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札幌・北海道の花粉症まるわかりガイド|シラカバ・ハンノキ対策【医師監修】

「北海道はスギ花粉がないから大丈夫」—— その誤解が、つらい春をつくっています。北海道の花粉症の主役はシラカバとハンノキ。2種類の花粉の特性と、本当に効く対策を医師がまとめます。

1. 北海道の花粉症が「本州と違う」理由

1-1. 本州とは「メインの花粉」が違う——シラカバとハンノキが主役

本州ではスギ・ヒノキが花粉症の主役ですが、北海道ではシラカバ(4月下旬〜6月)とハンノキ(2月下旬〜4月)が飛散の中心です。

スギは北海道にも一部自然に育っており観測されることがありますが、飛散量・飛散期間はシラカバ・ハンノキに比べてはるかに少ない傾向があります。本州の「3〜4月に終わる」とは飛散カレンダーが根本的に違うため、「北海道は花粉と無縁」という認識はもう過去のものです。

1-2. 移住・転勤組も要注意:体の「花粉への反応」は積み重なる

本州でスギ花粉に反応しなかった方でも、札幌に来てから数年後にシラカバで発症するケースは珍しくありません。体の中に「反応のもと(IgE抗体)」が少しずつたまり、ある年にコップがあふれると突然発症します。

2. シラカバ・ハンノキの飛散カレンダー(札幌版)

2-1. 月別飛散カレンダー

時期主な花粉飛散強度(目安)
2月下旬〜3月ハンノキやや多い(年による)
4月ハンノキ後半 → シラカバ開始多い
5月シラカバ最盛期非常に多い
6月前半シラカバ終盤中程度

2-2. 「雪が残っていても花粉は飛ぶ」——ハンノキの怖さ

本州の人が「まだ冬」と感じているこの時期、札幌ではハンノキがすでに花粉を飛ばし始めています。雪解け前から対策が必要という点が、北海道の花粉症対策の最大の落とし穴です。

3. 症状チェックリスト(鼻・目・喉・皮膚・口腔)

3-1. 典型的な5大症状

花粉症の症状は「鼻と目」だけではありません。主な症状は次の5つです。

  • 鼻:サラサラした水っぽい鼻水、鼻づまり
  • 目:かゆみ・充血・ゴロゴロ感
  • 喉:イガイガ感・咳
  • 皮膚:顔まわりのかゆみ・赤み(花粉皮膚炎)
  • 口腔:リンゴや桃を食べると口・唇がかゆくなる(PFAS)

3-2. 「毎年同じ時期に出る」が最大のヒント

花粉症と風邪を見分けるポイントは「パターン」です。発熱がなく、透明でサラサラした鼻水が続き、毎年同じ時期に繰り返す——これが花粉症を疑う最大の手がかりになります。目のかゆみ・充血が加わればさらに可能性が高まります。

4. 診断|血液検査でわかること

4-1. 特異的IgE抗体検査とは?

血液を1本採るだけで、「どの花粉に反応しているか」を確認できます。シラカバとハンノキはカバノキ科という同じグループに属しており、抗原の構造が似ているため、似た反応(交差反応)が起きることもあります。両方まとめて調べることができます。

4-2. PFAS(花粉関連食物アレルギー症候群)について

リンゴ・桃・さくらんぼなどを食べると口や唇がかゆくなる症状は、PFAS(花粉関連食物アレルギー症候群)と呼ばれ、シラカバ花粉に体が反応しやすくなっていることと密接な関係があります。「果物アレルギー」と思っていたら花粉症が原因だった、というケースも少なくありません。血液検査で同時に確認できます。

5. 治療の3本柱(内服・点鼻・点眼)と初期治療

5-1. 3つの薬の役割分担

薬の種類主なターゲットひとことメモ
内服(抗ヒスタミン薬)全身症状(鼻水・くしゃみ・目のかゆみ)眠気の出にくいものを選べる
点鼻薬鼻づまり・鼻水全身への影響が少ない
点眼薬目のかゆみ・充血早めに使うと効果大

5-2. 「症状が出てから」では遅い理由——初期治療という考え方

花粉症は、花粉が体に入るたびに炎症が少しずつ積み重なっていく病気です。症状がはっきり出た時点では、すでに鼻や目の中で炎症が強くなっています。

初期治療(初期療法)とは、花粉が本格的に飛び始める1〜2週間以上前から薬を使い始めること。炎症が強くなる前にブレーキをかけるイメージです。「コントロールできる春」にするための、最も効果的な一手です。

6. 対策の3ゾーン(外・玄関・室内)

6-1. ゾーン別アクションまとめ

花粉対策は「外・玄関・室内」の3ゾーンで順番に考えると、驚くほど変わります。

  • 外:顔のカーブに沿って横からも花粉が入りにくい形の花粉対策メガネ+マスクで、物理的に隙間をふさぐ。「フィルターでこす」より「隙間をふさぐ」発想が大事。
  • 玄関:上着は玄関止まり。帰宅後の順番は「払う→脱ぐ→手洗い→洗顔」。できればそのままシャワーへ。
  • 室内:窓の換気は10cmだけ開けてレースカーテンを引く。掃除は朝一番に水拭きから始め、HEPAフィルター付き空気清浄機を活用する。

7. こんな症状もあります(花粉皮膚炎/突然発症/PFAS)

7-1. 花粉皮膚炎:飲み薬を飲んでいるのに肌がかゆい

「抗ヒスタミン薬を飲んでいるのに、顔や首だけがムズムズする」——これは花粉皮膚炎かもしれません。内服薬は体内のヒスタミンを抑えますが、低下した皮膚のバリア機能を修復する力はありません。春先の乾燥と花粉の直接接触が組み合わさると、飲み薬だけでは対応しきれない肌の炎症が起きます。

朝の洗顔後にワセリンや低刺激の保湿クリームを厚めに塗る「1分バリアケア」が、日中の肌荒れを防ぐ鍵です。

7-2. 突然の発症:「去年まで平気だったのに」は体質変化ではない

花粉症はある日突然「スイッチが入る」ように発症することがあります。体の中に花粉への反応のもと(IgE抗体)をためるコップがあり、毎年少しずつ水が注がれ、あふれた年に初めて症状が現れます。「突然なった」と感じても、実際には何年もかけて体の中で準備が進んでいた結果です。

7-3. PFAS(花粉関連食物アレルギー)

リンゴ・桃を食べると口がかゆくなる症状は、シラカバ花粉に体が反応しやすくなっているサインであることがあります(H2-4でも触れましたが、「鼻・目の症状はないのに果物でかゆい」という方も要注意です)。血液検査でシラカバと同時に確認できます。

8. 子どもの花粉症

8-1. 子どもは「我慢している」ことが多い

お子さんは鼻水が出ても言葉にしないことが多く、目をこすっている・集中力が落ちている・夜ぐっすり眠れないといったサインで気づくことがあります。鼻づまりによる睡眠の質低下が続くと、中耳炎や副鼻腔炎のリスクも高まります。

8-2. 子どもの初期治療とスキンケア

初期治療は子どもにも有効です。大人と同様に「飛散ピークの1〜2週間前から始める」が基本。年齢・体重に合わせた用量の処方薬を使います。また、アトピー体質のお子さんは花粉皮膚炎も起きやすいため、保湿ケアと組み合わせて対策することが大切です。

9. 2026年シーズン予測(毎年1月更新)

9-1. 2026年の飛散量と北海道の傾向

2026年春のシラカバ花粉は、2025年夏の高温・長日照が影響し、例年の2倍以上の飛散が予測されています。特に道央・札幌圏では「非常に多い」予報で、毎年症状が軽かった方も例年どおりの対応では不十分になる可能性があります。

9-2. 「今年の準備」チェックリスト

  • 初期治療の開始時期:シラカバ飛散ピーク(5月前後)の1〜2週間前、目安として3月末〜4月上旬から
  • 対策グッズ(花粉対策メガネ・HEPAフィルター付き空気清浄機)の準備確認
  • 昨年と症状の程度が変わった場合は薬の見直しを

10. よくある質問

北海道でスギ花粉症にはなりますか?

北海道でも一部スギ花粉は観測されていますが、本州と比べると飛散量・飛散期間ともに非常に少ない傾向があります。北海道の花粉症の主な原因はシラカバとハンノキで、これら2種類への対策が中心になります。

花粉症の薬はいつから飲み始めればいいですか?

シラカバ花粉の場合、飛散ピーク(5月前後)の1〜2週間以上前、目安として3月末〜4月上旬から始める「初期治療」が効果的です。症状が出てから飲み始めるより、出る前にブレーキをかける方が楽に過ごせます。

花粉症と風邪、どう見分けますか?

発熱がなく、サラサラした透明な鼻水が続き、毎年同じ時期に繰り返す場合は花粉症を疑います。目のかゆみ・充血が加わればさらに可能性が高まります。風邪は通常1〜2週間で回復しますが、花粉症は飛散期間中ずっと続くのが特徴です。

子どもにも大人と同じ花粉症の薬が使えますか?

抗ヒスタミン薬・点鼻薬・点眼薬は子どもに使えるものがあります。ただし年齢・体重に合わせた用量があるため、処方薬を使うのが安心です。市販薬を使う際も、対象年齢を必ず確認してください。

リンゴや桃を食べると口がかゆくなるのは花粉症と関係がありますか?

花粉関連食物アレルギー症候群(PFAS)と呼ばれ、シラカバ花粉に体が反応しやすくなっていることと密接な関係があります。リンゴ・桃・さくらんぼなどを食べると口や唇がかゆくなる場合は、花粉症の血液検査と合わせて確認することをおすすめします。

毎年花粉症なのに今年だけ症状がないのはなぜですか?

飛散量が少ない年、初期治療が功を奏した年、在宅勤務など生活環境の変化(外出機会の減少)などが考えられます。症状がない年でも花粉症そのものが治ったわけではないため、翌年も早めの対策を心がけることが大切です。

「完全に症状をゼロにすること」は難しくても、「コントロールできる春」にすることはできます。早めの準備と3ゾーン対策で、今年の春も自分のペースで過ごしてください。

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南22条おとなとこどものクリニック

  • この記事を書いた人

小林 俊幸

小林俊幸|南22条おとなとこどものクリニック院長。小児科・総合内科。「がんばりすぎない健康」をテーマに情報発信中。 お問い合わせはこちら

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