
1 はじめに
2025年6月、三重県内の動物病院でSFTS(重症熱性血小板減少症候群)に感染したネコを治療した男性獣医師が、数日後に体調を崩して緊急搬送され、SFTSの発症が確認された後に亡くなりました。
マダニに刺された痕跡は認められず、動物から人への二次感染が強く疑われています。
動物医療に献身された獣医師の方のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
2 SFTSとは?――基礎知識
- 病原体:SFTSウイルス(SFTSV)
- 潜伏期間:6〜14 日
- 主症状:発熱、嘔吐、下痢、倦怠感など
- 重症化すると:出血傾向、腎機能障害、意識障害
- 致死率:おおむね 10〜30 % (toyokeizai.net, mhlw.go.jp)
🍊「30%近い致死率になることもあるんですね……。」
🟢「はい。発症数自体は多くありませんが、重症化した場合のリスクは高い感染症です。」
3 感染経路:マダニ → ペット → 人
- フタトゲチマダニやヤマトマダニ などのマダニがウイルスを保有
- 野外でマダニに刺されたネコ・イヌ が SFTS に感染
- 感染動物の唾液・血液・尿等に濃厚接触した人が 二次感染 することがある
🍊「完全室内飼いでも、うちのネコがベランダ伝いに外へ出ちゃうことがあって……。」
🟢「短時間でもマダニは付着します。帰宅後に毛や耳、足回りを目視・ブラッシングで確認するとよいですね。」 (mhlw.go.jp)
4 要注意サインと受診の目安
ペットの場合
- 元気・食欲低下 が 1〜2 日続く
- 体温 39 ℃ 以上(動物病院で測定)
人の場合
- 38 ℃ 以上の発熱 + 嘔吐や下痢が 2 日以上
- 出血斑・意識障害 は直ちに救急受診
🍊「ネコが丸一日食べないときは迷わず動物病院に行くべきですね。」
🟢「その通りです。飼い主さん自身も発熱や胃腸症状があれば、早めに医療機関を受診してください。」
5 治療薬“ファビピラビル”の現状と限界
- 2023 年に国内承認。SFTS への 早期投与 で有効性が報告
- ただし 発症後日数が経過すると効果は限定的
- ワクチンは未承認――したがって 予防と早期発見が最良の防御策 (mhlw.go.jp)
🍊「薬があるからといって安心は禁物、ですね。」
🟢「はい。“咬まれない・うつさない” 仕組みづくりと、体調変化への敏感さが最も大切です。」
6 まとめ――公式情報を参考に行動を
- 感染予防策やペットのケア方法は、自治体・獣医師会の最新ガイドラインで随時更新 されています。
- 疑問があれば、かかりつけ獣医師や保健所に相談 しましょう。
7 参考情報・相談窓口
- 東洋経済オンライン「獣医師死亡…SFTSの怖さ」 久住英二医師寄稿 (toyokeizai.net)
- 厚生労働省「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について」 (mhlw.go.jp)
- 三重県獣医師会・報道資料 (asahi.com)