
赤ちゃんは大人のように上手に鼻をかめません。
鼻がつまると「ミルクが飲めない」「眠れない」といった負のループに陥りやすく、特に鼻の通り道が細い赤ちゃんには大きな負担となります。
家庭用の鼻吸い器は、そんな時の強い味方。ですが、ただ吸えばいいわけではありません。赤ちゃんに優しく、かつ効果的にケアするためのポイントをまとめました。
1. 鼻吸い器は「いつ」使うのがベスト?
家庭での鼻吸いは、鼻水を出し切ることではなく「今ある苦しさを少し取って、生活しやすくすること」を目的に行います。
特に効果的なのは、次のタイミングです。
- 授乳の前:鼻がつまると、口で息をしながら飲むのが難しくなります。先に鼻を通しておくと、ゴクゴク飲みやすくなります。
- 寝る前:横になると鼻水が喉に落ちたり、詰まりが強くなったりして夜泣きの原因になります。寝る前にリセットしてあげましょう。
- お風呂上がり【絶好のチャンス!】:お風呂の湯気で鼻水が自然にふやけているため、もっともスムーズに吸い出せます。
- 鼻水で機嫌が悪い時:「ズビズビ」と音がして苦しそうな時のホームケアとして活用します。
2. 失敗しない!鼻吸い器の上手な使い方
乾いた鼻水や粘り気の強い鼻水を無理に吸うのはNG。粘膜を傷つけるだけでなく、赤ちゃんが「鼻吸い嫌い」になってしまいます。
ステップ1:鼻水を「ふやかす」
市販の「鼻用生理食塩水」を数滴垂らすか、お風呂上がりの蒸気を利用して鼻水をゆるめます。
💡 なぜ生理食塩水なの?
真水や水道水は鼻に入れると「ツーン」と痛みますが、体液と同じ濃度の生理食塩水なら痛くありません。
ステップ2:動かないよう「固定」する

赤ちゃんが暴れるとノズルで粘膜を突いてしまい危険です。バスタオルで体をくるむか、親の太ももで赤ちゃんの頭を軽く挟むようにして固定すると、安全に短時間で終わらせられます。
ステップ3:「耳の方向」を狙って吸う

鼻の穴に対して垂直に入れるのではなく、「顔の面に対して水平、かつ耳の穴の方向」にノズルを向けるのがコツです。
💡 吸う強さの目安は?
自分の指先をノズルで吸ってみて、軽く吸い付く程度から始めましょう。電動タイプを使う場合も、まずは一番弱い設定から試すのが安心です。
3. 赤ちゃんが泣いても大丈夫!
鼻吸いをされて喜ぶ赤ちゃんはまずいません。火がついたように泣かれると「かわいそう」と手が止まってしまいますが、実は泣いて口を開けると鼻の奥まで空気が通り、鼻水が取れやすくなるというメリットもあります。
「ごめんね」ではなく「スッキリしようね!」と明るく声をかけ、短時間でパッと終わらせてあげることが、赤ちゃんにとって一番の優しさです。
4. 鼻吸い器、どれを選べばいい?
家庭用には大きく分けて3つのタイプがあります。状況に合わせて選びましょう。
| タイプ | メリット | デメリット |
| 手動(口吸い・スポイト) | 安価でどこでも使える。 | 吸引力が弱く、親に風邪がうつりやすい。 |
| 電動(ハンディ) | コードレスで手軽。外出先にも◎。 | 電池・充電の手間があり、パワーは据え置きに劣る。 |
| 電動(据え置き) | 吸引力が最強。 粘い鼻水も一掃できる。 | 高価で場所を取る。音が大きいものもある。 |
※保育園に入ると風邪を引く頻度が劇的に増えるため、最初から「据え置き電動」を用意するご家庭も多いです。
5. 知っておきたい「使う時の注意点」と「ケア」
- 吸いすぎない(1日4回までが目安)何度も強く吸うと粘膜が腫れたり鼻血が出たりします。
- 授乳の直後は避ける刺激で吐き戻してしまうことがあります。基本は「授乳前」です。
- 終わった後は「ワセリンで保湿」鼻水や吸引の刺激で鼻の下が荒れやすくなっています。濡らしたガーゼで優しく拭き取ったあと、ワセリンを薄く塗って保護してあげましょう。
6. 家庭で「できること・できないこと」
家庭用の鼻吸い器は、あくまで「手前の鼻水を吸って、一時的に楽にする道具」です。
鼻の奥にある鼻水や、粘膜自体の腫れによる鼻づまりは、家庭用では限界があります。「全部きれいに取りきる」ことにとらわれず、赤ちゃんが少し楽そうになれば合格点です。
⚠️ こんな時は迷わず受診を
- 呼吸をするたびに胸がペコペコへこむ
- 苦しくてミルクや母乳が全く飲めない
- 顔色が悪い、またはぐったりしている
- 鼻吸いをしても眠れないほど苦しそう
まとめ
鼻吸い器を安全に使うための約束:
- 生理食塩水やお風呂で「ふやかして」から
- 暴れないよう「しっかり固定」して安全第一で
- ノズルは「耳の方向」へ向けて
- 泣いても「スッキリのため!」と割り切って手早く
- 吸った後は「ワセリンで保湿」
鼻吸い器を上手に活用して、赤ちゃんの健やかな呼吸と眠りをサポートしてあげましょう。
【この記事を書いた医師】
南22条おとなとこどものクリニック 院長
小林 俊幸
小児科・総合内科
この記事は、札幌市で日常診療を行っている医師が、
診察室でよく受ける質問をもとに執筆しています。
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