子どもの病気

頭を壁や床に打ちつける赤ちゃん

夜になると赤ちゃんが自分で頭を壁や床にうちつけるのですが、大丈夫でしょうか?

赤ちゃんが自分で頭をいろんなところにぶつけることを「ヘッドバンキング」といいますが、実はこのヘッドバンキングをする子は結構います。

ほとんどは精神的・体の発達との関連はありません。赤ちゃんによくみられる行動で心配がない場合がほとんどです。

このような行動が始まった時、どうしたらよいかお伝えしていきます。

ヘッドバンキングとは

赤ちゃんがうつぶせになっている状態では枕やマットレスに繰り返してリズムよく頭や胴体の一部を持ち上げて頭を打ちつけますことをヘッドバンキングといいます。座っているときは、頭をベビーベッドや壁など、近くのものにぶつけます。

ヘッドバンギングは一定のリズムで続き、1~2秒おきに起こります。長時間続くこともありますが、通常は15分以内、長くても一時間以内といわれております。

昼寝や夜に寝る時間帯に多くみられ、夜間に目が覚めた時にも繰り返されることがあります。

赤ちゃんや子どもは、ヘッドバンギングを意識していないと考えられています。お話をすることができる年齢の子どもたちに翌朝尋ねると、たいてい前夜のヘッドバンギングをしたことを全く覚えていません。

生後6~9か月ころからみられ、9 カ月児で59%,18カ月で33%と言われており、2~3歳くらいに落ち着いて、5歳で5%程度にみられるだけになり、年齢とともに減少していきます。

睡眠前や睡眠中に起こる反復運動

ヘッドバンギング以外にも、赤ちゃんの睡眠中にリズミカルな動きをすることがあります。

  • ボディロッキング:手と膝をついて体全体を前後に動かしたり、座っている場合は胴体だけを動かしたりします。
  • ヘッドローリング;通常、子供が仰向けになっているときに起こり、頭を左右に頻繁に動かします。
  • ボディローリングまたはレッグローリング:仰向けで寝ているときに、体や脚を左右に動かすことです。
  • レッグバンギング:仰向けに寝ているときによく起こる動作で、脚を持ち上げてベッドに叩きつけるような動きをします。

ヘッドバンギング、ボディロッキング、ヘッドローリングは、これらのリズミカルな動きの中で最も一般的です。中には、これらの動きを同時にいくつもする子どももいます。

なぜヘッドバンキングをするのか?

周りから見ると不思議な行動に見えるかもしれませんし、あまりに回数が多いとご両親はびっくりされるかもしれません。

正確にはわかっていませんがヘッドバンギングが起こる理由についてはいくつかの説があります。

自己鎮静

親にはリラックスしているように見えないヘッドバンキングですが、そのリズミカルな動きが子どもを眠りに誘っているのかもしれません。

自己刺激

ヘッドバンギングやそれに関連する動作は、内耳にある前庭系を刺激している可能性があります。内耳は、小児の発達において重要な役割を果たし、動きを理解し、環境を認識するのに役立ちます。

最近の研究ではヘッドバンキングをする赤ちゃんは首の座り、歩き始めが少し早いという研究があります。発達が早くなる行動かもしれません。

不安に対する反応

リズミカルな動きが幼い子どもが不安に対処するための基本的な方法であると考える研究者もいます。

ヘッドバンキングは健康に害がありますか?

赤ちゃんが頭を打つことは、通常、健康上の問題を引き起こすことはありません。

ほとんどの乳幼児は、このリズミカルな動きによって睡眠や発達に支障をきたすことはありません。頭をぶつけたり、体を回転させたりするのを見たり聞いたりすると、親は心配になりますが、子どもにとって危険であることはほとんどありません。

睡眠関連律動性運動異常症(Sleep Related Rhythmic Movement Disorder)

この病気は、頭を叩くなどの類似の行動によって子どもが怪我をしたり、睡眠を著しく妨げたり、日中に障害を起こしたりした場合に診断されます。

調査によると、この障害を持つ乳幼児は0.34%~2.87%と極めてマレであることがわかっています。ヘッドバンキングを認める子どもの大多数は、睡眠関連律動性運動異常症ではありません。

親はどうしたらよいでしょうか?

子どものリズミカルな動きが睡眠に影響を与えたり、けがをしたりすることがなければ、通常、親は特に対処する必要はありません。

時間が経つにつれて、これらの行動は通常、自然に治まります。

頭を打ちつけることについても親が介入してこれらの動作を止めさせる必要はありません。

子どもが頭を打つのはとても心配です

基本的には対策は不要ですが、どうしても心配である場合には安全対策をして、ケガのリスクを減らしましょう。

ベビーベッドやベッドがしっかりと作られていて、安全基準に適合していることを確認しましょう。定期的に破損がないか確認し、ネジがしっかり締まっていることを確認しましょう。

乳幼児突然死症候群を防ぐために、生後12ヶ月未満の赤ちゃんは、仰向けに寝て、固いマットレスに寝かせ、ベビーベッドには柔らかいものを置かないようにしましょう。

受診が必要な時

ヘッドバンギングやその他の反復的な運動による傷害を認める場合や夜間の睡眠不足、日中の不注意、集中力欠如、思考力低下がある場合、睡眠前や睡眠中だけでなく、一日中そのような動作がある場合、子供が幼児でなくなった後も、頭を打つことがある場合などは受診が必要です。

頭を打つことの頻度を含めて、お子さんの睡眠に関する日記をつけるとよいでしょう。

まとめ

  • 赤ちゃんが自分で頭をいろんなところにぶつけることを「ヘッドバンキング」といいます。
  • ほとんどは精神的・体の発達との関連はありません。赤ちゃんによくみられる行動で心配がない場合がほとんどです。
  • 自然消滅することがほとんどですのでやさしく見守りましょう。心配であれば、安全対策をしてあげましょう。

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