
「運動しなきゃ、とは思うけど毎日忙しくて時間がない…」「将来の健康は気になるけど、一体何から始めればいいの?」
多忙な毎日を送る方にとって、こうした悩みは尽きないものですよね。
そんなあなたに、今日から始められる、最もリターンが高い「身体的投資」をご紹介します。
それは、銀行にお金を預ける「貯金」ならぬ、カラダに筋肉を蓄える『貯筋』です!
これは単なる筋トレに留まりません。
10年後、20年後の自分のQOL(生活の質)を守り、未来の資産を守るための、最も賢く、確実な自己投資です。
1. なぜ銀行の「貯金」より、カラダの「貯筋」が重要なのか?
「貯筋」と聞くと少しユーモラスに聞こえるかもしれませんが、その重要性は銀行預金をはるかに上回るかもしれません。
データと少しの比喩を交えて、その理由を解き明かしていきましょう。
1.1. 気づかぬうちに忍び寄る「身体的破産」の危機
日本の女性の「平均寿命」と、自立して生活できる「健康寿命」の間には、約12年もの差があることをご存知でしょうか。
この期間は、誰かの助けが必要な、いわゆる要介護状態になりうることを意味します。
その大きな原因の一つが、筋肉の減少です。
一度失われ始めると、筋肉量は年間1〜2%のペースで着実に減少し、筋力に至ってはさらにその2〜5倍のスピードで低下していくという恐ろしい事実があります。
気づいた時には手遅れ、という「身体的破産」を避けるためには、早期からの対策が不可欠なのです。
1.2. 貯筋をしない人の生涯コストは、なんと約5000万円のマイナス!?
「貯筋」は、直接的な経済的メリットにも繋がります。
ある試算によると、40歳から85歳まで健康に過ごした人の生涯資産がプラス711万円であるのに対し、不健康で病気がちな人の場合は、なんとマイナス4017万円に。
その差額は約5000万円にも達します。
この差は、高額な医療費や介護費による支出増と、健康であれば長く働けて得られたはずの収入の喪失から生まれます。
つまり、「貯筋」によって健康を維持することは、将来の支出を抑え、収入を確保する、極めて合理的な経済活動なのです。
1.3. 年齢とともに筋肉は「反応しにくく」なる
さらに厄介なことに、私たちの身体には「アナボリック抵抗性(同化抵抗性)」という性質があります。
これは、簡単に言えば「年齢を重ねると、同じ食事や運動をしても筋肉がつきにくくなる」現象です。
例えば、若年者ならタンパク質を5g摂取すれば筋肉の合成スイッチが入るところが、高齢者では15g以上も必要になることが分かっています。
だからこそ、反応性が高いうち、つまり30〜50代のうちから「貯筋」を始めることが、圧倒的に有利なのです。
2. ゼロから始める「貯筋ポートフォリオ」の作り方
では、具体的にどうやって「貯筋」を始めればいいのでしょうか。
ここでは、投資のポートフォリオに見立てて、今日から実践できる具体的な方法をご紹介します。
あなたの「貯筋ポートフォリオ」には、
資産を積極的に増やす「コア投資」と、日々の目減りを防ぎながらコツコツ増やす「複利運用」の2つの柱があります。
2.1. コア投資:自宅でできる「レジスタンストレーニング」
まずは資産の核となる、筋肉をしっかり増やすための「コア投資」です。
特別な器具は不要。自分の体重を負荷にするレジスタンストレーニングで、全身の大きな筋肉を効率よく鍛えましょう。
スクワット(下半身の主柱)
足を肩幅に開き、胸を張って背筋を伸ばしたまま、膝がつま先より前に出ないように注意してお尻を後ろに引きます。
太ももとお尻という大きな筋肉を鍛える王道メニューです。
【目安】10回 × 2セット
プランク(体幹の安定)
腕立て伏せの姿勢で、肘を床につけて体を一直線に保ちます。
お尻が上がりすぎたり下がりすぎたりしないよう、頭からかかとまでが一直線になることを意識してください。
【目安】20秒キープ × 2セット
膝付き腕立て伏せ(上半身の強化)
手は肩幅より少し広めに置き、胸を床に近づけるようにゆっくりと体を下ろします。
通常の腕立て伏せが難しい場合でも、胸や腕の筋肉を無理なく鍛えられます。
【目安】8回 × 2セット
まずは各種目を完璧にこなすことより、正しいフォームで「少し疲れたな」と感じるまで行うことが大切です。
無理は禁物ですよ。
もしChatgptなどの生成AIをお持ちのからであれば、AIに質問するとご自身の状況にあわせて無理のないメニューを作成してくれます。
2.2. 複利効果を生む:「ながら運動」でスキマ時間を資産に変える
「まとまった運動時間を確保できない」という最大の障壁を乗り越えるのが、この「ながら運動」。
日々の資産価値の目減りを防ぎ、さらにコツコツと積み立てる「複利運用」です。
一つ一つの「ながら運動」は少額の入金に過ぎませんが、毎日続けることで、その効果は時間と共に雪だるま式に増えていきます。
これが「貯筋」における複利の力です。
ながら運動の具体例
| 生活シーン | ながら運動アクション | ターゲット筋肉 |
|---|---|---|
| 歯磨き中 | 片足立ちを左右各30秒行う | バランス感覚、中臀筋 |
| 料理・洗い物中 | つま先立ちで2〜3秒キープし、ゆっくり下ろす | ふくらはぎ、代謝向上 |
| 掃除機がけ | 掃除機を前に出すときに片足を一歩踏み出す(ランジ) | 下半身強化 |
| テレビ鑑賞中 | 椅子に座ったまま足踏み | 血流・代謝アップ |
| デスクワーク中 | かかとを10〜15回上げ下げ | ふくらはぎ |
2.3. 筋肉の材料を補給:賢い「栄養戦略」
トレーニングが「投資活動」なら、タンパク質は投資の原資となる「運転資金」です。
資金が枯渇すれば、どんなに優れた投資戦略も絵に描いた餅。
特に「アナボリック抵抗性」という、年齢と共にリターンが下がる市場環境では、十分な資金を常に供給し続けることが成功の鍵となります。
この抵抗性を乗り越えるためにも、特に高齢期には一食あたり20〜30gのタンパク質を確保することが推奨されています。
これは、肉や魚なら約80〜100g、卵なら3個分に相当します。
毎食、このタンパク量を摂取することは困難なので、ぼくはプロテインをとって補充しております。
3. 要注意!あなたの「貯筋」を溶かす2大要因
せっかくコツコツ積み立てた「貯筋」も、ある生活習慣によっていとも簡単に溶かされてしまいます。
3.1. 最強の敵、それは「睡眠不足」
ダイエットや健康維持のために運動や食事に気をつけても、睡眠が疎かになっていては元も子もありません。
睡眠不足は、あなたの「貯筋」を内側から溶かす、最強の敵なのです。
- 食欲ホルモンの暴走
- 理性のブレーキが壊れる
- 筋肉が分解されてしまう
- 脂肪を燃やす時間が奪われる
3.2. 質の良い睡眠をとるための簡単なコツ
- 7〜8時間の睡眠を目安にする
- 就寝前のスマホ・PCの使用を控える
- 起床・就寝の時刻を一定に保つ
- 日中に軽い運動を取り入れる
- アルコールは眠りの質を下げるため控える
まとめ
「貯筋」は、単なる健康法ではなく、未来の自分と大切な人たちへの最高の投資です
難しく考える必要はありません。
完璧なスタートではなく、まずは「やってみる」ことが、未来を変える一番の力になります。
まずは今日、「歯磨き中の片足立ち」から始めてみませんか?
その小さな一歩が、あなたの10年後、20年後を、そして日本の未来を豊かに変える、確実な一歩となるのです。
【この記事を書いた医師】
南22条おとなとこどものクリニック 院長
小林 俊幸
小児科・総合内科
この記事は、札幌市で日常診療を行っている医師が、
診察室でよく受ける質問をもとに執筆しています。
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