子どもの病気

赤ちゃんがRSウイルスに感染?受診のタイミングを解説します

保育園でRSウイルスが流行っていると聞いたけど、どんな症状だったら受診したらいいのかしら?

急いで受診しないとダメなの?

受診したらどんな検査をするのか不安だわ。

このような不安や疑問を解決できる記事を書きました。この記事を読むと、RSウイルスの基礎知識やお子さんが症状がRSウイルスを疑う症状なのか、急いで救急外来を受診した方がよいのかを判断する助けになります。

RSウイルス感染の症状は風邪に似ている

RSウイルスは、日本を含めて世界中に存在し喉や気管支に呼吸器感染症を引き起こすウイルスです。

風邪と症状が似ていることから、たいていの場合にはRSウイルスに感染したことに気づくことはできません。また、一度感染しても再発することが多い、とても身近な感染症です。

いつ流行するの?

毎年冬期に流行することが多いのですが、最近は夏から始まり冬季以外にも流行することがあります。

下のグラフの太赤線が今年を示しています。第12週頃からRSウイルスの患者さんが徐々に増えて現在流行中です。緑線は昨年を示していますが、コロナ禍では全く流行はありませんでした。

引用:感染症発生動向調査週報(国立感染省研究所)
詳しくは国立感染症研究所HPまで

RSウイルスには1歳未満でかかりやすい

RSウイルスは1歳までに半数以上のお子さんがかかり、2歳までにほぼ100%が感染します。下気道感染症(細気管支炎、肺炎など)により重い呼吸障害を起こすこともあるため、乳幼児は注意が必要です。

【注意】1歳未満ではRSウイルス感染で重症化のリスク

RSウイルスにかかっても、風邪のように軽い症状のこともありますが、1歳未満のお子さんは重症化しやすい傾向があります。

特に、免疫機能が少ない3ヶ月未満では症状が悪化しやすいため、RSウイルス感染の流行時には、赤ちゃんがいる家庭では、感染予防がとても大切です。

【注意】重症化すると細気管支炎になる

RSウイルス感染が悪くなると細気管支炎になることがあります。聞き慣れない言葉かもしれません。

気管支というのは、肺に空気が送られる通り道の一つです。この部分が炎症を起こすことを細気管支炎といいます。

空気の通り道である細気管支に空気が流れにくくなるため、喘息のようなヒューヒュー、ゼーゼーとした呼吸やむせるような咳がでるようになります。

RSウイルス感染を疑う【流行期+感冒症状】

まずは、今が流行期なのか確認しましょう。お子さんお通っている保育園や幼稚園の先生に確認してください。

症状は感冒症状に似ています。流行期でかつ咳や鼻水、38~40度くらいの発熱があるときはRSウイルス感染の可能性があります。

症状が重くなると、喘息のようなヒューヒュー、ゼーゼーという呼吸音(喘鳴)が聞こえることがあります。呼吸が速くなって、呼吸困難や無呼吸になり、入院による治療が必要となることもあります。

どんな症状なら医療機関を受診すべき?

2歳以上の子供は感染したとしても重症化することはほとんどない病気です。機嫌が良く元気であれば慌てて夜間救急に受診する必要はありません。日中にかかりつけ小児科で相談しましょう。

ただし、RSウイルス感染症と症状の似ている気管支喘息や気道異物などの可能性もあるので赤ちゃんが苦しそうであれば緊急で受診を考える必要があります。

【要注意】基礎疾患のある赤ちゃんは早めに受診してください

1歳未満のお子さんが初めてRSかかったウイルスにかかったときや早産児、肺や心臓に疾患があるお子さんや免疫不全のお子さんの場合は特に重症化しやすいです。

RSウイルスに初めて感染した乳幼児の約20〜40%肺炎などの症状が現れます。少数ですが入院が必要なほど重症化することがあります。

RSウイルスは飛沫感染と接触感染で広がる

RSウイルスは飛沫感染と接触感染によって感染が広がります。

飛沫感染:咳やくしゃみによってでた飛沫が飛び散って眼の粘膜に入ったり、口や鼻から吸い込むことによって感染する
感染:RSウイルス感染のお子さんの唾液や鼻水が付着したおもちゃやドアノブ、スイッチ、コップなどに触れた手指を介して感染する
しっかりと手洗いして、咳マスク着用あるいはエチケットの継続、おもちゃや身の回りのものの消毒をすることによって感染予防が可能です。

RSウイルス感染の診断方法

まずは、問診でRSウイルスを疑うところから始まります。周りの流行状況が重要です。

RSウイルスの診断に鼻からの検体を採取します
インフルエンザと同じように、鼻に綿棒を挿入して鼻水にウイルスが含まれているかどうかを調べる簡易検査を行います。通常10分ほどで結果が分かります。

小児科を標榜しているクリニックや病院では一般的に行われている検査です。当クリニックでも検査は可能です。ふだん通院していない医療機関を受診する場合には電話で問い合わせた方がよいでしょう。

RSウイルス以外の可能性を疑ったり、RSウイルスによる肺炎への進展などが疑われた場合には血液検査やレントゲン写真が実施されることがあります。

RSウイルスの検査費用は?

下記の条件に1つでも当てはまり、RSウイルス感染が疑われる場合は保険適用です。

  • 入院中
  • 1歳未満
  • パリビズマブ製剤(シナジス)を使用している乳幼児
  • 保険適用されない場合、自費での検査となります。各医療機関にお問い合わせください。当クリニックでは1,500円を頂いて自費検査をやっております。

RSウイルスの検査をしないとRSウイルスにあった薬は処方されませんか?

実は、RSウイルスには有効な治療薬やワクチンがありません。

熱が高い時には解熱鎮痛剤を使用することや、咳が出る、痰がからむなどの症状がある時は、気管支を拡げ呼吸を楽にする気管支拡張薬や、痰を切る薬を使用した対症療法を行います。

たいていの場合はこのような処置で数日で症状は軽快します。

まとめ

RSウイルスにかかる重症化するリスクがあるか把握してください。1歳未満のお子さん、特に6ヶ月未満では要注意です。早産児や心臓や肺に基礎疾患がある場合には注意が必要です。

周囲の流行があり、お子さんがRSウイルスに疑わしい感冒症状がある場合は注意が必要です。特に重症化のリスクのあるお子さんでは早めに医療機関を受診してください。

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