
外来では「リンパ節が腫れていますか?」という相談がとても多いです。
ほとんどは心配いらない“免疫が働いているサイン”。ただ、見極めのポイントを知っておくと安心です。
リンパ節って?
体じゅうにある小さな“基地”。バイ菌やウイルスが来ると、免疫の仲間が集まって戦う場所です。全身のリンパ節の正確な個数を特定することは難しいですが、一般的に全身に300~600個存在すると言われています。
どうして腫れるの?
敵の情報が届く → 免疫細胞(B細胞・T細胞)が増える → 血液やリンパ液も集まる。
この“増員と補給”で一時的にふくらみます。多くは数週間で小さくなります。
リンパ節はなくならない
リンパ節そのものは体の部品なので、なくなりません。元気なときでも首やあご下で数ミリ〜1 cmのコロコロを触れることがあります。風邪のあとややせ型の子では数週間〜数か月触れやすいことも。
心配が少ないサイン
やわらかい/コロコロ動く/痛みなし〜軽い/徐々に小さくなる。
このような経過のときはおうちで様子をみて大丈夫です。
よくある原因
- 感染症(最多):風邪、扁桃炎、中耳炎、皮膚の傷・とびひなど。近くのリンパ節が反応。
- けが・虫さされ:その周辺のリンパ節が腫れる。
- ワクチン後:打った側のわき・首が一時的にふくらむ。
- 免疫の病気(例:川崎病 など)
- まれだが重要:悪性リンパ腫・白血病など
家での見守り方
- もみすぎ・触りすぎはNG(長引きます)。
- かぜの回復とともに2–4週間で小さくなるか観察。
- 強い痛み・赤み・熱感があれば受診。
この“赤信号”は早めに小児科へ
- 38℃以上が3日超/ぐったり
- 2 cm以上、または急に大きくなる
- 硬い・動かないしこり、痛くないのに大きい
- 皮膚が赤く熱い、波打つ感じ(膿のサイン)
- 4–6週間たっても小さくならない/むしろ増える
- 体重減少・夜間の大量の寝汗・原因不明の長引く発熱・青あざが増える など全身症状
まとめ
- リンパ節は体の“免疫基地”。敵(ウイルス・細菌)が来ると仲間が集まって一時的にふくらむ。
- 最も多い原因は感染症(風邪・扁桃炎・中耳炎・皮膚トラブル)。ワクチン後の一時的な腫れもあり。
- リンパ節そのものはなくならない:元気でも数ミリ~1cmが触れることがある。やせ型や風邪の後は数週間~数か月触れやすい。
- 安心サイン:やわらかい/コロコロ動く/痛みなし~軽い/徐々に小さくなる(2–4週)。
- 赤信号(受診):2cm以上、急に増大、硬く動かない、皮膚が赤く熱い・激痛、4–6週で縮まらない、発熱3日超や全身症状(体重減少・夜間大量の汗・原因不明の発熱・出血傾向)。