
目次
1. ヘルスリテラシーって何?
一言でいえば「健康情報の取扱説明書を自分で読める力」です。
- 探す:テレビや SNS、学校の保健だよりなどから情報を見つける
- 読み解く:ウワサや広告と、医学的に正しい情報を見分ける
- 活 かす:自分や家族の生活に合わせて具体的な行動に落とし込む
この力が高いと、病気やケガのリスクを早く察知して「防ぐ」「悪化させない」ことができ、時間もお金も節約できます。
逆にヘルスリテラシーが低いと、間違った情報を鵜呑みにしてしまい、治療が遅れたり不要な薬を飲んだりする危険が高まります。
2. 知っておくと防げるトラブル5選
① ペットボトル症候群(清涼飲料水ケトーシス)
何が起こる?
甘いジュースやエナジードリンクを「のどが渇くから」と何本も飲むと、血糖値が一気に上がります。インスリンが足りなくなると、体は脂肪をエネルギー源にし始め、血液が酸性に傾く「ケトアシドーシス」という危険な状態に。
どう防ぐ?
・のどが渇いたらまず水や麦茶
・ジュースは“ごほうび”程度にとどめる
・「角砂糖○個分」と写真で意識すると◎
② 熱中症
何が起こる?
高温多湿の環境で汗と一緒に水分・塩分を失うと、体がうまく熱を逃せなくなり、頭痛・めまい・吐き気→最悪の場合は意識障害へ。
どう防ぐ?
・前日の夜から水+塩分補給で“貯水”
・暑さ指数(WBGT)をチェック、日陰で休憩
・首すじを冷やすスカーフやファン付きウエアも効果的
③ 市販薬の“ダブル服用”
何が起こる?
頭痛薬にも風邪薬にも同じ解熱鎮痛成分(例:アセトアミノフェン)が入っていることがあります。知らずに重ねて飲むと、肝臓に大きな負担がかかり、吐き気や黄疸など重い副作用の原因に。
どう防ぐ?
・パッケージ裏の「成分名」を見る習慣
・1日の総量(mg)をメモして管理
・わからないときは薬剤師さんに即確認
④ コンタクトレンズ長時間使用
何が起こる?
つけっぱなしで寝落ち → 角膜にキズ・酸素不足 → 細菌感染で視力低下、最悪失明の危険も。
どう防ぐ?
・装用時間を守る(1DAYは寝る前に必ず外す)
・目が赤い・ゴロゴロする日はメガネに切り替え
・定期検診でレンズと角膜のチェック
⑤ 百日咳が赤ちゃんにうつる
何が起こる?
妊婦さんがワクチン(Tdap)を打たずに感染すると、出産後に新生児へ水平感染。乳児は呼吸が止まりやすく、入院・集中治療が必要になるケースも。
どう防ぐ?
・妊娠中(27–36週)または産後早期のTdap接種(日本では不認可)
・咳が1週間以上続くときは早めに受診・検査
・家族全員がワクチンや抗菌薬で“バリア”を張る
3. 今日からできる5つのステップ
ステップ | どうやる? | ここがポイント |
---|---|---|
① 情報源を3つ比べる | まずはネット検索で出てきた記事を読んだら、必ず あと2つ 別サイトもチェック。厚生労働省や医師会・学会、大学病院のページなど「発信元がハッキリしている所」を選ぼう。 | ひとつの情報に頼ると思い込みが起こりがち。複数の“公式”情報を比べればウワサや広告に振り回されにくくなる。 |
② 症状や体調をメモ | スマホのメモ帳や健康アプリで 「いつ」「どんな症状」「何をした後か」 を書き残す。写真(食事、薬、ケガの様子)も撮っておくと◎。 | 診察時に医師へ“正確な素材”を渡せるので、診断がスピーディー&的確になる。自分でも体調の傾向が見えてくる。 |
③ 質問リストを作る | 受診前に「聞きたいこと」を箇条書き。 例:薬はいつまで?体育は休む?学校の先生に何と伝える? | 「病院で何を聞くんだっけ…」と緊張して頭が真っ白になるのを防ぐ。医師も優先して答えられるので診察がスムーズ。 |
④ 健康ノートやアプリを活用 | 血圧・体重・検査結果、ワクチン歴などを1か所にまとめる。紙のノートでも、無料の健康管理アプリでもOK。 | 情報がバラバラだと必要な時に探し出せない。1つに集約しておけば、救急時や引っ越し先の病院でもすぐ状況を説明できる。 |
⑤ 家族で確認 | 「急に体調が悪くなったら」「災害で病院に行けないとき」など想定シナリオを家族で話し合い、役割分担(連絡係・救急車呼ぶ係など)を決める。 | いざという時、誰が何をするか決まっていればパニックを減らせる。家族全員が保険証とお薬手帳のありかを共有しておくと◎。 |
「記録する → 振り返る → 行動を変える」のループを続けることが大切です。
最初はメモ1行からで十分。小さな一歩でも、続ければ大きな安心につながります。
4. 1分セルフチェック ✔
「自分のヘルスリテラシーはどのくらい?」を測る簡単なリトマス試験紙です。紙でもスマホでもいいので、いまから1分だけ使って下の5項目に YES/NO を付けてみましょう。
- 信頼できる医療サイトを3つ言える
- パッケージ裏の成分表を読んだことがある
- 健康診断の結果を理解している
- 予防接種の予定を把握している
- 具合が悪いとき迷わず相談できる
判定のめやす
YES が3つ以上
かなり頼もしい! あなたは“ヘルスリテラシー上級者”。日々の情報収集と行動を続ければ、さらに安心が広がります。
YES が0〜2個
伸びしろたっぷりです!今日紹介した「5つのステップ」から1つだけ選び、今週中に実践してみましょう。たとえば 「症状メモを付ける」を3日続けるだけでも大きな一歩です。
5. まとめ
「知る力」は最強の予防接種。
今日の1クリック、1メモが、明日のあなたと家族を守ります。
当クリニックでも ヘルスリテラシーを高めるための解説 を、ブログやInstagramで発信中です。「何を信じればいいの?」と思ったら、まずは私たちのページをのぞいてください。あなたの“もしも”を減らす記事を、これからも届け続けます!