最近、HPVワクチンの接種を希望する人が急に増えています。特に目立つのは、これまで接種の機会を逃していた人たちが「キャッチアップ接種」を受けに来ること。そして、夏休みを利用して予防接種を済ませようとする中高生や若い方々の姿です。
この変化を見ていると、HPVワクチンに対する認識が少しずつ変わってきているのかなと感じます。
でも同時に、まだ不安や疑問を抱えている人も多いことも分かります。
そこで今日は、私たち医療者がよく受ける質問について、特に薬の副作用とHPVワクチンについて、みなさんに知っておいてほしいことをお話ししたいと思います。
薬の副作用って何?
まず、薬の副作用について説明します。
副作用
薬を飲んで起こる、意図しない反応のこと
例)
- かゆみ止めを飲んだら眠くなった
- 風邪薬を飲んだら口が渇いた
- 胃薬を飲んだら下痢になった
有害事象
薬を飲んだ後に起こる、良くないこと全般
例)
- 薬を飲んだ後に転んでケガをした(薬が原因かどうかは分からない)
- 薬を飲んだ日に頭痛がした(薬との関連は不明)
- 薬を飲み始めてから食欲が落ちた(薬が原因かどうかはすぐには判断できない)
副作用は薬が直接引き起こす反応ですが、有害事象は薬との関連が明確でない出来事も含みます。どちらも大切な情報なので、気づいたら医師や薬剤師に伝えましょう。
HPVワクチンで何が起きたの?
HPVワクチンをめぐって、こんなことが起きました
- たくさんの人が予防接種を受けました
- 接種後、いろいろな症状が報告されました
- 報告された症状を全部「副作用」だと思ってしまいました
- その結果、ワクチンへの不安が広がってしまいました
何が問題だったの?
すべての症状を副作用と考えてしまった
ワクチンを打った後に起きたことを、全部ワクチンのせいだと思ってしまいました。
正しい情報が伝わらなかった
実際には、報告された症状の多くは、ワクチンと直接関係ないことが後でわかりました。でも、最初の報道で不安が広がってしまったんです。
ワクチンの重要性
HPVワクチンは、世界中で多くの人々の健康を守っています。日本でも、再び積極的に接種が勧められるようになりました。
- 効果:最新の9価HPVワクチン(シルガード9)は、子宮頸がんの原因となる主なHPVの感染を80%から90%防ぐことができます。
- 安全性:世界中の研究で、HPVワクチンの安全性が確認されています。
- 副反応:他のワクチンと同じように、接種部位の痛みや軽い発熱などの副反応が起こることがありますが、多くの場合、すぐに回復します。
まとめ
薬やワクチンは私たちの健康を守る大切な味方です。でも、正しく理解して使うことが大切です。
正しい知識を持って、予防接種を打つかどうかを決めてくださいね。