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子どもの喘息の薬|長期管理薬と発作治療薬の違い・使い分けを医師が解説

🔄 最終更新日: 2026年5月5日

📅 2023年9月18日 (2年以上前に公開)

ℹ️ この記事は「小児喘息とは?原因・症状・診断・治療まで【医師が解説】」の関連記事です。喘息の全体像を把握したい方はまずそちらをご覧ください。

「発作が出たとき、どっちの薬を使えばいいの?」「毎日吸入しているのに、なぜ発作が起きるの?」「症状が落ち着いたら薬をやめてもいい?」

子どもが喘息と診断されると、こうした疑問が次々と浮かびます。答えは、役割がまったく異なる2種類の薬を正しく使い分けることにあります。この記事では、長期管理薬・発作治療薬それぞれの薬剤名・使い方・やめどきの判断を、診療現場の説明をもとに解説します。

長期管理薬(コントローラー)とは:症状がなくても毎日続ける理由

長期管理薬は、気道の慢性的な炎症を抑え、発作が起きにくい状態を維持するための薬です。症状がないときでも毎日使い続けることで効果を発揮します。

吸入ステロイド(ICS):長期管理の中心的な薬

長期管理薬の中心は吸入ステロイド(ICS)です。気道に直接届くため、飲み薬と比べて全身への影響が少なく、小児喘息の第一選択として広く使われています。代表的な薬剤は以下のとおりです。

  • フルタイド吸入薬(フルチカゾン):ICS単剤。炎症を抑える基本形で、軽症〜中等症に使われます。
  • アドエア吸入薬(フルチカゾン+サルメテロール):ICS+長時間作用型β2刺激薬(LABA)の配合薬。中等症〜重症向け。
  • フルティフォーム吸入薬(フルチカゾン+ホルモテロール):同じくICS+LABA。年齢や重症度に応じて選択されます。

ロイコトリエン受容体拮抗薬:飲み薬タイプの長期管理薬

吸入が難しい年齢の子どもや、アレルギー性鼻炎を合併している場合には、ロイコトリエン受容体拮抗薬(モンテルカスト〔キプレス・シングレアなど〕)が処方されることがあります。毎日服用することで気道の炎症を抑えます。

「症状が落ち着いたら吸入ステロイドをやめていい?」

症状が落ち着いているのは、薬が効いて気道の炎症が抑えられているためです。自己判断でやめると炎症がぶり返し、発作が再燃するリスクがあります。

やめどきは主治医と相談して決めます。一般的には、発作がなく安定した状態が3〜6か月続いた段階で、段階的に減量・中止を検討します。季節や成長の変化によっても判断が変わるため、自己判断での中止は避けましょう。

発作治療薬(リリーバー)とは:発作が起きたときだけ使う薬

発作治療薬は、気管支を速やかに広げて発作の症状を和らげる薬です。発作が起きたときにのみ使用します。日常的に使い続けるものではありません。

SABA(短時間作用型β2刺激薬):代表的な発作治療薬

発作治療薬の代表はSABA(短時間作用型β2刺激薬)の吸入薬です。

  • サルタノール吸入薬(サルブタモール):吸入後数分で気管支が広がります。
  • メプチンエアー吸入薬(プロカテロール):効果・使い方はサルタノールとほぼ同等。処方の好みや使いやすさで選ばれます。

どちらも根本的な炎症治療はできません。発作を抑えている間も長期管理薬は毎日継続してください。

発作とコントローラーの使い分け:重症度別の対応フロー

発作の程度に応じて、次のように対応します。

  • 🟢 発作なし(普段):長期管理薬(フルタイドなど)を毎日継続。発作治療薬は使わない。
  • 🟡 軽度の発作(咳が増えた・運動でゼイゼイする):サルタノール・メプチンエアーを1〜2回吸入。30分〜1時間で改善しなければ受診。
  • 🔴 中〜重度の発作(苦しくて話せない・顔色が悪い・胸が強くへこむ):すぐに受診・救急へ。家庭での対応に限界がある状態です。

発作治療薬を「週2回以上」使うようになった場合は、長期管理薬の見直しのサインです。主治医に相談してください。

2種類の薬の比較早見表

 長期管理薬(コントローラー)発作治療薬(リリーバー)
目的気道の炎症を抑えて発作を予防発作時の気管支収縮を速やかに解除
いつ使う毎日(症状がなくても)発作が起きたときだけ
代表的な薬剤名フルタイド・アドエア・フルティフォーム・モンテルカストなどサルタノール・メプチンエアーなど
効果が出るまで数日〜数週間かけて徐々に効く吸入後数分で効く
自己中止不可(主治医と相談して決める)発作がなければ使わなくてよい

まとめ

子どもの喘息治療の基本は、長期管理薬で気道の炎症を継続的に抑えつつ、発作が起きた場合にのみ発作治療薬を使うという2本立てです。

  • 症状がなくても長期管理薬(フルタイドなど)をやめない
  • 発作治療薬(サルタノール・メプチンエアー)は発作時のみ使う
  • やめどきや薬の変更は必ず主治医と相談する

よくある質問

Q. 発作が出ていないのに、長期管理薬はやめていい?

症状がないのは薬が効いているからです。自己判断で中止すると気道の炎症がぶり返し、発作が再燃するリスクがあります。やめどきは発作なく安定した期間が続いた後、主治医と相談して段階的に減らしていくのが原則です。

Q. 吸入ステロイド(フルタイドなど)を毎日続けて副作用は大丈夫?

吸入ステロイドは気道に直接届く設計で、飲み薬のステロイドと比べて全身への影響はごく少量です。長期使用での身長への影響はごくわずかとされており、発作を繰り返すことによるリスクの方がはるかに大きいと考えられています。吸入後のうがいで口腔内への影響を最小限にできます。

Q. サルタノールとメプチンエアーの違いは?

どちらも発作時に気管支を広げるSABA(短時間作用型β2刺激薬)で、効果・持続時間はほぼ同等です。成分が異なり(サルブタモールとプロカテロール)、処方のしやすさや患者の使い勝手で使い分けられます。

Q. 発作のときにコントローラー(フルタイドなど)を追加で使ってもいい?

長期管理薬は発作を止める薬ではありません。発作中に使用しても即効性はなく、発作の緩和にはなりません。発作時は必ずサルタノール・メプチンエアーなどの発作治療薬を使い、長期管理薬は通常どおり継続してください。

Q. 何歳から自分で吸入できるようになる?

スペーサー(吸入補助器具)を使えば乳児からでも吸入可能です。吸入器を一人で正しく使えるようになるのはおおむね5〜6歳が目安ですが個人差があります。それまでは保護者が一緒に操作しましょう。

Q. 吸入後にうがいは必要?

吸入ステロイド使用後は必ずうがいをしてください。のどに残った薬が声枯れや口腔カンジダ症の原因になることがあります。うがいができない小さな子どもは水を飲ませるだけでも効果があります。

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南22条おとなとこどものクリニック

  • この記事を書いた人

小林 俊幸

小林俊幸|南22条おとなとこどものクリニック院長。小児科・総合内科。「がんばりすぎない健康」をテーマに情報発信中。 お問い合わせはこちら

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