
はじめての喘息は、知らない言葉と不安でいっぱい。
でもだいじょうぶ。役割が違う2種類の薬を知るだけで、ぐっと安心してお子さんを守れます。
診察室のワンシーン
ママ:「先生、“コントローラー”とか“リリーバー”って言われても全然わからなくて…。毎日吸うの?発作のときだけ?」
医師:「名前がややこしいですよね。かんたんに言うと——
- コントローラー=毎日つかう予防薬(火事にならないように“燃えにくい家”にしておく)
- リリーバー=発作のときだけつかう頓用薬(火がついちゃった時の消火器)
この2つで“発作を起こさない体づくり”と“万一のときの素早い対処”を両立します。」
コントローラーとは?
ママ:「コントローラーって何ですか?」
医師:「主役は吸入ステロイド(ICS)です。気道の炎症を静かに鎮め続ける薬。毎日1〜2回、数秒の吸入です。
タイプは大きく2つ。
- ICS単剤:炎症を抑える基本形。フルタイド吸入薬などが該当します。
- ICS+LABA配合薬:炎症を抑えつつ気道を広げやすくする長時間薬。年齢や重症度で選びます。アドエア吸入薬やフルティフォーム吸入薬が該当します。」
ママ:「毎日吸ってるのに、元気になったらやめてもいいですか?」
医師:「ここがコツ。良くなったと感じるのは“薬が効いて炎症が静まっているサイン”。勝手にやめると炎症がぶり返し、発作が再発します。医師と相談しながら少しずつ減らすのが安全です。」
リリーバーとは?
ママ:「リリーバーは?」
医師:「即効で気道を広げる薬です。代表はSABA(短時間β2刺激薬)の吸入。ゼイゼイ・咳で苦しい“今”を楽にします。ただし根本治療ではありません。消火器は火事のときだけ、ですね。メプチン吸入薬などがこれにあたります」
ママ:「使う目安はありますか?」
医師:「あります。“信号方式”で覚えましょう。
- 🟢 緑(普段):症状なし → コントローラーだけ。
- 🟡 黄(注意):咳が増えた・運動でゼイゼイ → リリーバーを1〜2回、効かなければ受診。
- 🔴 赤(ピンチ):苦しくて話しにくい、顔色不良、胸が強くへこむ → すぐ受診。家庭での連続使用に限界を感じたら迷わず受診です。」
ママ:「吸入ってむずかしそう…」
医師:「補助具(スペーサー)を使えば小さなお子さんでも成功率アップ。終わったらうがいで声枯れ等の副作用を防ぎます。」
ママ:「薬が強いのが心配で…」
医師:「気持ち、よくわかります。吸入薬は肺に直接届く設計で、全身への影響は飲み薬より少なめ。必要量を最小限で調整します。発作で入院やステロイド内服が増える方が負担は大きいんです。」
かんたん早見表
目的 | いつ使う | 主なお薬 | 効果の出方 | 例え |
---|---|---|---|---|
コントローラー(予防) | 毎日(症状なくても) | 吸入ステロイド(ICS)、ICS/LABAなど | じわじわ効いて再発を防ぐ | 燃えにくい家づくり |
リリーバー(頓用) | 発作時だけ | SABA(短時間気管支拡張薬)など | すぐ効くが長続きしない | 消火器 |
まとめ
- コントローラー=毎日の予防で“火事を起こさない”体づくり。
- リリーバー=発作の応急処置で“いまを楽に”。
- 使い分けが入院・つらさを減らす近道です。