内科&小児科

「あせも」のケア

これって、あせもですか?赤ちゃんのからだに赤いブツブツができて、かゆがります!

北海道も蒸し暑くなってきて、汗をかくことが多くなり、「あせも」の症例が増えてきました。「あせも」は医学用語では汗疹(かんしん)と呼びます。今日は汗による皮膚トラブルで「あせも」の解説をします。

汗腺には個人差がある!

人間のからだには200万~500万個の汗腺、つまり汗を出す管があり、かなり個人差があります。汗腺の数は、幼少期にほぼ決定します。子どもと大人ではからだの大きさは全然違うのに、なんと汗腺の数は同じなんです。子どもが汗っかきなのもうなずけますよね。皮膚にある汗腺の密度が子どもは高いから汗っかきなのです。

汗腺の数は、汗腺が形成されるときの環境に大きく影響されます。暑い場所で育った子どもは、たくさん汗をかいて体温調節しながら環境に対応するため、汗腺も発達しやすく、逆に寒い地方で育つと、汗腺は少なくなるようです。

汗の役割

汗は皮膚の表面で大活躍です。体温調整や生体防御、保湿の役割をはたして、皮膚の状態をよくしてくれるのです。

体温調整

汗の最も重要な役割は体温の調節機能です。気温の上昇や運動、カゼの発熱などで体温が高くなった時に発汗は起こります。汗の水分が皮膚の上で蒸発するときに熱が奪われ(気化熱)、それによって体温を36.5℃前後に保つことが出来るのです。

大人が体温1度下げるために約100mlの汗が必要で、それをすべて蒸発させる必要があります。

生体防御

汗の中には「抗菌ペプチド」と呼ばれる物質が含まれており、皮膚の表面にくっついた病原性のある細菌やカビが増殖しないようにコントロールしています。

気温が上がってくると、細菌やカビの増殖力が高まりますが、適度な汗をかくことにより、「抗菌ペプチド」が働き、皮膚感染症を抑えてくれるのです。

保湿

汗は皮膚の保湿にも重要な役割を果たしています。汗には様々な保湿成分が入っています。これらの成分は水とくっつきやすい性質をもっているため、皮膚の表面の水分・角層の水分・空気中の水分と結びつき、いわば「水のバリア」を作ってくれます。

汗の悪影響

汗は皮膚に対して悪い影響をおよぼすことがあります。汗を放置しないように注意してください。

汗は、皮膚に付着して時間が経つとその表面がアルカリ性に傾き、細菌が繁殖しやすくなります。また、皮膚の表面(角質層)の細胞がふやけた状態になってしまうので、擦るなどの外力で傷つきやすくなったり、細菌などが皮膚の深部に侵入し、皮膚障害が生じやすくなったりします。

さらに、汗が蒸発する際に、角質細胞にある天然保湿成分が一緒に奪われるため、皮膚が乾燥することもあります。

汗の付着による皮膚障害は、特に皮膚と皮膚が密着しやすい腋窩(脇の下)・鼠径部(股のつけ根)・女性の乳房などや紙おむつを着用しているお尻、寝たきりの方の背部などに発生しやすくなります。

汗疹の原因

汗をかいたときに汗を排出する管(汗管と呼びます)が一時的につまることによって、汗がスムーズに排出されないことで起こるトラブルです。たまった汗の周りに炎症を起こしたり、漏れ出してして汗疹ができます。

「あせも」は汗が大量に出る高温多湿の環境下や、発熱・スポーツ時に起こりやすくなります。また、湿布や包帯、ギプスの装着などで通気性が悪くなってもあせもができやすくなります。汗管の詰まる深さで症状が違い、3つのタイプがあります。 

水晶様汗疹

皮膚の一番外側にある角質で汗管が詰まります。白っぽい透明な小さな(1-2mm)水ぶくれができます。赤み、かゆみや痛みはありません。お肌の清潔を保つことで、一日から数日で自然と治ります。

赤ちゃんの顔にできやすいですが、大人でも発熱する病気の際に発生することもあります。 

紅色汗疹

一番多いタイプです。汗管のつまりが、表皮部分で起きたときに起きます。

1~3ミリの大きさの湿疹や水泡がたくさんできます。皮膚が赤くなります。かゆみが出ることが多いです。乳幼児や肥満の人、汗かきの人に多い症状です。

新生児は汗管の発達が未熟なので、水晶様汗疹や紅色汗疹にかかりやすいです。

汗管の詰まりやすさには左右差はないので、「あせも」は左右対称に起きることが多いです(もちろん片側だけのこともあります)。 

深在性汗疹

真皮内で汗管がつまったときにできます。深在性汗疹が発症するとその部分では汗が外に排出できなくなり皮膚が青白くなって盛り上がった状態の発疹があらわれます。熱帯地方でみられることが多く、日本ではまれです。 

「汗疹(あせも)」の予防方法

汗をかいたときに放置しないことが最も大切!
こまめに汗を拭いたり、着替えたり、お湯で洗い流しましょう。

他に、
涼しい環境に移動して汗をかかないようにする。
通気性の良い衣類を着て皮膚の閉塞を防ぐ。
炎症をおさめるためにステロイド軟膏を塗る。
感染を併発している場合には抗菌薬を投与する

といった対応があります。

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