📅 2026年6月5日 (0日前に公開)

お子さんが急な高熱を出して心配されている保護者の方へ——この記事を読めば、受診すべきタイミング・家庭でのケアの方法・いつ登園できるかがわかります。
「急に39℃近い熱が出た」「のどが痛くて水も飲んでくれない」——夏になると、こうしたご相談が増えます。その代表的な原因のひとつがヘルパンギーナです。
ヘルパンギーナは、のどの奥に小さな水ぶくれができるウイルス性の感染症で、乳幼児を中心に夏に流行します。多くは数日〜1週間で自然に回復しますが、のどの痛みで水分がとれず脱水になることがあり、家庭でのケアが大切です。
この記事では、原因・症状・治療・家庭でのケア・受診の目安・登園登校のタイミングまで、南22条おとなとこどものクリニック(札幌市・内科・小児科)が解説します。
目次
ヘルパンギーナとは
主にコクサッキーウイルスA群(一部B群、エコーウイルス、エンテロウイルスなど)によって起こる感染症です。例年5〜8月頃に流行し、1〜4歳くらいのお子さまに多くみられます。原因ウイルスが複数あるため、ひと夏に2回かかることもあります。
「ヘルパンギーナ」という名前は、水疱(herpes様)+のどの炎症(angina)に由来します。手足口病と同じエンテロウイルス属が原因で、流行時期も重なりますが、発疹がのどの奥に限られる点が特徴です。
潜伏期間と感染経路
潜伏期間は2〜5日程度です。感染経路は次の3つです。
- 飛沫感染:咳やくしゃみのしぶきを吸い込む
- 接触感染:唾液や鼻水がついた手・おもちゃ・ドアノブを介して
- 糞口感染:便中のウイルスが手を介して口へ(おむつ交換時は特に注意)
症状が治まった後も、便からは2〜4週間ほどウイルスが排出されます。回復後もしばらくは手洗いを続けてください。
主な症状
| 症状 | 特徴 |
|---|---|
| 突然の高熱 | 38〜40℃の発熱が急に出現。多くは1〜3日で解熱します |
| のどの水疱・痛み | 口の奥(のどの奥〜上あご)に1〜5mm程度の水疱や潰瘍ができ、強く痛みます |
| 飲食量の低下 | 痛みのため飲んだり食べたりを嫌がります。よだれが増えることも |
| 全身のだるさ | ぐったりする、機嫌が悪い、眠りが浅いなど |
熱は通常1〜2日で下がることが多いですが、のどの水ぶくれによる痛みは熱が下がった後も3〜5日ほど続くことがあります。「熱は引いたのにまだ痛そう…大丈夫?」と心配になる保護者の方も多いのですが、これはヘルパンギーナの正常な経過です。のどの痛みが続いている間は水分補給を優先し、痛みが落ち着いてきたら徐々に食事を再開してください。
手足口病との違い
どちらも夏かぜの代表で原因ウイルスも近い仲間ですが、ヘルパンギーナは発疹がのどの奥のみ、手足口病は手のひら・足の裏・口の中に発疹が出ます。対処法はほぼ同じです。
治療方法
ヘルパンギーナに特効薬(抗ウイルス薬)はなく、症状をやわらげる対症療法が中心です。
- 解熱鎮痛剤:高熱やのどの強い痛みに対して、アセトアミノフェンなどを年齢・体重に合わせて処方します
- 水分・栄養補給の支援:経口補水液やゼリーなど、とりやすいものの工夫をご案内します。脱水が強い場合は点滴を行います
- 安静:発熱中は無理をさせず、涼しい環境でしっかり休ませてください
ご家庭でのケア
水分補給を最優先に
一度にたくさん飲めなくても、スプーン1杯ずつ・こまめに与えてください。経口補水液、麦茶、冷ましたスープなどが適しています。柑橘系ジュースや炭酸はしみるので避けましょう。
食事はのどごし重視
ゼリー、プリン、ヨーグルト、冷ましたおかゆ、アイスなど、冷たくてやわらかいものが食べやすくなります。熱いもの・固いもの・塩気の強いものは控えてください。
口の中を清潔に
痛みが許せば、ぬるま湯でうがいをしたり口をゆすいだりして清潔を保ちます。
受診の目安
次のような場合は早めに受診してください。
- 半日以上おしっこが出ていない、唇が乾いている、涙が出ない(脱水のサイン)
- 水分をほとんど受けつけない
- ぐったりして呼びかけへの反応が鈍い
- 高熱が3日以上続く
- 頭痛・嘔吐を繰り返す、けいれんを起こした(まれに髄膜炎などの合併症があります)
夜間・休日に上記の症状が強い場合は、救急外来の受診もご検討ください。
登園・登校の目安
ヘルパンギーナは出席停止が義務づけられた感染症ではありません。熱が下がり、のどの痛みが落ち着いて、普段どおり食事や活動ができれば登園・登校できます。
回復後も便にウイルスが残るため、園や学校でも手洗いを続けることが大切です。プールについては園・学校の方針を確認してください。
感染を広げないために
- 帰宅後・食事前・トイレやおむつ交換後の手洗いを徹底する
- タオルやコップの共用を避ける
- おもちゃやドアノブなど、よく触れる場所をこまめに拭く
ご家族の大人にうつることもあります。大人がかかると高熱やのどの痛みが強く出る場合がありますので、看病の際も手洗いを忘れずに。当院は内科も診療していますので、保護者の方の症状もあわせてご相談いただけます。
まとめ
ヘルパンギーナは夏に流行するウイルス性の感染症で、ほとんどは1週間程度で自然に回復します。いちばんの注意点は、のどの痛みによる水分不足・脱水です。「飲めているか」「おしっこが出ているか」を目安に観察し、心配なときは早めにご相談ください。

