染症の流行は、「定点当たり報告数」という物差しで測ります。決められた医療機関1か所あたり、1週間に何人の患者さんが報告されたか、という数字です。

7月末の札幌:0.09

3週間後(8月10日〜16日):0.72

去年の同じ週:0.11

3週間で8倍。去年の同じ時期と比べると、6倍以上です。

全国でも同じ傾向です。8月上旬の全国の数字は0.52で、去年の同じ週(0.30)の約1.7倍でした。

2学期が始まりました。教室に子どもたちが戻り、9月には遠足や学校行事が続きます。「クラスで熱の子が増えてきた」——そんな連絡帳の一言が、毎年ここから増えていきます。

では、札幌はもう「流行入り」なのでしょうか。

数字の上では、まだです。「流行入り」の目安は、定点当たり1.0。札幌は0.72で、その手前にいます。学級閉鎖も、いまのところ出ていません。この先どうなるかは、正直なところ誰にも断言できません。ただ、数字が教えてくれることがひとつあります。

注目すべきは「いま流行っているか」ではありません。「例年より2か月ほど早く動き出している」ことです。

例年、札幌でインフルエンザの数字が動き出すのは10月以降。それが今年は、8月からじわじわ増えています。このまま増えれば、流行の立ち上がりが早まる可能性があります。

だから、合言葉はこれです。「あわてない。でも、準備は前倒す。」

「早く打ちすぎると、かえって効果が切れるのでは?」と思った方は、先日の記事『インフルワクチン、「まだ早い」がいちばん危ない 〜2回目から逆算する秋〜』もあわせてどうぞ。

今年の秋にやっておきたい3つのこと

  1. ワクチンの予定を、家族で先に決めておく。当院も今季は、例年より前倒しの日程で準備を進めています。日程・予約方法・費用はお知らせページにすべてまとめてあります。新しく決まったことも、同じページに随時追記していきます。
    ※お電話でのお問い合わせはご遠慮ください。最新の情報は、すべて上のお知らせページに掲載します。
  2. 手洗い・咳エチケットを「秋モード」に早める。例年なら10月から意識することを、今年は9月から。特に、学校から帰ったらまず手洗い、を習慣に。
  3. 夏の高熱でも、インフルエンザを選択肢に入れる。急な高熱、関節や筋肉の痛み、強いだるさ。この組み合わせのときは、夏でも受診時に「インフルエンザの検査もできますか」と聞いてみてください。
誤解
夏にインフルエンザはありえない。高熱が出ても夏かぜでしょ。
本当のところ
今年は8月の札幌で実際に出ています。夏の高熱=全部夏かぜ、とは限りません。

急な高熱でつらいとき、水分がとれないとき、ぐったりして反応が鈍いときは、季節を問わず受診してください。判断に迷ったら、それも受診してよい理由になります。

あわてない。でも、準備は前倒す。
今日からできること
  1. 家族のワクチン接種の予定を、カレンダーに仮置きする(10月中がおすすめです)
  2. 「急な高熱+関節の痛み」のときはインフルエンザもありうる、と頭の片すみに置いておく

よくあるご質問

Q. 夏でも、インフルエンザの検査はできますか?
できます。当院では季節を問わず検査しています。ただし、熱が出てすぐの時間帯は、感染していても結果に出ないことがあります。受診の際に、発熱した時間もあわせて教えてください。

Q. 9〜10月にワクチンを打って、冬の終わりまで効果はもちますか?
ワクチンの効果は、一般に約5〜6か月続くとされています。10月に打てば、例年流行が本格化する12月〜2月をカバーできる計算です。だからこそ当院は、今季「前倒し」をおすすめしています。

ニュースの見出しは、ときどき実際より大きな声で語ります。数字の物差しを知っていれば、あわてずに、必要な準備だけを先に済ませられます。今年の秋は、少しだけ早めにいきましょう。

データ出典:北海道感染症情報センター(札幌市保健所管内・2026年第33週)国立健康危機管理研究機構 IDWR速報データ(2026年第32週)神奈川県 発表資料(2026年8月20日)

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南22条おとなとこどものクリニック

  • この記事を書いた人

小林 俊幸

小林俊幸(こばやし としゆき)|南22条おとなとこどものクリニック院長。小児科・総合内科。子どもからおとなまで、家族をまるごと診られる町の医師でありたい。診察室で「聞いてよかった」と言ってもらえた話を、ここに書き残しています。 お問い合わせはこちら

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