体にピリピリした湿疹ができたけど、これは帯状疱疹なの?痛くて耐えられないわ。治療はどうしたらいいの?
帯状疱疹は身体にまわりが赤い小さな水ぶくれができて、ピリピリと痛みがでる病気です。帯状に水ぶくれがでるので「帯状疱疹(たいじょうほうしん)」と呼ばれます。
帯状疱疹は放置すると頑固な痛みが長期間続いて、日常生活に影響することがあるので早期に治療をした方がよい病気です。帯状疱疹の症状はどうな症状なのか?治療法についても解説します。
帯状疱疹と水ぼうそうの関係
帯状疱疹は、水ぼうそうの原因でもある水痘・帯状疱疹ウイルスが引き起こす病気です。
- 生まれて初めて水痘・帯状疱疹ウイルスに感染したときは、水ぼうそうとして発症
- 水ぼうそうが治ったあとも、ウイルスは体内の神経にひそむ
- 加齢やストレス、過労などによりウイルスに対する免疫力が低下すると、潜んでいたウイルスが再び活動を始め、神経を伝わって皮膚に移動し、帯状疱疹として発症。
好発年齢は高齢者ですが、10代の方でもマレではありません。また、一度かかるともうかからないと誤解されがちですが、帯状疱疹は免疫が低下すると再発することもあります。
帯状疱疹のヒトと接触した場合、水痘・帯状疱疹ウイルスに免疫のない人の場合には、その人は帯状疱疹ではなく水ぼうそうを発症する可能性があります。
帯状疱疹の症状
帯状疱疹を近くでみると、帯状に水ほうが集まり、そのまわりが赤くなっているのがわかります。多くは身体の片側に認めます。
上肢や胸、背中にかけて最も多くみられます。また、顔面、特に眼の周囲も発症しやすい部位です。
帯状疱疹の痛みは皮膚症状よりも先にみられることがよくあります。つまり、体の片側に痛みが出てきたときは、帯状疱疹の可能性があります。痛みの程度は、さわるとピリピリと感じるような痛みから、寝ることができなくなるくらいひどい痛みのこともあります。ただし、痛みだけを認める期間は1〜2週間程度です。それ以上たっても皮膚の症状が出なかったら帯状疱疹である可能性は低くなります。
帯状疱疹の痛みは適切な治療をされた場合はゆっくりと軽快してきます。しかし、2ヶ月たっても3ヶ月たっても痛みが続くことがあります。これを帯状疱疹後神経痛とよんでいます。
痛みに対しては初期の治療をしっかりおこなった方が帯状疱疹後神経痛になりにくいことがわかっていますので、帯状疱疹が疑われた場合には早めに治療を受けてください。
帯状疱疹の合併症
顔面の眼や鼻のまわりに発症した場合は、眼の角膜や結膜にウイルスが侵入して角膜炎や結膜炎を引き起こし、視力低下につながることもあるため、眼科での診察が必要です(Hutchinson 徴候と呼ばれます)。また、耳のまわりに発症した場合は、顔面神経麻痺や難聴やめまいなどを伴うことがあるため、耳鼻科での診察が必要となります(Ramsay Hunt症候群と呼ばれます)。
帯状疱疹の治療方法
治療は、病態の原因となっている水痘・帯状疱疹ウイルスの増殖を抑えるための抗ウイルス薬と痛みの対策です。
抗ウイルス薬は内服薬と注射薬があり、皮膚症状が重い場合や痛みが強い場合は入院して点滴治療を行うこともあります。皮膚症状が出て3日以内に開始した方が効果的です。抗ウイルス薬による治療は7日間で終了です。
痛みへの対策もとても大切です。あまりの痛みのため夜に寝れなくなる方や食欲がなくなってしまう方もいます。発症まもない時はロキソニンやボルタレンといった非ステロイド性解熱鎮痛薬が使用されます。ただし非ステロイド性解熱鎮痛薬は腎機能障害をお持ちの方やご高齢者では副作用が心配になりますのでアセトアミノフェンを使用することも多いです。
帯状疱疹後神経痛には非ステロイド性解熱鎮痛薬では効果が薄いので、リリカやタリージェ、サインバルタといった神経痛対策の内服薬を開始することもあります。
帯状疱疹のワクチンは50歳以上の方にお勧め
帯状疱疹ワクチン接種していない場合には85歳で帯状疱疹発症リスクはなんと50%と言われております。しかも、高齢であるほど帯状疱疹後神経痛を発症しやすいことも知られております。
帯状疱疹の予防は水痘弱毒生ワクチンか帯状疱疹ワクチンシングリックス筋注用(不活化ワクチン)の2種類があります。不活化ワクチンは効果は高いのですが、お値段が高くて2回接種が必要です。
当院ではいずれのワクチンも接種可能です。
帯状疱疹ワクチン
- 水痘弱毒化生ワクチン 6,800円(1回で終了)
- 乾燥組換えサブユニットワクチン「シングリックス」 1回 19,500円(2回接種で39,000円)
水痘弱毒化生ワクチンでは帯状疱疹の発生がおおむね半減します。帯状疱疹後神経痛は6割に減りました。しかし、その予防効果は接種後3~11年で予防効果が減弱すると考えられております。
シングリックスは水痘弱毒化生ワクチン)に比べて帯状疱疹を予防する効果が高く50歳以上で97.2%、70歳以上で89.8%の発症予防効果が認められています。
まとめ
- 帯状疱疹は、水ぼうそうの原因でもある水痘・帯状疱疹ウイルスが引き起こす病気です。水ぼうそうにかかったあとにウイルスは体内にひそんでおり、ウイルスに対する免疫力が低下すると潜んでいたウイルスが再び活動を始め帯状疱疹として発症します。
- 帯状疱疹では、帯状に水ほうが集まりそのまわりが赤くなっているのがわかります。痛みが長期間にわたって残ることもあり帯状疱疹後神経痛と呼ばれます。
- 治療は抗ウイルス薬と疼痛対策です。帯状疱疹後神経痛に対してはリリカやタリージェ、サインバルタといった神経痛対策の内服薬を開始します。
- 50歳の方は帯状疱疹ワクチンを接種して予防しましょう。
帯状疱疹に対しては50歳以上の方はまずはワクチン接種を検討してください。発症予防に加えて帯状疱疹後神経痛への進展の予防も期待できます。また、発症してしまった場合にはなるべく早期の治療が望まれます。帯状疱疹でお困りの方、お気軽にご相談ください。